連載:気まぐれゲーム雑記 第822回:eスポーツを観戦する人が“日本だと”今後どれくらい増えるのか

eスポーツは、なかなかに難しい立ち位置である。

頑張って流行らせて欲しい限り

AZです。スポーツは学生時以来まともにしておりません。

それはさておきまして、eスポーツについて「何故日本で流行らないか」と「今後」についての記事が公開されています。少々長いですが、非常に良くまとまっているので、興味がある人は一読しておくと良いかもしれません。

この記事をご覧の皆さんの大半も、おそらくこれまでeスポーツの試合を観戦したことがなかったり、ショービジネスとしてなにが行なわれているかについてよく知らないのではと思う。それこそが日本がeスポーツ後進国であることの証明だが、デジタルゲーム先進国である日本が、この分野ではどうも振るわないというのは一見謎だ。

しかし、理由はある。代表的なところを3つ挙げてみよう。

1.“ゲーム”に対する捉え方の違い

~中略~

日本で“ゲーム”というと、まず子供の遊びというイメージに始まり、2000年代中旬には「ゲーム脳論」なるトンデモ学説がひとり歩きしたことも影響して不健全な印象もプラスされ、まさに、「げーむにまじになってどうするの」という空気が長年にわたって支配的だった。かたやeスポーツは、ゲームに人生を賭ける試みである。完全に真逆の概念だ。

~中略~

一方、海外、特に印欧語族の文化圏では“ゲーム”に対して全く異なる捉え方がある。

英語の“Game”はもともと“人が集まる”という意味合いの語源を持ち、「スポーツの試合」、「勝負」、「競技」、「狩猟の獲物」などを意味する語として使用されてきた経緯がある。つまり、コンピューターを使った遊びに“Computer Game”と名付けられた時点から、そこにはスポーツ的なニュアンスが不可分に存在していたのだ。

2.長きに渡ったコンシューマー機による市場支配

~中略~

狭い国土に高度成長期以来のふんだんなインフラ投資を経て世界最高レベルの流通システムを誇ることになったこの国では、ROMカセットやCD/DVD/BD-ROMといった物理媒体を速やかに消費者へ届けるというビジネスが大成功を収め、80年代から2000年代までのゲーム市場をほぼ完全に支配した。最盛期は世界全体の半分近くの市場が日本国内にあったことも影響し、ゲームメーカーが国内向けにコンシューマーゲームを作れば儲かるという時代が長く続き、それが体質化した。

そして上述のように、国内の消費者の周りにはゲームにマジになることを好まない空気がある。いきおい、一人遊び用もしくは友好的コミュニケーション重視の非競技的ゲームが市場のほとんどを占めるという流れとなった。

これに対照的なのは、世界で最初にプロのeスポーツリーグが成立したアメリカだ。コンシューマーゲーム機は市場の半分までは支配したものの、国土が巨大で流通システムの穴も多かったため(輸送の費用も、時間もかかり、小売店の在庫リスクも高く、消費者から小売店までの距離も遠い)、オンライン流通が早くから利用できたPCゲームが常に市場の重要な部分を担ってきた。

~中略~

3.賭博規制と景品表示法の規制

北米で最初に登場したプロゲーマーたちははもれなく“賞金稼ぎ”だった。

大会の運営元が参加費・観戦料、あるいはスポンサー企業の協賛金を集め、それを大会運営費および大会賞金に充当することで、90年代末から100万円単位、1000万円単位という優勝賞金が珍しくなく、トッププレーヤーの年収は賞金のみで数千万円にのぼった。これだけ稼げれば自動的にゲームを仕事にできる。高額な賞金はノンプレーヤーに対しても話題を提供し、企業からのスポンサーシップも活発になっていく。

~中略~

この点で日本は全く事情が異なる。賭博規制と景品表示法による厳しい規制の存在だ。

例えば、プレーヤーから参加費を募って賞金に充当する方法は、賭博規制に抵触するおそれがあるので絶対に不可だ。また、観客から観戦料をとったり、協賛企業からスポンサー料をとって賞金に充当すると、景品表示法上の規制により30万円以上の賞金を出すことができなくなる。それ以上の賞金を出すためには、参加費・観戦料・スポンサー料とは別に、主催者が自腹で賞金を出す必要がある上、自腹であることをきちんと証明出来る必要があるなど、非常にハードルが高い。

[引用元:AKIBA PC Hotline!

