連載:気まぐれゲーム雑記 第815回:DLCでゲーム寿命を伸ばしていくのは普通と言える時代

課金が悪い訳じゃない、ツマラナイモノに課金させるよう仕向けるのが悪いのだ。

いい加減、「何に」課金をするかが問題だというのを知ろう

AZです。扇風機がないと、PCが燃え上がりそうなくらいアツイのです。

それはさておき、産経新聞が「ファイアーエムブレムif」で任天堂が「重課金」に舵を切る懸念があるという記事を公開しております。

スマホ向けはゲーム本来のおもしろさよりも「いかに課金させるか」に重点が置かれがちで、熱中した人が1カ月に数十万円請求されるなど社会問題化したことがある。そんな中、任天堂はゲーム専用機で“課金的”な追加費用が必要なソフトを発売する予定で、任天堂が「重課金」に舵を切るのではと懸念が高まっている。

~中略~

このゲームは途中でストーリーが分岐するが、それぞれ「白夜王国」「暗夜王国」として別のゲームとして発売する。両方のストーリーを楽しむためには、2本のソフトを購入するか、インターネットを通していずれかを追加でダウンロードしなければならない。

さらに3本目のストーリーのネット配信も予定しているという。価格はソフトがそれぞれ1本5076円、ネット配信がそれぞれ2千円で、すべてのストーリーを遊ぶためには最低でも9076円が必要な計算になる。これは、5千円以下のソフトが多い3DS向けとしては高額だ。

~中略~

スマホ向けゲームが課金に頼っている状況には変化はない。ゲーム本来のおもしろさよりプレイヤーを課金させるための仕掛け作りが重視されており、従来のテレビゲームよりもパチンコやパチスロに立ち位置が近いとも言われている。

もっとも、電車などで時間つぶしに遊んでいる人のほととどが無料部分のみで済ませている。毎月、数千円~数万円課金するごく一部の「重課金」ユーザーによって支えられているのが現状だ。

[引用元:ITmediaさん]

ずいぶんと、色んな考えが混同している記事ですね。

この記事を最初に読んだ時は、「一体いつの時代の話題を引っ張ってきたのだろう?」とか思ったりしたわけですが、先日公開されたばかりだったのを見て、結構な時代遅れ感を演出している内容に驚きを隠せません。時代遅れで良いのは、プレイヤー側だけです。いや、極力現状も理解しておくに越した事はありませんけど。でも、今を理解しながらも「昔のモノが好きで何が悪い」と言い張れるのは、プレイヤーに許された自由意思なのです。逆に、メディアの人間は、常に最先端の在り方を理解しておく必要があります。なのに、ガチャとDLCを同系列で語っているあたりも何が伝えたいのかイマイチ分からないところは、相変わらずな記者のようです。そもそも、フルプライスのゲームのDLCについてと、スマートデバイスのゲーム群を比較してたらそりゃもうビジネスモデルの比較論を書いた方が圧倒的にマシなわけですが、これでお金が貰えるのだから実にうらやまけしからんですね、ええ。

もはや今更な話ではあるのですけど、大手は新規IPをほとんど作らなくなる一方で、収益を挙げる手段としてDLCでゲーム寿命を延命するようになりました。ハードのスペックが上がり、やれることが増えるということは、プレイする側としちゃ嬉しい限りですが、作る方はより開発期間が長くなり、より予算が大きくなり、より多く売らないといけなくなったというのが現実です。かといって、日本市場でバブリーに儲けられるかと言えば、そんな事はない。海外なら、GTAやCoD、アサシンクリードなどといったシリーズが、実にバブリーな展開をみせておるわけですが、日本において巨額の投資によりそれを回収できるかと問われたら、ただただ「難しい」という答えしか出せなくなる。

ゲームの売り方の歴史を見てみれば、パッケージがあって、MMOのような月額課金が登場し、PCでアイテム課金が出現、本編+DLCに変化していき、DL販売や基本無料へと突き進んだというザックリとした流れがあります。あくまでも、ザックリですけど。
で、ゲームの価格的価値は下がっている一方で、大手ならDLCはすでにある程度「スタンダードなモノ」になっているのが現状です。いやね、それが嫌だというのもわかるのですよ。世の中には、ガチャとDLCを混同して紹介し、さも課金は悪だと決めつけるメディアがあったり、フルプライスのゲームからシステムの一部を削除して「倉庫拡張DLC」やら「日本語化DLC」なんてプレイヤーの神経を逆なでするようなメーカーがあったり。そんなの、DLCの印象が悪いなんて当然の流れとしか言い様がないわけです。どこに責任があるかと言われたら、そりゃまぁケースバイケースとしか言えませんが。

ともあれ、今や大手のゲームにDLCが出てくるというのは、ある程度スタンダードなモノであり、そのDLCが「一体どういったものなのか」の方が重要だったりするわけです。ただ嫌悪するのではなく、その内容を見極めてから判断していったほうが、より面白いゲームに出会える確率もあがるかもしれませんね。なお、件の「ファイアーエムブレムif」については、“ボリューム次第”としか言い様がないとも思ったりしておりますが、そもそもにあれは「課金」というよりも「販売形態」の話ではなかろうかと思う次第です。

連載:気まぐれゲーム雑記 第815回:DLCでゲーム寿命を伸ばしていくのは普通と言える時代に関するしょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会

しょぼーんさん:産経新聞が「ファイアーエムブレムif」を題材になんだか妙な記事書いてるよーってなお話です。

しゃきーんさん:ふむ。重課金か。金額については、何とも言いがたい話だよな。

しょぼーんさん:そだねぇ。コーエープライスみたいなモノもあれば、据え置き機でもアクションなら5時間程度で終わるモノもあるわけで。結局金額って価値だから、それに見合うか否かは個人の価値観にすぎんと思うよ。……マトモなDLCなら、自分の判断で買えという事です。

しゃきーんさん:DLCをすべて悪と見るのではなく、その内容が悪いのか否かを判断すべき、なんて事は、DLCが出てきた初期にメーカーがそう思わせないといけなかった話でもあるんだがな。

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