レビュー「どうぶつの森 ハッピーホーム デザイナー」:内装と外装を思うがままに楽しめるかどうか

どうぶつの森 ハッピーホーム デザイナー

模様替えをお手軽体験

前置き

「部屋の模様替えをする」とは簡単に言いますが、人間誰しも腰は重いモノでして。部屋の模様替えが趣味という人ではない限り、きっかけがないとなかなか着手できないハードルの高さを秘めています。

例えば、移動させようとした家具が重いと一人では困難ですし。一部の大きな家具を粗大ゴミに出さねばならず、必要経費なはずなんだけど、余計なお金がかかると思ってしまいますし。漫画や雑誌、本を処分しようと思いながら、つい本を読み始めて1日が終わってしまいますし。そもそも部屋の荷物が多いと、模様替えを始める前段階の荷物整理が凄く大変ですしおすし。

しかし、幾多の困難を乗り越えてたどり着いた理想の内装は、着手するまでのハードルが高い分、その達成感も凄く心地よいモノになります。そうしてまた日々の日常に戻りますが、過ごしていくうちに部屋に慣れてきてだんだんと汚れていき、また「模様替えしようかどうか」を悩むのです。……おわかりいただけるかとは思いますが、先に書いた一例はすべて私のことです。

あ、ここまでが前置きです。

ひたすらに、インテリア(内装)とエクステリア(外装)

さて、どうぶつの森シリーズのスピンオフ(派生的)なタイトルである「どうぶつの森 ハッピーホームデザイナー」ですが、注意としてスピンオフなタイトルなのでそもそも“どうぶつの森”シリーズをプレイした経験がある事を前提に話を進めないといけません。特に、“どうぶつの森”シリーズ好きではないけど内装や外装好きな人の場合は、むしろ建築系のツールをPCなどでいじくり回した方が良いでしょう。

で、先に結論から言えば、このゲームは「どうぶつの森の世界観で、ひたすらにインテリアとエクステリアを楽しむ」というゲームです。それはもう、揺るがないモノです。基本はそこにあり、それがあってはじめて動物たちとの交流が楽しめる事になります。

そして、そこから発想力をふんだんに発揮して、現実ではできない部屋を作り出せるのも、楽しみの一つです。ノーマルな家具から、豪華な家具、任天堂的なモノやフルーツっぽいモノ、果てには骨などやりたい放題です。発想力こそ、本作最大のキモと言っても過言ではありません。

では、その中身をピックアップしていきましょう。

家具は多いし、タッチペンで簡単操作

ゲームスタート時、プレイヤーはシリーズでもお馴染みのキャラクターであり、「とびだせ どうぶつの森」では利息なしで借金を課してくる粋なたぬきこと“たぬきち”が社長を務める「たぬきハウジング」なる会社の新入社員として入社します。会社の制服ともいえる赤いジャケットさえ羽織っていれば、あとはどんな格好をしても良いというフランクな会社です。ただし、給料については考えちゃいけないのが、この世界の鉄則です。

そんな新人は、先輩社員“タクミ”の巧みな指導で、どうぶつ達が住む家のインテリアを手がけることになります。その際のルールはただ一つ。住人が希望する家具を設置しておくこと。それさえ満たしていれば、希望する内装からブレがあったとしても、問題なくOKされます。なお、おける家具は各どうぶつ達の内装を手がけていけばそれに対応した家具が増えていく、というスタンスです。なお、通常のシリーズだとリアルタイム進行ですが、本作は1件手がけると日報を書いて(セーブの役割)1日が経過するので、どんどん進める事が可能です。

内装をする際は、基本をタッチペンで行うことになります。タッチペンによる細かい配置は、結構使いやすいモノになっており、直感的に家具の配置が可能になっています。家具を出すのもしまうのも非常にお手軽です。わざわざ部屋の掃除なんてしなくても良い。素晴らしいの一言に尽きます。それに中盤以降になれば家具の量がかなりあるため、文字での検索機能も搭載しています。ただ、「アレが置きたいんだけど、アレって名前なんだっけ?」などと、物忘れが激しくなると多少探すのが億劫になりますが。

さらに、壁掛けシリーズや天井の照明など、多くの家具が増えています。今までのシリーズとは雲泥の量です。先も書いた通り、多くなってくると検索機能はあれどそれなりに目的の家具を探し出すのは少しだけ大変になりますが、自分だけのインテリアを実現できるというのは、家作りが好きな人にとってごちそうになることは間違いないでしょう。

外装(エクステリア)も好きにできる

ゲームを進めていくと、そのうち外装も任されるようになります。新入社員なのにプレイヤーはすべてを任される期待のニューカマーとなるわけですが、すべてを任されただけに好き勝手をする事ができます。それは、公共事業でさえも、です。