この記事を書いた人は、かなり丁寧に調べてますね。

日本で流行らない理由として挙げられている3点は、間違いなく主だった理由と言えるでしょう。特に、2番目と3番目は非常にウェイトが大きい。日本は家庭用機が強すぎたが故にPCゲームはニッチな市場になりましたし、ニッチだからこそeスポーツも流行りにくい。家庭用機でしっかりと発売されている格闘ゲームのジャンルのみが、話題を作っているくらいです。

PCゲーム市場がニッチだというのは誰の目にも明らかなわけですが、ニッチだとそもそも「そのゲームのルールを知らない人が多い」という事態を招きます。格闘ゲームのような、見てて何となく凄さが分かるようなモノならまだしも、RTSの類はルールがわからないとプロの操作を見たところで何が凄いのか理解できません。Steamの台頭などで日本のPCゲーム市場もゆるりと変化しているのは確かですが、家庭用機に比べたらまだまだ存在感が薄いのも間違いはない事と言えます。

そんな状況下ではありますが、日本でもプロゲーマーとして活動する人達や組織などが誕生しており、ゆっくりとながらに変化の兆しも見せています。日本でもプロのチームとして活動しているDetonatioNは、なんだかんだと事業が軌道に乗り始めているとの事ですし、あと求められるのは結果でしょうか。話題になっている今だからこそ、極力早い段階である程度の結果が必要になるのは、多くの人が分かっている事と言えます。

プロゲーマーなる人達の登場で、eスポーツが今後どれくらい話題になっていくのかはまだまだ未知数です。ですが、日本でもeスポーツを気軽に観戦して楽しむ事ができるくらいの賑わいになる事を期待したいモノですね。

連載:気まぐれゲーム雑記 第822回:eスポーツを観戦する人が“日本だと”今後どれくらい増えるのかに関するしょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会

しょぼーんさん:eスポーツについての記事があったので、ゲームのルールを知っている人が増えないと始まらんよなぁと思ったわけです。

しゃきーんさん:まぁ、それはあるよな。それに、PCゲームだと日本の場合敷居が高いという話もでてくるし。

しょぼーんさん:そこらへんは、家庭用機が主体だったから仕方がないね。今やマルチデバイスの時代だから、色んなゲームをしてみるのが一番だとは思うし、そういった意味でSteamを中心としたPCゲームももっと賑わって良いと思ってるけど。……PCゲームも、もっと話題になって良いと思うのだけれども……。

しゃきーんさん:そればっかりは、どうにもならんわなぁ……。

コメント (4)

Kidsun

一番大きいのはやはり1番と思います。
3番も大きいですが(eスポーツは結局賞金が出ないと始まらないものです)、そもそもスポンサーが賞金出る気がない(公式大会は賞金0、試合も殆ど一発勝負のアマチュア形式)。
公式さえ遊びの延長線と見なすならeスポーツ化は難しいだろう。(トレカゲームも同じ状況ですね)

あと2番のコンシューマ機とは関係ないと思います、例えば今ではかなり有名になったEVOは基本的コンシューマ機で競技するものです。

AZ

AZ

やはり、お金の要素は大きいですね。
賞金が使えないというのは、プロ活動を認められないようなモノなので、文化として流行らせるには厳しいモノがあります。

あと2番は、eスポーツがEvoを中心とした格闘ゲームジャンルだけなら理解できますが、PCでのみプレイ可能な「League of Legend」や「Dota 2」といったタイトルは、賞金何億円という金額が動いています。
それに、日本でプロゲーマーチームとして活動しているDetonatioNは、「League of Legend」に的を絞って活動しているので、流石に無関係と割り切るのは難しいでしょう。
いやまぁ、日本で流行るかどうかに焦点を当てるなら、PCゲームはまだまだニッチ過ぎてアレなことに違いはありませんけど……。(´・ω・`)

名無しのゲーマーさん

2番目はe-sportsタイトルの多くがPCゲームであることからも大きく関係していると思いますよ。日本と海外でのゲームに対する認識の違いはPCゲームに対する認知、知識面において大きな問題となっていると思います。
また、e-sports=格闘ゲームではないので(現状国内ではそういう認識が広まっているのかもしれませんが)、EVOだけでは話は展開出来ないでしょう。

個人的には大会でレースゲームを見てみたいな~なんて思ったり…。

Kidsun

EVOを例として出すのは今のところはコンシューマ機メインするeスポーツは格ゲーイベントしかないので。
単純にプラットフォーム自体はeスポーツの要因ではないと言いたいだけです。

確かにPCは今のeスポーツの主戦場ですが、それはコンシューマ機中心の日本が主催の賞金ありイベントがあまりにも少ないすぎるだけ、その原因はスポンサーであり、プラットフォームではありません。

もちろん、もし議論のテーマはeスポーツそのものではなく"今のeスポーツ"なら2番目の論点は非常に正しと思います。

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