ファーストインプレッション「メタルギアソリッドV ファントムペイン」:自由潜入とマザーベースとバディ
国産ステルスアクションの大作
前置き
どこかに潜む未知なる敵との死闘は、スリルが満載です。どこに隠れたのか、必死で探さないといけませんし、これがなかなか見つからない。
で、必死の捜索の甲斐もあり発見すると、今度はどうやって仕留めるべきかに頭を悩ませます。打撃、射撃、特殊武器の設置。どういったモノが最善なのかを考えます。そして、いざ仕掛けようとしたら突如飛びかかってくるといった、むしろこちらが驚いて止まってしまうような反撃に出てくるケースも稀にあり、一度体験してしまうとかなりの恐怖と戦わねばなりません。
やっとこさっとこ敵を撃破したら、今度はどうやってその敵を処分するか、頭を悩ませます。むしろ、その敵は敵である以上毛嫌いする他なく、持ち歩くなんて選択肢はあり得ません。極力、触れなくて済むように処分をし、そうすることでやっと部屋の平和が保たれるわけです。
……まぁこの話は、部屋に潜むと言われている黒光りする昆虫の話ですけど。ちなみに、私は大嫌いです。
あ、ここまでが前置きです。
大作に相応しい出来映え
さて、発表からそれなりの年数が経過し、ついに登場した「メタルギアソリッドV ファントムペイン」ですが、メインエピソードがいくつあるかはわからないままにエピソード14くらいまで進めたので、ファーストインプレッションです。ちなみに、ネタバレ満載になるので注意して下さい。
では、どういった変化があったのかをピックアップしていきましょう。まずは、自由潜入とオープンワールドについて。
「決まったプレイ」から「好きなプレイ」へ
本作のウリは、ステルスアクションなだけに言うまでもなく潜入です。ですが、その潜入方法はどんなやり方でも構わない。それを可能にするだけの、広大な土地がプレイヤーを待っています。
世界は広いのです
メインのミッションはエピソードごとに語られる作りになっていて、一定のミッション範囲内で行動する必要があります。ですが、その中でどういった行動を取っても、目的さえ達成すれば問題ありません。全員倒しながら進むも良し、避けるも良し、強行突破するも良し。
この「プレイヤーが判断する」という要素は、それだけ遊びの幅を大きくします。多少迷うこともありますが、それはもう試せばいいわけであり、基本は「考えられるモノは用意したから好きに潜入しろ」というモノです。今までのシリーズでは、だいたい敵は決まった配置にいるので決まった様な行動をとればどうにかなる雰囲気が多かったわけですが、今作では自分の好きなスタイルで好きなようにプレイできるのです。そこが一番の違いでしょう。前作「メタルギアソリッドV グラウンド・ゼロズ」よりも、遙かにそれを実感しやすいです。
また、それとは別に、オープンワールドな世界をひたすら駆け巡って、探索する事が可能になっています。探索した素材は、武器開発やマザーベースの拡張へと繋がっていきますし、メインミッションをやる際の下調べにもなります。なんだかんだと、襲撃者の如く各拠点を制圧していく様は、すこぶる楽しかったりするのです。
マザーベースをでかくする
本作の特徴といえば、マザーベースの拡張です。主人公ことスネークの本拠地とも言える基地ですが、先ほど書いたように探索の際に得た資源を使って拠点を拡張することができます。
その基地で働くスタッフを、あらゆる場所から敵を回収してスタッフとして働かせるわけですが、そのスタッフ集めのために極力「敵は殺さない方が良い」という思考が働きます。これこそが、本作がただ敵を殺害するのに特化しない理由といっても過言ではないでしょう。もちろん、各ミッションのスコアにも影響しますが、ミッション次第では多少殺害してもSランクをとれるモノもあります。
頑張ってSを取るのも楽しみの一つです
一人じゃなくなったお供こと「バディ」
