レビュー「Plague Inc Evolved」:お手軽ながらに妙にリアルな雰囲気の病原体感染シミュレーション

Plague Inc Evolved

読んでも読まなくてもよい前置き

その昔のファミコン時代などから見れば、現在はCPUやプログラムの向上により、より難しいシミュレートが可能になりました。いやまぁ、どこのゲームとは言いませんけど、現実にはシミュレーションを名乗っておきながら、AIがお粗末すぎて手に負えないゲームもあるのですが、シミュレーションの良いところは通常のプレイで可能である手段をすべて活用しながら、プレイヤー自身の試行錯誤の果てに「最終的に勝てば良い」というところです。

勝つために飽くなきシミュレートをし、リソースを管理して、あれやこれやと作戦を練りながら、最終的な勝利を目指すのがシミュレーションの面白さだと思うのです。ほら、シミュレーションの代表格である“Civilization”でも、平和を愛するガンジーがちょっとしたことをすると核を使うような雰囲気を出してくるわけでして、これぞシミュレーションだと心底思わせてくれるわけです。……まぁ、あの現象は何とも言いがたいところですが。

ともあれ、シミュレーションというのは、ゲーム内で可能なあらゆる手段を持ってして目標を達成するのが醍醐味のジャンルです。ですので、それが病原体であれど、何ら恐れることはありません。むしろ、ちょっとだけ病原体に詳しくなれるかもしれない。それが「Plague Inc Evolved」というゲームなのです。

あ、ここまでが前置きです。

潜伏させつつ広めていき、一気に進化させる楽しさ

さて、Plague Inc Evolvedのレビューとなるわけですが、本作はスマートデバイス向けに配信された「Plague Inc. -伝染病株式会社-」のPC版となります。このゲームの目的は、プレイヤーは病原体を作りだし一人に感染させることに成功したという設定で、その病原体を進化させて人類を滅亡させるのが目的です。

ゲームプレイについてはスマートデバイスのゲームがベースになっているだけに至ってシンプルで、世界地図上に出てくる赤やオレンジのDNAバブルをクリックして破壊しDNAポイントを入手。そのDNAポイントを使って、病原体を進化させていくというモノです。ですが、これがなかなかにリアルなシミュレートになっており、一筋縄ではいかないケースが多い。

Plague Inc Evolved

バブルはしっかりと破壊します

どこらへんがリアルかというと、感染させて広まっていく過程で人類に発見されると特効薬の開発が開始されます。その開発速度は危険度や致死性に依存しており、それらが高かったりすると早期に国連等々が動き出し、特効薬の開発が一気に加速してしまいます。特効薬が完成してしまうと、せっかく作り上げた病原体が駆逐されてしまい、敗北するハメになってしまうのです。よって、プレイヤーは人類に「発見されないor危険度・致死性が低い病原体」だと錯覚させつつ、病原体を広めていく事に邁進するわけです。そして最後は、全人類に感染させきってから致死性を一気に高めていき、全人類を余すことなく全滅させる事になります。

Plague Inc Evolved
Plague Inc Evolved

ゾンビ化で全滅

最初のうちは選べる病原体が少ないのですが、クリアすると色んな病原体や遺伝子タイプのロックが解除されていきます。病原体は基礎的な内容そのものが違っており、抜本的に感染のさせ方が変化します。また、遺伝子タイプは追加能力みたいなモノで、有効化することでメリット・デメリットが発生します。そうすることで、より戦略的に人類を滅亡へと導く事ができるようになっていくわけで、それこそが本作の醍醐味と言いましょうか。リアルにある病原体だけではなく、人類をゾンビ化する病原体“ネクロアウィルス”や奴隷化させる“脳食い虫”などレパートリーに富んでいるのも、実にゲームらしくて良いところでしょう。

Plague Inc Evolved

レパートリーに富んでます

なお、病原体の進化やゲームの特徴を理解できていないと、結構な確率で後半積んでしまう事になります。ですが、1プレイ時間はそんなに倍速等々を使えばそんなに長くないので、どういったタイミングで仕掛けるのかを色々と試していくのが良いでしょう。ある程度コツがつかめてくれば、ある程度難易度が高くてもやれるようになっていきます。遺伝子タイプを有効に使えば、超ハードのクリアも夢じゃありません。

Plague Inc Evolved

遺伝子タイプもいっぱい

総評:お手軽に、本格的なシミュレートをしている気分になれる一作

本作のキモでもある舞台に病原体を流行させて人類を滅亡に導くといった設定は、一気に病原体が広まっていく様や、そこからの人類滅亡への進化を見ていると、どこか妙なリアルさを感じさせてくれます。もちろんゲームの話に過ぎませんが、実際パンデミックが起きたとすると、こういった状況なのかもしれない、という気分にさえしてくれるわけです。

それでいて、スマートデバイスのゲームがベースなだけに、1プレイが短時間で終わるというのも魅力的です。ようするに、お手軽なんですよね。あとは難易度も、ある程度しっかりやっていかないとイージーでも敗北しますので、そこらへんは慣れが求められるところでしょう。

不満点を挙げるとするなら、やはり「基本的にする事は同じ」という点でしょうか。病原体はそれぞれ特徴が違うのですが、概ね基本は「特効薬を開発させないようにどのような進化をさせるか」です。ゾンビ化や猿インフルエンザなど通常のウィルスとは挙動が違うモノもありますが、やるべきことにそこまで大きな違いはないでしょう。

流行病というテーマを元にシミュレーションに仕上げた一作となりますが、短時間でシミュレーションしたいという人には難易度もあわせて良い代物にも思えます。何となくためらっている人は、セール中に狙ってみるのも良いかもしれませんね。なお、リアルで病原体が流行するのは大変困るので、しっかりと手洗いうがいを心がけましょう。

Plague Inc Evolved

脳食い虫で奴隷化に成功

この記事を書いた人

AZ

AZ :

「独り善がりなゲームログ with 電漫堂」の管理人。かつて編プロに勤めていたけど、気づいたらWEB屋になってた。ハンドルネームは「アズ」と読むはずだけど、かつてとあるゲームで外人さんからボイスチャットで「Hey! AZ(エイジ)!」と呼ばれて以来、どう読むべきなのかをかれこれ10年以上悩んでる。

レビュー「Plague Inc Evolved」:お手軽ながらに妙にリアルな雰囲気の病原体感染シミュレーションに関するしょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会

しょぼーんさん:「Plague Inc Evolved」のレビューにございます。

しゃきーんさん:あの病原体感染ゲームか。

しょぼーんさん:なんだかんだと全病原体をプレイしたわけでして。思いのほか、しっかりとシミュレーションしてて良かったかな、と。気軽にできるんだけど、理解しないと難易度もそこそこにあるので、気になった人はセール時にでも購入してチャレンジしてみるといいかもしんない。……わたくし、今年は風邪引いてばっかです。

しゃきーんさん:……リアルの病原体はしっかりと予防しろよ……。

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