連載:気まぐれゲーム雑記 第38回:海外からみた日本のゲーム事情は良くも悪くも日本だったと言う話題
気まぐれゲーム雑記
第38回「海外からみた日本のゲーム事情は良くも悪くも日本だったと言う話題」
ゲーム業界に限らず、クリエイティブ業すべてに通じる話かもしれません。
海外からみた日本のゲーム事情
ゲーム業界は不況に強い、何て言葉をよくメディアさんは口にします。
ですが、ハッキリ言えばそんなわけもなく。不況になれば個人のお財布の紐は固くなるのだから、娯楽の部分から切られるのは必然です。そして、それは中小メーカーも直撃します。一昔前で言えば、北海道拓殖銀行の経営破綻に端を発したハドソンのコナミによる子会社化は、不況のあおりを食らったと言えるでしょう。大手は上手くやりくり出来るとは思いますが、ゲーム業界全体が不況に強いのではなく、一部のゲーム会社のみが強い、と見るべき事です。
そんな日本のゲーム業界ですが、海外だと中々に面白いような角度で見られています。海外メディアのGamasutraさんによるコラム(英語サイトです)だと、やはり心配もしてしまうような現状に見えるようです。詳しくはこちら(Choke Pointさんの翻訳です)。
というわけで、今日の話題はこれを足がかりに海外から見た日本ってどんなもんなんでしょ? という話題を展開したいと思います。
日本も海外も似たようなモノ?
何時ものように要約すると、以下の通りです。
- CESAはデジタルセールスに目を向けて、日本は元気だよーって言うけどそれは大企業に限りの話じゃない?
- 日本の企業文化、つまりサラリーマンの機械的な働き方で大丈夫?
- 稲船氏は自由なゲーム作りのために独立したはずなのに、大手パブリッシャーと手を組んでNINJA GAIDEN Zを作るというのは皮肉だね?
- 日本らしさを活かさずに、欧米製ヒット作を真似して退屈なゲームを作り続ける日本のゲーム会社のことが心配
- 保守的になって自由に日本らしいゲーム作りが出来なくなった日本の現状は、企業文化そのものをどうにかしないと未来がみえてこない
まぁ、グリーとか何だとか書いてありますけど、要するにこんな感じです。
これらは海外ながらに良い考察だと思います。
とはいえ、日本の企業文化がどうこうというと、ゲーム一本で大量のレイオフを出す可能性がある海外開発の在り方もどうなのだろうか……? とは思えてしまいます。まぁ、結局はどっちもどっちなのだという現実は変わりませんけど。
つまりは、考え方や優先順位の違いであり、環境の違いでもあります。
インディーズのハングリー精神をどこまで引き出せる?
会社にはそれぞれ社風があり、それこそValveやGoogleといった自由な社風の会社は、日本からするとスゴイとしか言い様がないモノに映ります。そういった事を考えれば、日本の企業は間違いなく保守的でしょう。大手であったとしても、失敗を恐れて勝負に出ることをしません。リスクや失敗から何かを学ぼうという姿勢ではなく、利益こそが最優先されるべきことだからです。ですが、企業なら利益を最優先にするのは当然とも言えます。
ですが、勝負に出られない理由は、開発費の高騰という部分にも言える事になります。現在のコンシューマー機タイトルの開発費は、億単位はかかると言われています。ちなみに、ギアーズオブウォーの開発費は1000万ドル(当時で12億円)かかったとされていますが、これでも安上がりだったと言う事も言われているくらいです。それじゃあ、失敗することを恐れるのもムリはありません。そういった事を踏まえれば、開発費が比較的安い携帯機へとシフトしていくのも必然でしょう。
今は、スマートフォンなどのソーシャル系ゲームの勢いがスゴイです。その根底にあるのは、インディーズによる簡単に開発できる環境、ということになります。
日本のゲーム開発が携帯機へとシフトしているなら、そこにより開発しやすい何かを提供すれば見えて来るモノがあると思います。
日本でもフリーゲームだった洞窟物語が様々なハードに移植されていったように、そのハードへ参入しやすい登竜門を作ればそこに良い作品が集まってくる、そんな気がしてなりません。海外ではSteamなどでインディーズタイトルが好調な売れ行きをみせるケースが増えています。日本も、そういった環境作りからやっていく必要があるのかもしれませんね。
しょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会
:なんか海外が日本の現状を嘆いてるコラムってのがあったんで、それを元に書いて見ました。
:まぁ、結局はどっちもどっちだよな。
:今ソーシャルの勢いがスゴイのは、スマートフォンなどをベースにしてるからであって、開発環境が比較的簡単に手に入るから。じゃあ、携帯機くらいは開発環境が簡易に手に入ってもいいんじゃないかなぁと。そうやって間口を広げていくのは大切だと思う。
:日本じゃPCゲームは流行りにくいからな。でも、洞窟物語みたいなモノもあるし、しっかりと作れる環境さえあれば、まだまだやれる業界だと思う。はてさて、今後の業界はどうなっていくのかねぇ……?