連載:気まぐれゲーム雑記 第432回:任天堂の業績予想が赤字ということで、出ている関連報道をまとめてみた
気まぐれゲーム雑記
第432回:任天堂の業績予想が赤字ということで、出ている関連報道をまとめてみた
はてさて、どう盛り返すのでしょう。
「やっぱり……。」と言わざるを得なかったWii U
戦国BASARA4のDL版を予約したのですが、PS3用のPS Storeの使い勝手が悪さに風邪の件も相まってストレスが溜まってしまったAZです。Vitaのは使いやすいというに、いつになったら改善されるのやら……。
さて、すでに当ブログでも「任天堂がWii Uの想定販売台数を900万台から280万台に下方修正、2014年3月期の業績予想が250億の最終赤字に」という記事で任天堂の業績予想がボロボロになったという事を書きましたが、各種メディアも色々と情報を出してきました。任天堂が今後どういう舵取りをするのかはさっぱりですが、出ている情報をさくっとまとめてみます。あ、あとついでに任天堂の発表も入れておきます。
- 任天堂 3期連続の営業赤字へ(NHK)
- 任天堂、衝撃の赤字転落ファミコン以降の事業モデル限界に(日経)
- 岩田社長一問一答「ゲーム機の未来、暗くない」(日経)
- 任天堂大幅下方修正 社長進退問う声加速か 本体ソフトとも売れず手詰まり(産経)
- 任天堂が3期連続の営業赤字へ、「WiiU」年末商戦で不振(ロイター)
- 任天堂,2013年の通期業績予想を250億円の赤字に修正。Wii Uのハードとソフトが予想を大きく下回る(4Gamer.net)
- 任天堂:ネット対応で明暗…ゲーム専用機、ソニーなど好調(毎日)
- 任天堂:営業赤字350億円…黒字予想一転、ゲーム機不振(毎日)
- 通期業績予想及び配当予想の修正に関する社長会見での冒頭説明(任天堂)
情報ソースは主にこの9つ。他にもスポニチとかファミ通とか出していましたが、まぁ無難なチョイスという事で。
大半において、下方修正
まず取り上げる事は、業績予想をほぼ下方修正した事です。今一度見てみましょう。
業績予想
- 売上高
9000億→5900億- 営業利益
1000億→350億の損失- 経常利益
900億→50億- 当期純利益
550億→250億の損失販売台数
- Wii U本体
900万→280万- Wii Uソフト
3800万→1900万- 3DS本体
1800万→1350万- 3DSソフト
8000万→6600万- Wii本体
2000万→2600万- Wiiソフト
200万→120万- DSソフト
1000万→1000万[引用元:任天堂|通期業績予想及び配当予想の修正に関するお知らせ(PDFです)]
色々と手厳しいですね。
上記の数字で目を見張るのは、間違いなくWii Uです。目標の3分の1にも到達しないというのは想定外だった、といったところでしょう。ですが、このコンテンツ産業においてコンテンツがないという事ほど世知辛い事はありません。当然それは他ハードでも言える事ですが、Wii Uの場合は絶妙に微妙なタイミングでやってしまったという事になります。
ソニー(6758.T: 株価, ニュース, レポート)が13年11月に投入した新型ゲーム機「プレイステーション(PS)4」の販売は昨年12月28日時点で420万台を突破。同じく昨年11月にマイクロソフト(MSFT.O: 株価, 企業情報, レポート)が投入した新型の「Xbox One」も昨年末までに300万台以上を販売した。WiiUは通年の販売で両ゲーム機に及ばず、「1人負け」の状況に陥る。
任天堂は、今期のWiiU販売にあたっては、有力ソフトの投入や欧米での値下げなど、2社の新型ゲーム機への対抗策を繰り返し打ってきたが、会見で岩田社長は「年末商戦で販売の勢いを加速させるには遠く至らなかった」と振り返った。
[引用元:ロイターさん]
