連載:気まぐれゲーム雑記 第985回:Steamで発売中のゲームに日本からステマレビュー疑惑が発覚、Steam上からゲームが削除される騒動へ発展
レビューは書く人の主観であり、金が絡むとろくな事はないのです
当たり前すぎるけど、ステマはダメ。絶対。
AZです。リアルで怒ると、二重敬語を乱発する人間でございます。
それはさておき、先日からSteam界隈ではSteamで発売中のゲームに日本からステマレビュー疑惑が発覚してほのかに話題となっており、当ブログにもその事について言及して欲しいというメールが寄せられました。事の結末を見てから記事にしようかなぁ、などと悠長な事を考えておりましたが、時事ネタでもある以上鮮度が命という事で、中途半端なタイミングではありますが今から話題にのっかっておこうかと思います。ざっくりとした簡単な経緯は次の通り。
- 各クラウドソーシング(※ネット上で不特定多数の人に仕事を受発注ができるWebサービス、フリーランスや在宅ワークをしている人が利用することを想定してる)にて、「ゲーム配信サイトsteamでのレビュー(※魚拓)」「steamと言うゲームサイトの評価代行(※魚拓)」「Steamでの評価レビューが行える方(※魚拓)」という仕事依頼が発見される
- その仕事依頼の情報を元に、発注者SRL(※同人サークルではなく企業として活動している模様)が発掘(※クライアント情報とSNSアカウントが同一・製作途中のサイトURLを載せていた、など)
- それに釣られる形で、ステマ対象ゲームも特定
- ゲームメディア「Automaton」が渦中の開発元に質問状を送る←今ココ(※執筆中にどんどん事態が動いた。後述参照)
各ステマ検証については、上記の情報元各サイト様が検証しております。ここで書いてもそれと同じ事を書くだけになりますので、そちらをご覧下さい。
そこから事態が進展
実際は少し複雑なところもありますが、簡単な流れを説明するならだいたい上記のモノで良いかと思います。要するに、「ゲーム配信サイトsteamでのレビュー」などとクラウドソーシングで仕事を出したゲームの開発元があり、限りなく真っ黒に近いレベルでレビューのステマをしようとした(もしくは実際にした)可能性が高いという疑惑が持ち上がっていた現状……だったのですが、そこから事態が色々と動いています。
渦中のゲームは「WAS -The Hourglass of Lepidoptera-」ということで、パブリッシャーはSteamでギャルゲ等々を排出し続けている海外企業“Sekai Project”……だったんですけど、それが「WAS -The Hourglass of Lepidoptera-」の開発を担当した“SRL”に変化しました。パブリッシャーが変化した事がわかる画像を置いておきます。
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で、そんなパブリッシャーのSekai Projectは、渦中のゲーム「WAS」の続編のKickstarterキャンペーンをキャンセルした事を表明しました。理由として「SRLの契約不履行と法的問題により、キャンペーンをキャンセルした」との事です。さらに、該当ゲームについては、「近日中にSteamから削除される」旨も伝えています。具体的な時間はわかりませんが、Sekai Projectの人はツイッター上にて月曜日にValveへ削除の連絡をすると発言しました。なお、ライブラリにある場合はインストール・プレイする事が可能で、Steamキーも有効になるとも伝えられています。
@toyoch We've also are now not working with him, we will be contacting Valve to remove the game on Monday.
— Raymond Qian (@dobacco) 2016年2月27日
ステマの代償は大きい
さて、本件のような形で明らかになるのは珍しいというか、クラウドソーシングにて募集をしている時点でステルスする気があったのか何とも悩ましいというか、そもそも不味いことだと認識していなかった可能性さえ見えてしまう話ですが、結果だけを言ってしまえば、問題のゲームのパブリッシャーを担当したSekai ProjectがSteamからゲームを撤収させて事態の収拾を図ったという流れになります。Sekai Projectはパブリッシャーとして誠実に対応したと思えますし、今後開発を担当したSRLから何か発表があるかどうかが唯一の気がかり、といったところでしょうか。
言わずもがな、ステルスマーケティングは法的に見ても非常にリスクが高いわけでして、実際に露見してしまったら本件のような結果になる可能性も高く、誰も彼もが不幸になるというオチが待っています。しかも、ステマにより信用を失ったことで今後もし開発側が再起を目指そうとした場合は、並々ならぬ努力が求められてしまうという事も確定的に明らかでしょう。バレなきゃ良いとかそんなくだらない話ではなく、根本的に「やってはいけない当たり前の事」なのです。それが、大手企業だろうと小規模な同人サークルだろうと結果は変わりません。何より、ゲームならば「プレイヤーおよび購入を考えている人たちに誠実でなければならない」のは当然のことです。
なお、良しとするレビューが多ければ良作とされ、悪しとするレビューが多ければ駄作とされるちょっと不思議なご時世ですが、そういったレビューの多くを印象操作したところで、よほどの数が集まらない限り効果が薄いであろう事が予想できます。レビューは主観で書かれるモノが大半ですし、そのゲームに何を求めたかで感じ取るモノも個人ごとに大きく異なるわけです。全体的な評価だけを見て判断するよりも、信用できる人のレビューの方が遙かに価値はあります。印象操作依頼をするくらいなら、もっと影響力のあるゲームメディアや著名な人にPR記事の依頼をするなりマーケティングを相談した方が堅実だったのは言うまでもありません。
今回の一件は、日本の開発がこのような事態を引き起こしたという点において、ただただ残念の一言に尽きます。今後、こういった事が起きない事をただひたすらに願いたい限りですね。
:Steamで販売中のゲームにステマレビュー疑惑が勃発して、Steam上からゲームが削除される事になっちゃったよーってなお話です。
:続編のKickstarterキャンペーンも中止されちゃったし、どうしたかったんだろうなぁ……。
:まず、ゲームの規模がどんなモノであれ、Steamという商業の場で印象操作をするかのような話が日本の開発側から出てくるというのは、本当に嘆かわしい限り。もちろん、今回問題になっている開発元だけだとは思うけど、結局露見したらこの始末なんだし、そういったリスクはきちんと理解すべき話だったとも言えるかな。……当ブログにおきましては、「レビューして欲しい」というご要望は受け付けますが、本当にそんな話が来たらわたくしの好き勝手にレビューさせていただく所存でございます。
:結局レビューって、書いてる人が信用に値するか否かだと思うんだよなぁ……。
法的に見ても非常にリスクが高いとはどういうことでしょうか?
そこのところを詳しく説明して欲しかったです。