連載:気まぐれゲーム雑記 第854回:セガゲームス里見治紀氏曰く「“セガ”とつければ売れるというのはおかしい」

良くしようという意識は感じられる

とりあえず、やれることからやりましょう?

AZです。やるべきこととやりたいことに優先順位をつけないといけないような雰囲気になっております。

それはさておき、セガゲームスの代表取締役社長CEO里見治紀氏が、同社の将来などについて語っています。

――アトラスのノウハウを活かしてIPを育てたり、挑戦的な作品を制作したりといった取り組みも増えそうですね。それでは、家庭用ゲームにおいて、今後とくに力を入れていきたいポイントはどのあたりでしょうか。

里見 社長に就任して、社員には「これからもっとも重視することはクオリティーだ」と話しました。日本は以前よりクオリティー重視に変わってきていますが、欧米はスケジュール重視で、クリスマスなどの市場が盛り上がる時期にどうしても合わせなければいけない。そういう事情もあり、スケジュールを優先しがちなところがありましたが、クオリティーを維持できないのであれば、出さないほうがいいのではないかという気持ちでいます。そうしないと、ファンとの信頼関係が崩れてしまいますから。昔のセガはファンとの信頼関係を一生懸命築いてきましたが、ここ10年は一部裏切るタイトルがあったと、反省しています。クオリティーだけは譲らないようにしていきたいですね。

~中略~

――以前から個性的なクリエイターの方が多数いらっしゃいましたが、いまも人が育ちやすい環境が整っているのですね。

里見 はい。しかし、これだけ優秀なスタッフがいるにも関わらず、結果が出せないのは経営者の問題だと、社員の前でも言いました。世界に商品を届ける体制が整いつつあることも強みですしマーケティング力も強みだと感じています。スマホゲームにおいて、これだけリアルマーケティングを行う会社は、ほとんどないのではないでしょうか。コラボカフェや各地でのキャラバン、O2O(オンライン・トゥ・オフライン)施策など、地道なマーケティングは得意です。スマホに関しては、中ヒットを重ねていけるパイプラインをすでに押さえていることも、強みになっていくと思います。

――世界的なブランド力を始め、開発やマーケティングなど、多くの強みをお持ちですね。

里見 ありがとうございます。ただ、皮肉な言いかたですが、社員には「セガにブランド力はない、あるのは知名度だけだ」と言っています。知名度とブランドは違いますよね。90年代のセガは“ブランド”でしたが、その後に信頼を失ったことで、“知名度”しか残っていない。ですので、お客様の信頼を勝ち取って、改めて本当の“ブランド”にしていきたいです。もう一度、お客様から「やっぱりセガは革新者だね」と言われるようになれば、セガは本当の“ブランド”になれると思います。

――強い決意を感じます。それでは最後に、里見さんが見据えていらっしゃるセガゲームスの将来像を教えていただけますか。

里見 従来のセガは、セガファンに甘えていたところもあり、私はそれに危機感を抱いています。「セガだから」という理由でゲームを買ってくれていた方もいらっしゃるのではないでしょうか。とくに欧米では、“セガ”という社名をタイトルや製品名につけることが非常に多かった。私はそれを、マーケティング担当者の甘えだと思っています。「“セガ”とつければ売れる」というのはおかしいでしょう? クオリティーの高いタイトルを出し続けて、我々がもう一度お客様の信頼・信用を回復していくことが、いま世界中のファンから求められていると感じています。エンターテインメントでいちばん重要なのは、お客様の期待値を少しでも上回ること。エンターテインメントの世界で、“期待通り”ではダメなんです。皆さんの期待を少しでも上回って、サプライズを与えたり、「やっぱりセガだね」と感じていただける会社になっていきたいと考えています。

[引用元:ファミ通.com

いやぁ、思った以上に正論ですかね。

里見治紀氏はセガサミーの里見会長の息子となりますが、かなりクールにセガという会社を上手く建て直そうという心意義は感じられます。特に、「これだけ優秀なスタッフがいるにも関わらず、結果が出せないのは経営者の問題」「セガにブランド力はない、あるのは知名度だけだ」「“セガ”とつければ売れるというのはおかしい」あたりの言葉は、活力溢れんばかりのやり手にも思えてなりません。

里見氏のいう「ここ10年」というのは、サミーがセガを買収したのが2003年ですので、だいたい「セガサミーになってから」の事です。ゲーム事業を抱え込んでいるセガ側の業績が安定しないのは決算時で毎度お馴染みになっていましたし、むしろサミーとしては10年もよく辛抱してきたというところかもしれません。

今後のセガゲームスといえば、メインをスマートデバイスやオンラインゲームに注力する事が伝えられていますが、インタビューを読む限りではとりあえず基盤を固めてから他方面にも手を出していこうという雰囲気はあります。スクエニも今やそんなスタイルですし、セガゲームスはどういった存在になっていくのかが注目どころでしょうか。

時代とともに企業もそのあり方を変化させていくのはビジネスの常でもありますが、大きく変わろうとしているセガゲームスをセガファンたちはどう受け止めるかも気にしておきたいモノはあります。「ここ10年は一部裏切るタイトルがあったと、反省しています」とのことですし、どういったモノで魅せてくれるのかを楽しみにしておきたいですね。

連載:気まぐれゲーム雑記 第854回:セガゲームス里見治紀氏曰く「“セガ”とつければ売れるというのはおかしい」に関するしょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会

しょぼーんさん:セガゲームスの里見治紀氏がインタビューを受けてるよーってなお話です。

しゃきーんさん:ふむ。かなり若い感じがするな。

しょぼーんさん:別に、若かろうが老いてようが、良くなるならいいんじゃない? まぁ、誰にとって良くなるのかが問題ではあるけど、ゲーム事業はなるべく「プレイヤーにとって良い」形にしていかないと、ゲーム以外のところで反感を買っちゃうからね。……で、反省するならとりあえずSteamのおま国をどうにかして欲しいんすけど……。

しゃきーんさん:そ、そこらへんはなんとも、なぁ……。

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