「遠く至らなかった」というのを痛感しているのは、任天堂だけではなく今Wii Uを持っている人達も感じているかもしれません。……いやまぁ、私の事ですけど。ブラウザのためにWii Uを買ったとはいえ、使う機会に恵まれないのは実に忍びない話でもあります。
また、3DSの数字は海外での不振となっています。
ニンテンドー3DSは、国内では引き続き好調を維持しました。
~中略~
しかし、海外では、年間を通じて有力ソフトを次々と投入したことで市場シェアは上昇したものの、販売数は想定していた水準には届かず、「年末商戦で販売を大きく加速させる」という目標を達成することはできませんでした。
[引用元:任天堂さん]
ここらへんは日本と海外市場の在り方の違いが鮮明になった事や、そもそも据え置き機が強い海外においてPS4やXbox Oneが登場している事を踏まえればやむなしといったところでしょう。とはいっても、そもそもに営業利益1000億という数字に合わせて計算された数字とも言えますので、色んな要因はあったと言えない事もありません。当然、Wii Uも同じです。
個別の事柄
ここからは、細々とした情報をピックアップします。まず、辞任を否定している件から。
任天堂の岩田聡社長は17日の記者会見で、自身の進退について「(業績悪化の)責任を感じており、株主の皆様に申し訳なく思っている。今後、早期にビジネスの勢いを回復させるのが何よりの責務」と話し、引責辞任せず続投する意向を示した。
[引用元:日経新聞さん]
随所で、コミットメントなんだから辞任だの何だのといった声が色々出る事は予想できた事です。しかし、私の意見としては、進退を問えるのはそのコミットメントを信じて任天堂に出資した株主達や関係者だけであり、それ以外の方々がとやかく言うのは筋違いと思う次第です。逆に、株主さん達はもしそれを望むなら声を大にして言うべきですね。ただまぁ昨年経営体制を変更したばかりですし、変わりに務まりそうな人もいない雰囲気な事を踏まえれば、この路線で突き進むのは想定の範囲内でしょうか。
ですが、それも前社長であった山内氏が筆頭株主だったから可能だった事で、現時点だと山内氏が亡くなられた事で事情は変化しています。そこらへんについては、
筆頭株主だった故・山内溥前社長から同社株を相続した遺族が、相続税の支払いを理由に一部株式を放出する意向を示していることについて、岩田社長は株価への影響を抑えるために「(相続株の放出には)自社株買いを軸にして対応する検討をしている」と述べた。
[引用元:ロイターさん]
といったように、自社だけでやれるような体制作りをしていくのかどうかが気になるところです。それらがいつ実施されるかはわかりませんが……。
また、Wii Uが不調で赤字転落ということになると、「Wii U不調=据え置き機不調=スマホ市場だ!」の方程式が成り立つのはメディアでは毎度お馴染みな光景ですが、今回も日経新聞で
もちろん、任天堂をはじめとしたゲーム機市場を駆逐しているのはスマートフォン(スマホ)向けゲームだ。これで売上高は5期連続の減少、営業赤字は3期連続となる。
[引用元:日経新聞さん]
と論じていて、少々つまらない論調です。スマホ関連と言えば、他にも
任天堂の岩田聡社長は17日夕、大阪市内で記者会見し「欧米の年末商戦での販売が想定を大幅に下回った」と説明。「スマートフォンをビジネス拡大のためにどう使うか考えるべきだ」と述べ、専用ゲーム機とソフトを軸に稼ぐビジネスモデルを転換する可能性に言及した。
[引用元:毎日新聞さん]
といったような報道も出ていますが、実際どうでしょう? スマホでMiiverseを使えるようにする程度でも「スマートフォンをビジネス拡大のために使うべきかどうか」の一手であるに違いありません。その程度なのかどうかという事や、根本的に他のメディアではせいぜい「スポニチ」に同じ論調があっただけで、日経新聞は
――ゲーム機自体の需要が縮小している。
「スマートフォン(スマホ)やタブレット(多機能携帯端末)に取って代わられるという論調があるが、ゲーム専用機ビジネスの未来は暗いとは思っていない。世の中の変化に合わせて提案できるかだ。スマホゲームの『パズドラ(パズル&ドラゴンズ)』が携帯型ゲーム機ニンテンドー3DSのソフトになって1カ月でミリオンセラーになった」