もちろん、先に書いたルール「住人が希望する家具を設置しておくこと」は絶対的に揺るぎませんが、その他は概ね自由にする事が可能になります。飲食店に骨を並べるも良し、病院を本だらけにするも良し。まじめにやるも、ネタに走るもすべてはプレイヤーの発想に委ねられます。つまり、「プレイヤーが自由な発想の元に好き勝手な内装・外装をする」事こそが、このゲームの真骨頂といっても過言ではありません。

ちなみに、新人社員たるプレイヤーは、最終的にインテリア、エクステリア、公共事業をすべて任されながらも、会社の外に出て客を探してくると言う営業も行う必要があり、現代ならブラックさながらの実務をこなす事になります。先輩社員等々は、お手伝いしてくれません。当然ながらゲームですので、そこらへんは非常に簡単になっていますし何ら心配することもありませんが、流石は“たぬきハウジング”だと思わせてくれました。

amiiboはお好みで

恐らく気になる点は、amiiboをどう見るかという部分でしょう。本作は、NFCリーダー/ライターに対応しておりますが、カード型のamiiboがあればそのカードに書かれたキャラクターに営業がかけられるというリアル的に考えるとちょっとはた迷惑な仕様になっています。まぁ、わかりやすく言えば、amiiboカードに描かれたキャラクターの家を手がける事ができる、という事です。

他には、公共事業で「学校」「病院」「飲食店」などがありますが、それらの施設における「役割」をamiiboカードを使って指定する事ができます。学校の先生は誰、とかそういった事です。amiiboカードがない場合、ランダムで選ばれるので、とりわけどうぶつの森シリーズでも特定のキャラクターの家が作りたい、といった願望がないかぎりは、amiiboはなくても問題ありません。逆に、「しずえ」などの特定キャラクターはamiiboカードがないと家を作ることができないので、そういった際には必要になります。

多少の不満をどう見るか

ゲームを進めていけば、部屋の大きさも多少変化させることはできますが、具体的な大きさを指示することはできません。決められたパターンから選ぶ事になります。どんどん内装を続けていると、そのうちクリエイティブな発想で色んな部屋を作りたくなってくるのですが、そこらへんに対する欲求を解消する術はありません。

また、クリエイティブな事が苦手な人からすれば、非常に単調な作業に映る事が予想できます。いやまぁ、先も書いた通り基本は「インテリアとエクステリアをとことん楽しむゲーム」なので、そこに面白味を見出せないとなると根本的に合わないという結論しか出せなくなるのは当然の話にもなりましょうか。

総括

本作は、通常のどうぶつの森とは違い、スローライフでもなんでもなく、ひたすらにインテリア・エクステリアを楽しむ家作りゲームです。そして、その自由度はかなり高いし、より快適にゲームプレイをさせようという思惑もしっかりと見てとれます。

なにより、このゲームの価値は家具の量が半端ないので、好きなだけ作り続ける事ができるという点です。家作りというクリエイティブな事に脳みそをフル活用したい人達にとっては、これほどお手軽にやれるモノはそうもないでしょう。タッチペンでの家具設置は、実に秀逸です。……家具探しはちょっと戸惑いますけど。

家の大きさなどに多少の不満は残すモノの、今後こういったシステムが本来の“どうぶつの森”シリーズに搭載されていけば、それはそれでかなり価値の大きい内容にも見えます。どうぶつの森シリーズでも、家の内装等に凝った経験がある人は、是非一度プレイしてみることをオススメ致します。

この記事を書いた人

AZ

AZ :

「独り善がりなゲームログ with 電漫堂」の管理人。かつて編プロに勤めていたけど、気づいたらWEB屋になってた。ハンドルネームは「アズ」と読むはずだけど、かつてとあるゲームで外人さんからボイスチャットで「Hey! AZ(エイジ)!」と呼ばれて以来、どう読むべきなのかをかれこれ10年以上悩んでる。

レビュー「どうぶつの森 ハッピーホーム デザイナー」:内装と外装を思うがままに楽しめるかどうかに関するしょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会

しょぼーんさん:「どうぶつの森 ハッピーホーム デザイナー」のレビューでございます。

しゃきーんさん:ふむ。内装や外装が好きな人にゃ、十分楽しめるってことな?

しょぼーんさん:そだねぇ。あとは、クリエイティブに脳みそを働かせて、面白い家やシチュエーションを作り出したいって人向けかな、と。だらだらとマイペースにできるのも良い要素だと思うよ。……凝り出すと、家具の収集だけでずいぶんと時間とられるけどネー。

しゃきーんさん:なんだかんだと、内装や外装を楽しむって時点で人をそこそこに選ぶタイプのゲームだとも言える気はするな。

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