連載:気まぐれゲーム雑記 第1028回:何を思ったのか、商業ゲームメディアが第三者の良心を利用した企画記事を書き、燃え上がった件
社会的信用を捨てたいという事でよろしいでしょうか?
企業としての良識が問われる
AZです。部屋の温度が外の温度から+5~10度くらい違うので、室内がすでに夏真っ盛りでPCの健康状態が危うい季節になってしまい、「ここが地獄か」とつぶやきたくなる衝動を抑えつつ作業に邁進しております。
それはさておき、某商業ゲームメディアが第三者の良心を利用した企画記事を書いた事について何か書いて欲しい、というメールをいただきまして。わたくしめも状況を最初から見ており事態は把握できてますので、サラッと書いていこうかと思います。まずは、どういった記事を書いたのかは、次の通り。なお、すでに該当記事は削除されているので、キャッシュから呼び起こしたモノになります。
そもそものきっかけは、6月1日0時頃にインサイドが「フリーライター内川たまき氏と連絡可能な方を探しています」という記事を公開した事に端を発しており、これで何をしたかったのかと言えば、「フリーライターが行方不明で一大事が起きた」と読み取るか、「カリギュラの特集記事に誘導したかった」というようにしか見てとれなかったのが一番の問題になります。私としては、フリーライターが行方不明になったというに何で記事紹介してるの? というツッコミが一番最初に出てきましたし、その事から恐らくネタであるというのは推測できましたが、嘘か真かもわからない内容なので、事実ならさっさと然るべき機関に連絡しろというしかありませんし、事実じゃなければ炎上ルートは確定だったわけで、こんなことをすればどちらに転べど同作品についてプラスに働く要素がないというのは火を見るよりも明らかでした。
結局、結論としては「インサイドが独自でやらかしたPR目的の企画記事」だったわけですが、いち企業が架空のフリーライターを作り上げ行方不明にし、そのことを第三者に訴えかけることで宣伝するという手段は、悪質という他にありません。記事自体、よく読めば何となくオカシイところがある文章ですし、そもそも6月1日0時に記事を公開する周到さを踏まえれば内容を疑う余地はあるわけですが、内容そのものは急を要した様なモノになっており、しかもフィクションとも企画ともどこにも明記されていなかったため、記事を疑う反面わずかながら「本当だったら大変な事態じゃない?」と思っていた人も少なくはないと予想しております。
インサイドの出す情報そのものに信用があったかどうかはさておいて、上場企業が運営しているという一応あったはずの社会的信用を天秤にかけたかったようで、これを止める人が誰もいなかった事自体問題だし、企画は良しとしても勘違いさせる様なやり方を許容した編集部も問題だったというのはいうまでもありません。インサイドは上場企業が運営している商業ゲームメディアであり、最初から書かれている事が嘘と分かっている娯楽ゴシップな虚構新聞とは訳が違うのです。フィクションならフィクションである事がわかる文言を入れなければ、全くもって伝わらないのが今のネット社会とも言えるわけです。
それでいて、インサイドはどうしてこういう経緯になったのかを明らかにしております。
6月1日00:00にてインサイドで公開した記事「【お知らせ】フリーライター内川たまき氏と連絡可能な方を探しています」について、配慮が足らず多くの読者の皆様に誤解を与え、不快な思いをさせてしまい大変申し訳ございませんでした。当該記事については取り下げさせていただきました。
本記事は『Caligula -カリギュラ-』の内容と連動した企画で、第1弾として「【特集】精神障害を歌うRPG『カリギュラ』の楽曲に迫る ― 歌詞がざわめきへと変わり、心をえぐる」を掲載済みで、今回の第二弾でゲーム内キャラクター「内川たまき」がゲームに取り込まれる形で失踪し、第3弾以降にゲームプレイをしながら「内川たまき」を探していくという流れを予定しておりました。
しかしながら、本日公開の第2弾の記事について、「内川たまき」がゲーム中に登場する架空の人物であり、フィクション・企画である旨が抜けており、また発売元であるフリュー株式会社様による文言チェックも経ておらず、多くの読者の皆様に誤解を与えてしまったことを深くお詫びいたします。
また、フリュー様にも多大なご迷惑をおかけしたことをお詫び致します。
[引用元:インサイド]
まぁ、その、なんでしょう。「最低限、文言チェックは出せよ」とは言いたいですね。
当ブログなんぞ、何ら力を持たないただのゲーム好きが個人でやれる範囲でたぶんそれなりの努力をして情報を集めて、極力間違えないよう、正しい情報が伝わるよう頑張ってやっているというに、メーカーにチェックを出せば何らかのアクションが貰える商業メディアが文言チェックさえ出さないというのは、実にけしからんとしか言いようがありません。いや、確かにメールを投げても恐ろしく反応が遅くて、結局電話して初めて気づいて貰ったは良いモノの、電話してもなっかなか返答をよこさない企業とかありますけど。……ありますけど!