――事業構造を変える考えは。
「ゲーム機だけをつくって今までと同じ売り方をすることが今後ずっと続くかどうかは疑問を持つべきだ。新たな事業構造は考えている。30日に開く経営方針説明会で具体的に話す」
[引用元:日経新聞さん]
と、スマホと新しい事業について分けて書いていたので、フタを開けて見るまではわからないといった状況であるに違いはなさそうです。
まとめ
ざっと多くのメディアの論調を見てきましたが、面白い意見として
SMBC日興証券の前田栄二シニアアナリストは「任天堂の不振はゲーム専用機市場の縮小が原因ではなく、ゲームファンを取り込めない任天堂自体の問題だ」と指摘する。
~中略~
スマホ向けゲーム市場が拡大を続け、手軽に遊べるゲームはスマホで済ます消費者が増える中、「専用機ならではの新たな魅力を打ち出せなければ、世界のゲーム市場を長くリードしてきた任天堂といえど再浮上は容易ではない」(アナリスト)のが厳しい現実だ。
[引用元:毎日新聞さん]
といったように、ゲーム専用機市場やスマホ云々の問題ではないと論じているアナリストがいると言うのは印象的でした。ゲームファンを取り込めないのは何故か? という点において、十分に議論の余地はありそうです。まぁ、ここらへんは個々で思うところが色々あるでしょう。
なお、今後について岩田社長は
岩田社長は、ハートとソフトの販売が不振だったことについて「深刻でないということはあり得ない」と述べた。ただ、「打つ手がなくて困っている状況ではない」とも話し、来期の営業黒字化は達成できるとの見方を示した。
[引用元:ロイターさん]
として、まだ打つ手はあると考えており、新たな事業構造は1月30日に開く経営方針説明会で具体的に話すとしました。その経営方針説明会で何が出てくるか次第となります。
今回の任天堂の業績予想下方修正は、ゲーム業界でとりわけ大きな存在感を出して来た企業なだけに大々的に取り上げられました。正直に思う事ですが、昨年の中頃にある程度下方修正しておけば、ココまで大きく取り上げられる事もなかったかもしれません。任天堂が赤字続きというのは話題になりますから、いずれにせよ話題にはあがった可能性も否定はできませんが……。今回の一件は極端な話、64やゲームキューブ時代に突入するか否か、といった瀬戸際の話にも思えてなりません。
とはいえ、多くの人が「無謀」と思いそれがそのまま答えになったわけですから、今後任天堂というゲーム業界の大きな存在である企業がどういう舵取りをするのか、というのは多くの人が注目しているでしょう。当ブログとしましては、今後もほんわかとウォッチを続けて参りたいと思う所存で御座います。
しょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会
:任天堂の話題一色に染まったわけですが、まとめたらまとめじゃないくらい長くなっちゃって申し訳ない感が満載です。
:ま、精一杯頑張ったということで。それにしても、任天堂は結構大変そうだな……。
:こうなると、定番のリストラとかスマホにゲームを供給とか、短期的にみれば改善する要素を言い出すメディアは多いけど、中長期的にみたらそういう施策は結構厳しくなるケースが多いので、どういう改善をしていくかを見守りたいとは思いますな。……それにしても、こんだけ苦労しながらも長文過ぎるから読んで貰えないかもしれないと思うと、こういう記事は扱いが難しいなぁと痛感しますわ……。
:……極力わかりやすく、コンスタントな文章をモットーにやっていきたいものだが、時折出てくるこういうネタはまだまだ要勉強という事で……。
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情報ソースが多い… まとめるの大変そうですね。
下から2番目、毎日新聞のアナリストの見解に同意。