連載:気まぐれゲーム雑記 第808回:クエスト型ゲームの善し悪し
どこまで「自由」を許容し、どこまで「ビジネス」としてやれるかという話
結局はターゲットとするプレイヤーが何を望むのか
AZです。仕事という名のクエストは大の苦手です。
それはさておきまして、Kulturさんにて「クエスト中心のゲームプレイがMMORPGにもたらす悪影響」を取り上げておりますのでご紹介です。長いので結論だけを紹介しますが、MMOとクエストに興味がある人は一読してみるのも良いでしょう。
クエスト中心のゲームプレイは、短期的にはとっつきやすいMMORPGを生み出し、プレイヤーはあまり不自由せずに一定の満足を得ることができる。
しかし、そのクエストを全てクリアした時、あるいはする必要がなくなった時、ずっとクエスト中心だったそのツケが回ってくることになる。
このことを知ってか知らずか、数えきれないほどのクエスト中心型のMMORPGが登場し瞬く間に消えていった。あるいは瞬く間にプレイヤー数が減っていった。おそらくクエストという仕組みそのものが悪いわけではない。
MMORPGだから、WoWは成功したからという短絡的な理由で多くの開発者がWoW方式のクエストをゲームに取り入れ、ゲームデザインをそれに合わせたことが自分で自分の首を絞めることになったのだろう。もし新しいMMORPGやオンラインRPGをプレイして、それがクエスト中心のゲームだったらこの記事を思い出して欲しい。
[引用元:Kulturさん]
いやぁ、私としては共感しやすい内容ですね。
ゲームにおけるクエストの有無は、非常に難しい問題を孕んでいます。シングルRPGだと、「Fallout 3」がわかりやすいところでしょうか。あの作品は、たった一つのメインクエストだけ用意して、あとは世界中を探索する過程で「サブクエスト」を見つけたらそれを楽しむという内容になっています。で、プレイヤーはメインそっちのけで自由に世界中を探索し、自分の目で見て回って楽しむわけです。が、MMORPGで、そこまで自由にしたらどうなるのか? というのは、想像するだけで開発側が難色を示すのは言うまでもないでしょう。ついでに、「何をすれば良いかわからない」病を発症する人も多いのが現状です。
ビジネスの視点で見れば、「何をすれば良いかわからない」病を発症させるのは非常に不味い。ゲームの世界で概ねの自由が与えられた時、自発的に、能動的に遊ぶ事ができないプレイヤーというのは、私自身そのような人達を目の当たりにしてきている経験もあってか、想像以上に多いと思っています。それがMMOなら、引退宣言まっしぐらです。MMOは人が集まってこそ価値があるのは言うまでもありませんが、より人を集めるためには、「何をすれば良いかわからない」病を発症させる訳にはいきません。
その一方で、行きすぎたクエストは「お使い」などと揶揄されるわけですが、クエストを一つの目標、もしくは道しるべとする人達がいるのも確かです。FF14が、恐ろしく丁寧にクエストで「なにを消化していけばいいのか」を解説してくれる様は、近年のゲームにみる「やたら丁寧すぎるチュートリアル」みたいなモノにも似ているところはあります。それを良しとするか否かは、プレイした人達がどう判断したか次第なわけです。
更に言えば、もっと根本的なモノとして、「クエストがゲームとして楽しいのか否か」の議論が出てくるところでしょう。クエストが「お使い」になり、「作業」へと変化したら、もうそれはゲームをプレイしているのではなく「作業」をしているのです。その「作業感」を感じる人の割合が多いか否かというのは重要ですし、ついでに「クエストとストーリーは別物」というのもあります。他にも、ネット上に転がる無数の「攻略法」を参考に、最初から効率重視で遊ぶ人達もいますし、「クエスト」に対して楽しみどころが違うのは仕方がない事かもしれません。
現状、クエスト形式を取るMMOが多いのは、ビジネスとして成立しやすく、プレイヤーもそれらを望んでいるからそういった形になっていると言っても過言ではありません。ある種、MMOにおけるPK論にも似た様なモノがある気がしないこともありませんが、はてさて今後そういった「多くの自由を許容したMMO」が出てくるのか否かは、いちゲーム好きとして楽しみにしておきたいモノですね。
:MMOにおけるクエストが良くないんじゃね? という記事があったので、すげー共感できるけど現実は厳しいのだろうなぁとも思うわけです。
:まぁ、実際それは「コアな人達」しか望まないとか、そういった路線で片付けられるだろうしな。
:そだねぇ。だからこそ、シングルRPGの「Fallout」や「Skyrim」はコア層にアピールして成功したのだろうなーとも思うけどね。……作り手側として、プレイヤーを自分達のコントロール下に置けないのは、すんごく大変なんだろうなぁ……。
:んでもって、労力に見合わない結果になるケースがあるからこそ、上手くコントロールした方が無難だというオチなんだろうよ。