レビュー「Terraria ver.1.3」:ついに完成した、探索と2D建築と試行錯誤が織りなす傑作サンドボックス

Terraria

2Dサンドボックスのお手本にして秀作

前置き

好き勝手に遊べるというのと、順立てて遊ぶというのは結構な違いがありまして。こと、ゲームに関しては「てめーの体験したことがその世界のすべてなのだから、てめーが知りたいことはてめーで体験して、てめーで調べて、てめーでどうにかしやがれ」というぶっきらぼうにワイルドだけど何だかんだと世話を焼いてくれちゃうお姉さんと、「初めての体験なのですから、手取り足取り丁寧に何もかもを伝授してあげますので、あなたはこの世界で迷うことなく楽しんでいけますよ♪」という超過保護すぎて片時も離れてくれないお姉さんといった、2人のお姉さんの違いがあるといっても過言ではありません。

で、クリエイティブな事をやらせようとするゲームは、だいたい前者のお姉さんに当たります。いや、プレイの仕方くらいは説明されるわけですが、その後はプレイヤーたる己の脳みそで設計図を描き、指で実行し、心で満足するorやり直す。そこにあるのは、試行錯誤の精神です。

試行錯誤を楽しむというのは、かなり好みに左右されます。なぜ左右されるのかと言えば、自分の考えを実行した際に、それが本当に正解なのかどうか分からないからです。例えば、考えを実行した際に2時間かかったとして。結果に失敗したとなれば、その2時間で得られることは「自分の考えは間違っていた」という事のみ。人によっては、「2時間を無駄にした」とさえ感じてしまうのです。

ですが、何かを作れば形は残ります。それが「失敗作」であったとしても、です。失敗しただけ前進しているわけで、わずかでも回答に近づいている。それが試行錯誤です。ですので、わたくしめが「Terraria」全編にわたって費やした441時間の試行錯誤は決して無駄ではなかったのだ、と思いながら、レビューに興じたいと思う所存です。

Terraria

441時間

あ、ここまでが前置きです。

2Dサンドボックスの傑作

すでにVer.1.3ということなので、今更振り返る必要性もアレなわけですが、「Terraria」は簡単に言うと2Dドットな世界(ワールド)で探索と建築を思うがままに楽しめるという、サンドボックスになります。地下に掘り進めて鉱石を探すも良し、取ったブロックで家を作るも良し、遭遇する敵をひたすら駆逐し続けるも良し。何をするのもプレイヤーの自由です。もちろん、ある程度「こうやったほうが良い」があるのも間違いないですけど。ちなみに、パッチは無料なので、本体のみ買えば問題ありません。

で、Ver.1.3のウリは、公式が最終ボスと位置づけた「Moon Lord」が追加されたという事です。つまり、“探索”においてはそれが「最終目標」となるわけですが、その最終目標にさらなる拍車をかけるが如く、ワールドに「Normal」と「Expert」の概念ができました。みたままの通り、敵が普通な世界と敵が強い世界の登場です。「Expert」の利点としては、「Expert」じゃないと入手できないアイテムがあるという事と、アクセサリが1つ多く装備できる(拡張アイテムが必要)くらいです。しかして、探索とは「アイテム入手」が目的であるとなると、やはり“探索”においての最終目標は「Expert」の「Moon Lord」討伐といって良いでしょう。そして、その目標に向かってあらゆるアイテムを入手し、最終戦を挑むわけです。

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「Expert」の「Moon Lord」討伐で手に入るTreasure Bag

Ver.1.3の他の要素としては、乗り物に関する装備欄が追加され、トロッコも新しいモノを作れば“Duke Fishron”と競争できるくらいに加速する乗り物になりました。乗りながら戦えるという利点が生まれましたし、アイテム収集にモチベーションがあがりやすくなっています。さらに、乗り物に乗りながら建築もできるので、ボス戦会場の設営にも非常に役立ちます。

