連載:気まぐれゲーム雑記 第823回:日本で家庭用ゲームのウェイトが大きいメーカーはどこになっていくのか
それでも、あらゆるゲームが好きなのです。
ゲームビジネスが転換期を迎えている
AZです。こう見えて、比較的あきらめは悪い方です。
それはさておきまして、コナミの現状を語りながら、日本のゲーム開発の主役は家庭用機からスマホへ移ったと言う内容の新清士氏の記事が公開されています。今回の記事は、比較的丁寧に日米の違いを解説しているような内容になっているので、興味がある人は何となく流し見しておくといいかもしれません。
今年3月に、コナミが「メタルギアソリッド」シリーズで知られる小島秀夫監督を役員から外しました。小島氏は「小島プロダクション」を率いて、今年9月発売の最新作「メタルギアソリッド5」(プレイステーション4など)の開発を続けています。小島プロダクションの解散も明らかになり、事実上、コナミは家庭用ゲームの開発の規模縮小を進めることを決めたと考えられます。
家庭用ゲームは映像が豪華になるにつれ、開発コストのさらなる上昇が進んでいます。開発コストが数十億円に達し、全世界で数百万本のヒットを出すことが、回収のための絶対条件になっています。「メタルギア5」は、13年にリリースされることが期待されましたが、結局、リリースされず2年近く開発が遅れています。その成功が明確でない状況にありながら、今後も家庭用の新作ゲームを作ることはリスクが大きいという判断があったと考えられます。
一方、PS4は世界的に見ると好調です。調査サイトの米VGChartzによると、3月28日現在、全世界で、PS4は2100万台以上の販売に成功しており、マイクロソフトのXbox Oneの1200万台、Wii Uの950万台を大きく上回っています。94年の「プレイステーション」以上の速度で売れているという状態です。
~中略~
ただし、日本市場は様相が違っています。PS4は130万台程度しか売れていません。キラータイトルとして期待された3月発売のアクションゲーム「ドラゴンクエストヒーローズ 闇竜と世界樹の城」(スクウェア・エニックス)は、PS4版が23万本売れたものの、国内だけで、100万本といった大ヒットを生み出せる環境にはなっていません。
~中略~
日本の多くの家庭用ゲーム会社は、家庭用ゲームの開発を積極的に行うことを躊躇している状態にあります。同じく4月に、コナミのホラーゲーム「サイレントヒルズ」(PS4用など)の開発の中止も明らかになっています。これは国内だけでは今後のヒットを期待できない状況も考慮した結果だと考えられます。
それでは、日本のゲーム市場の元気がないかというと、そんなことはありません。日本では家庭用ゲームよりも、スマートフォン用のスマホゲームの市場が、はるかに凌駕する規模になっています。
家庭用ゲームのソフト市場は、2014年はエンターブレインによると2264億円でしたが、スマホゲーム市場は、日本オンラインゲーム協会の見込みでは6584億円でした。この市場規模はアメリカのスマホ市場よりも大きいとみられています。ここ数年で、家庭用ゲーム市場を追い抜き、急成長を続けています。
~中略~
日本は、LTEの普及により携帯の通信回線が速く、月額で一定量のパケットまで使い放題な環境もあり、いち早く情報のパーソナル化が進んでいます。総務省の「情報通信白書」によると昨年3月末で、日本のスマホの普及率は53.5%で、まだまだスマホゲーム市場が伸びる余地があると考えてよいでしょう。スマホゲーム市場の成長が、一時的なバブルで終わるとは考えにくいと思われます。
日本は、世界で最初にテレビ画面で家庭用ゲームをするという文化が弱くなりました。一方で、欧米圏の特にアメリカでは安価になった大画面テレビを使ってゲームをするという文化がまだまだ強い状態です。日本のゲーム市場は元気ではあるが、世界の中では、特殊な環境で進化が進んでいると理解する必要があるでしょう。
[引用元:THE PAGE]
いつもの氏の文体より、かなり丁寧ですね。
内容は、ザックリ言ってしまえば家庭用ゲーム機の主戦場は海外になったという事と、日本の主戦場はスマートデバイスになったという事、世界的に見ると日本は特殊な市場を形成しているという3点に集約されます。いやまぁ、その3点を感情論に流されず解説するのって結構ホネの折れる作業なわけですが、実際市場規模はすでにスマートデバイスの方が大きくなっているというのが、納得しやすいところではないでしょうか。もちろん、それが好ましいかどうかは別問題なわけですが。
色々と話題沸騰中のコナミや、事業再編を行っているセガやカプコン、社名変更したバンナムなど、大手メーカーはスマートデバイス向けへの対応を明確にしており、問題はそのウェイトがどれくらい大きいなモノになるのかというところになります。両方を上手く使い分けているスクエニのようなところもあれば、話題騒然なコナミはスマートデバイスへのウェイトを非常に大きくなりそうな様子さえ見せています。すでに、レッドオーシャン化している日本のスマートデバイス市場に向けて、どれだけ成功できるかも見どころの一つと言える気がしないこともありません。
その一方で、以前から当ブログで書いてきた事ですが、家庭用機市場に残るところは残り続ける事も明白です。すべてがスマートデバイスへシフトするという事にはならないでしょう。家庭用機で出すメーカーが減れば、家庭用機で出し続けるメーカーの利益になるチャンスが増える、という事も言えるわけです。まぁ、だからこそ、大手メーカーの場合はスマートデバイス向けにどれくらい本気を出すのかが大注目されるわけですが……。
すでに、大手メーカーはスマートデバイス向けへ注力することは前提条件として、あとはどれくらいの規模でやるのかという事や、スマートデバイスと家庭用機を比較した場合に、家庭用機のウェイトが大きいメーカーはどこになるのかが見守られる事になります。かなり特殊な市場となっている日本ではありますが、家庭用機向けに頑張っていこうとするメーカーは、応援しておきたいモノですね。
:日本のゲーム開発の主役は家庭用機からスマホへ移ったという記事があったので、まぁそうっすなぁとは思ったりもするわけで。
:コンソール好きとしては、余り良い感じもしないがな。
:そだねぇ。でも、好き嫌いは別として情報の更新ってのは常に必要な事だと思うよ。わたくしとしては、コンソールやPCゲームが賑わってくれれば、それで良いとも思ったりはするけどね。……今年も色々積んでますけどネー。
:ほんと、貴様は遊べよ……。