今作のもう一つのウリといえば、「バディ」です。移動に役立つD-Hoseや探索ならお手の物であるD-DogことDD、何でもかんでも排除してくれちゃう女スナイパーのクワイエットなど、個性溢れるメンバーが取りそろっています。DDは、子犬時も成犬時も超可愛いし役立つので、オススメです。うん、本当に可愛い。ストーリーなんてどうでも良いくなるくらいには可愛い。
ヘリに乗ろうとして落ちてしまう子犬時のDDさん
親馬鹿っぷりを心配視するDDさん
バディには、ミッションに同行させた際に上昇する親密度があるキャラクターもおり、最初は何が何でも殺戮しまくるクワイエットさんも、親密度を上げて麻酔弾仕様のスナイパーライフルを持たせると、そこらじゅうばったばった眠らせてくれます。しかも、囮にも使えるという高機能っぷり。言うことなしです。
プルプルクワイエットさん
強いて、不満を挙げるなら
じゃあ、問題なしの隙がない大作かと言われたら、大作だし凄く面白いけど問題がないわけじゃない。
まず、とにかく時間がかかります。プレイのやり方ではなく、ステージのリトライに時間がかかったりするという事です。特に、ヘリで運ばれているシーン。演出上仕方がないとはいえど、ひたすらリトライする際はいい加減飛ばしてみたくもなってしまいます。なお、各ミッションは初見なら時間はかかるでしょうけど、慣れていけば徐々に楽にはなるでしょう。
毎回ヘリに揺られます
また、開発にも時間がかかります。時間がかからない様な装備もありますが、開発が進めば進むほど時間がとられるようになる仕様です。開発は、計画的に進めていかないといけません。
さらに、ネットワーク要素には今のところあまり期待できません。というのも、当方PC版なのでそもそも「メタルギアオンライン」は視野に入れていないわけですが、サーバーが快適に動いている感は皆無なんですよね。ところどころでブチブチ切れており、むしろオフラインでやっている方がスッキリするという仕様になっています。今の状態なら、オフラインとオンラインは使い分けた方がいいかもしれません。
あと、どうでも良いけどバグっぽいシチュエーションに遭遇したので、それだけご紹介。敵が運転するトラックが止まったところを覗いたら、トラックの運転席の上に立ってた、といった次第です。
なぜだかわからないけど、反射的に撮っておきました
まとめ
これだけ広くなったという背景には、想定するゲームデザインを詰め込もうとした場合、今まで通りでは到底入りきらない要素が多数あった事が想定できます。「GTA5」が、現実社会をベースに「ロスサントス」という街に住む事を考えたゲームであるとすれば、こちらはとことん「潜入」するために作られたオープンワールドです。そして、そこにちりばめられた日本ならではのユーモアも、実に面白い。
あらゆる意味で、Japaneseです
映画さながらの世界観で、メタルギアという題材をここまで体現できたというのは、ただただスゴイの一言に尽きるのは間違いありません。「国産」のステルスアクションとして素晴らしい出来であり、まごう事なき「大作」です。まだクリアまで行き着いていないのでストーリーは今のところ評価できませんが、ゲームとしての評価はかなり良いモノである事は揺るがないでしょう。
ステルスアクション好きなら、一度はやっておいて損はありません。各ナンバリングでストーリーが前後するので、過去作をプレイしていない場合はストーリー面で楽しめるかどうか懐疑的な部分もありますが、そこをさっ引いても小島秀夫氏や各スタッフの自信作である事が痛感できます。アクションが苦手じゃないなら、是非やってみて欲しいですね。
この記事を書いた人
:そんなわけで、「メタルギアソリッドV ファントムペイン」のファーストインプレッションです。
:ふむ。そこそこプレイした結果、十分楽しめてるってことね。
:国産で、ここまでの大作ってのはそうはないと思わせてくれる出来だね。ステルスアクション好きやオープンワールド好きはもってこいかと。どんなやり方しても、クリアすりゃOKだし。……あとは、クリア後のレビューでどう変化するか、かなぁ……。
:この勢いで最後まで行って欲しいもんだわなぁ……。