他にもツッコミどころがあったりするわけですが、とりあえずどこかに「企画」とかそれに類する文言やイラスト等が入っていれば、ここまで事が大きくなる事もなかったのは明白であり、しかも文言チェックにも出さず通している編集部というのは、いくら個人から企業サイトへ変貌したとはいえど、「フィクション・企画である旨が抜けており」なんて言葉も含め、本当に仕事が雑と評するしかありません。こんな事で、フリューにはステマ疑惑が発生しちゃいましたし、インサイドの編集長は謝罪文を出さなきゃいけない状態になりましたし、一体全体何をしたかったのかと言われるのもやむなしではないでしょうか。
なお、フリューについては、ねとらぼが裏付けをとっています。
第1弾の記事が掲載される際には報告もあり、「連動企画となることは知っていたが詳しくは知らなかった」と回答。「今回の件は弊社としてもインサイドが掲載した事項がすべて」として「金銭の授受はもちろん、広告代理店などを通しての企画でもないし、なにかしらのバーターでもない」とコメント
[引用元:ねとらぼ]
今後の対応は社内で検討して決めるということなので、フリューに対して思うところがある人は、一応(?)あまり勘ぐりすぎないようにした方が良いとは思う次第であります。ただ、いくらなんでも「連載企画は知っていたけど詳細は知らなかった」というオチは、インサイドをどれほど信用していたのかどうかはわかりませんが、せめて内容をチェックするくらいの事はしておいても損はなかったのではなかろうかと言わざるを得ませんし、「内川たまき」というキャラクターがゲーム内に出てくるという事をどう利用されるのかさえ把握してなかったというのは、何とも言いがたいところがありますので、もはやどうにもならない感情が渦巻くのはやむなしという他ないのですけれども。
じゃあ、カリギュラはゲームとしてどうなのかと言われたら、「ゲームの評価は実際にプレイしゲーム内容で判断されるべき」ですが、その一方で「リアルで行われる宣伝活動に嫌気がさした」と考える人がいるのも間違いないわけで、根本的に今回の一件はゲームメディアがやらかした事ではあるのですが、そのような負の感情は“買わない理由”の一因になる可能性が否定できないところはあります。ある程度、自身の気持ちを分別できるかどうかがポイントになりましょうか。
今回の一件は、「ゲームメディアが企画モノで読者の興味を惹こうとしたら、やり方が余りにも雑すぎてゲームメーカーまで疑われてしまった」という訳の分からない構図が誕生してしまったわけですが、そもそもこういったプロレス的なやらせ記事っぽいノリを嫌っている人は多いという事を理解していたかどうかも気になるところはあります。違った意味で宣伝にはなったようですが、ゲームメディアとしてゲームメーカーに迷惑をかけるという一番やらかしてはいけないことをしでかした事ですし、今後はこういった一件が起きないことを切実に願いたいモノですね。
あ、ちなみに、「配慮が足らず多くの読者の皆様に誤解を与え、不快な思いをさせてしまい大変申し訳ございません」という文言は、「記事の内容自体に一切の問題はない、ただ読む人への配慮が足りなかっただけ」と謝罪しているような気がしないこともないので、インサイドは今後も「企画や内容について一層の精査」をすれば第三者の良心を利用した企画記事を書く可能性があるという事でしょうかね?
:要するに、インサイドが炎上したんでそれについて書いて欲しいということだったわけで、さらりと事の経緯をまとめましたよーってなお話です。
:ゲームと連動するかのような企画だったっつーのはわかるが、それを明記しない事にゃアウトなやり方だよな。
:今の時代、ネットで得た情報で通報するなんて行為は実際にあるわけで、そういう考えに至る人がおらんかったというあたりが余計に不味かったとは思うかな。なんというか、企業で運営しているのだからリスクはきちんとかんがえよ? という事に尽きるね。……ま、それはそれとして、ゲームはゲームで評価されて欲しいとも思うけど。
:そこはもう、個人の采配次第じゃね? なんだかんだとオリジナル路線を捨てずに頑張っているフリューは、応援したいとも思うけどな。