Terraria

UFOは非常に楽です

あとは、純粋に多くのアイテムが追加されました。最強装備や便利アイテムなど、アイテム収集がより一層はかどる事は間違いありません。かなりのアイテム数になるので管理が大変というのは変わりませんし、釣りクエストはお使い要素すぎてめんどくささが加速しますが、サンドボックスでこれだけ純粋にアイテム数があるというのは類を見ません。それにより、探索しようという意欲が沸いてきます。

総評:「すべて」はプレイヤーに委ねられている

シンプルにいきましょう。

全身召喚装備にしてひったすら逃げ回りつつ戦うも良し、

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遠距離武器(花火は遠距離)で敵を狩り続けるも良し、

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魔法で敵をなぎ払うも良し、

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近接最強にして“ニャーニャー”うるさいともっぱら話題の“Meowmere”を振り回すも良し、

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最速といってもいい突撃をしてくる“Duke Fishron”からトロッコで逃げつつ撃破を狙うもよし、

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整地しまくって巨大建築物を構築するも良し。

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「何をするもプレイヤーの自由意志に委ねられる」ということこそ、この作品の素晴らしいところです。すべての行動は自分で考え、実施し、試さないといけない。逆を言えば、それだけ「自由」を与えられると、何もできなくなるという人にとっては厳しいモノとも言えます。

今まで多くの大型パッチが配信されてきましたが、Ver.1.3は最終ボスも登場したということで、「Terraria」の集大成と言えるモノになりました。そして、私はこのゲームを納得するところまで堪能しましたし、441時間という結構なプレイ時間を費やしました。その結果、このゲームに対して思うのは「これからプレイする人がうらやましい」という事です。……ハマってないですよ?

こういった自由度の高いサンドボックスは、日本では類を見ないので、一度は手にとって見ると良いでしょう。PC版なら、セール時に激安になるのでそのタイミングを見計らえば良いです。……え、家庭用機版? あちらはパッチが未だver.1.2の段階なので、どうにもなりませんが、フレンドとマルチがしたいとかそういった野望があるなら、家庭用機版の方がやりやすいです。Steam版はちょっと面倒なところがあったりするので、PCに明るくないならマルチを念頭に置かない方がいい……かもしれません。逆に、PCでも難なくマルチができるという環境の人は、さほど問題はないでしょう。英語なんぞ、どうにでもなります。……たぶん。

本作は、やりこみ甲斐があるゲームであり、確かに時間がかかるゲームではあるのですが、「無駄な」時間がかかるゲームではない、類い稀な秀作です。サンドボックスに抵抗がない人なら、是非やってみることをオススメしつつ、「Terraria ver.1.3」のレビューを締めさせていただきます。

この記事を書いた人

AZ

AZ :

「独り善がりなゲームログ with 電漫堂」の管理人。かつて編プロに勤めていたけど、気づいたらWEB屋になってた。ハンドルネームは「アズ」と読むはずだけど、かつてとあるゲームで外人さんからボイスチャットで「Hey! AZ(エイジ)!」と呼ばれて以来、どう読むべきなのかをかれこれ10年以上悩んでる。

レビュー「Terraria ver.1.3」:ついに完成した、探索と2D建築と試行錯誤が織りなす傑作サンドボックスに関するしょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会

しょぼーんさん:「Terraria ver.1.3」のレビューでございます。

しゃきーんさん:ついに、これで完成か。

しょぼーんさん:いやぁ、ほんと長いことやり続けた。Moon Lord倒すまで、すっごく大変だった。色々と苦労したけど、今は達成感で満ちあふれておりますな。是非、一度はやって欲しいと思うよ。……クリエイティブ系なゲームが苦手な人にはオススメしませんけどネー。

しゃきーんさん:つまり、それ以外の人にはオススメ、と。まぁ無事終わって良かった。……やっと次のゲームに進めるなぁ……。

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