レビュー「Downwell」:井戸の中にダイブしながら、落下を制御する秀作アクションシューティング
アクションに抵抗がないならやっておいて損はしません。
前置き
わたくし、こう見えて高所が大変苦手なわけでして。ゲーム内におきましても、高所から飛び降りる系は結構キモがヒュッとした感じに縮こまって冷えるのです。今はもう慣れましたけど、「アサシンクリード」シリーズの高所から飛び降りるさまは、最初にやったときにほんと泣くかと思った。ちなみに、2015年最もキモがヒュッとしてしまったのは、「ゼノブレイドクロス」です。流石に長時間プレイしたゲームなので、もはや楽しいの領域に達しましたけど……。
そんな飛び降りるのが苦手なわたくしでもオススメできる落下系ゲームが、今回のレビュータイトル「Downwell」となります。ひたすら井戸の中を落下してクリアを目指すのですが、「気持ちいい」「難しい」「安い」の三拍子がそろった2015年でも屈指のインディーゲームといっても過言ではないのです。……まぁ、私にとって、ですが。
井戸をのぞき込む姿がカワイイ
あ、ここまでが前置きです。
「気持ちいい」アクションシューティング
本作は、ひたすら落下していくローグライクなアクションシューティングです。まず、特徴として挙げられるのはその爽快感。プレイヤーはガンブーツを装備しており、主に下方向に向けて攻撃する事が可能です。ただし、弾数(※ゲーム内では電力ですが、知らない人には伝わりにくいと判断し、本レビューでは弾数とします)制限アリ。ですので、それとは別に「踏む」といった攻撃手段があります。この、ガンブーツによる攻撃と踏むを使い分けて、下層へ進んでいくことになります。
このゲームは、落下している最中はどんどん加速していきます。それはもう、どえらく早くなっていきます。ですが、ガンブーツの攻撃でその落下速度を抑える事が可能です。また、ガンブーツの攻撃には種類があり、通常のモノからマシンガン、ショットガン、レーザーに至るまで、かなり豊富に存在しています。それらは消費する弾数が違うので、敵を倒す、ブロックを破壊する、落下速度を落とすなど、どのように消費していくかが攻略のポイントとなっていくでしょう。
ショットガンをぶっ放します
一方で、弾数はどこかに着地するか、敵を踏むことで回復することができます。じゃあ、何でもかんでも踏んで行けば良いかと言えばそんなことはなく、踏むことができない敵がいるので、そういった敵を倒したい場合はガンブーツの攻撃に頼るしかありません。ガンブーツを使うか、踏むか、避けるか。そのバランスをうまくとって先に進んでいかないと、あっという間にゲームオーバーを迎える事になってしまうというゲームバランスになっています。ですが、そのガンブーツの攻撃といい、踏むアクションといい、実に気持ちいい。プレイヤーに、シンプルなアクションによる心地よさを提供してくれるゲームといっても過言ではありません。
赤い敵は踏めません
また、ローグライクなゲームなので、ショップも存在しています。敵を倒したり、一部のブロックを破壊する事で出てくるジェムを支払う事で、HP回復から弾数アップまで色んなモノが買えます。強化をしておいた方がよりクリアへの道は近づくので、上手く利用するようにする事をオススメします。
お店で買い物
「難しい」けど、やればやるほど“上手くなる”
しかして、このゲームは結構難易度が高い。ローグライクなゲームなのでステージの形はプレイするたびに変わるし、永続的なアップグレードはありません。せいぜい、ゲームスタート時に選べる「スタイル」の選択肢が増えるくらいでしょう。フワフワスタイルにお世話になった人は多数いると思います。要するに、このゲームの難易度は「プレイヤーが挑戦する」タイプのゲームです。……いやまぁ、単にわたくしが下手なだけかもしれませんし、こういったアクションになれている人なら初見でクリアできるかもしれませんけど。
スタイルはプレイすればそのうち解禁されます
ゲーム内のアップグレード要素として、1ステージをクリアするとそのゲームのみ有効となるアップグレードが選択できます。HP回復から純粋な強化までよりどりみどりなので、自分のプレイにあったモノを選んでいくと良いでしょう。参考までに、私のプレイスタイルだと、メンバーズカードやドローン、食事なんかはオススメです。
1ステージをクリアするごとに、アップグレードが選べます
(当然、ゲームオーバーになったら最初からです)
そういったアップグレードをしてもなかなかに男気溢れるゲーム内容なので、慣れないと心が折れてしまう可能性も否定できません。ですが、プレイに慣れていくとだんだん自分流の攻略法が見えてきます。じっくり周りを見ながら進むもよし。ガンブーツで速度を制御しながら進むもよし。思いきって一気に進むもよし。なれるまでに時間がかかるかどうかは、アクションに慣れているかどうかで変化しますが、プレイし続けていればある程度”上手くなる”のが少しは実感できます。……なお、攻略のコツは「スタイリッシュにやろうとせず、速度に慣れながら慎重に落下していく事」を心がけながらプレイすると、結構どうにかなってくると思います。
丁寧にやれば、終盤はこれくらいになっています
素晴らしい「安さ」
このゲームは、現在Steamだと298円で売られています。300円を切っているのです。100円の缶コーヒー3本分でこのアクションが体験できるというのは、驚愕に値します。開発者であるもっぴん氏によれば、3日で開発費を回収できたということなので喜ばしい限りですし、これほど良心的な価格もそうはないでしょう。
Downwellはただ今、発売後3日で開発資金を回収することができました!皆さん本当にありがとうございます!! pic.twitter.com/ArZpomfIZ8
— もっぴん (@moppppin) 2015, 10月 18
難点も少々あるけど、それを上回る面白さ
べらぼうに褒めてますが、すべての要素を賞賛できるというわけでもありません。例えば、画面がそう大きくもないので、一部の爆発系アップグレードは自分を見失う場合があります。敵に囲まれていると結構致命的になるケースがあるので、注意が必要です。
ですが、ガンブーツによるアクションや絶妙なサウンドなどで、そういったマイナス要素を上回る爽快感を与えてくれます。シンプルに「面白い」と思える内容ではないでしょうか。
総評:「気持ちいい」「難しい」「安い」の三拍子が絶妙に絡み合った秀作
このゲームは、大手メーカーに見られる「クリアさせるための接待的アクションゲーム」とは違い、アクションが苦手な人はくじけるくらいに難しいゲームかもしれません。ですが、こういった尖ったゲームが出てくるというのは、実にインディーらしいところではないでしょうか。
また、その「安さ」もやってみようと思わせるのに拍車をかけます。私としては、300円で十分元が取れる面白さでした。こういったアクションに本気になったのは、本当に久方ぶりです。このようなゲームが出てきたのは賞賛したいですし、今こそ商業向けゲームメディア様は本作をこぞって紹介しても良いと思える出来映えでした。
本作は「アクションが凄く苦手」という人でなければ、一度は触れて欲しいゲームです。かなりプレイヤーの腕に左右されるゲームであることも間違いないですが、300円以上の価値は見出せるのではないかと思いますので、是非Steamで開発するなり、iOS版を購入するなりしてみて下さい。なお、Steam版ならコントローラーが使えるので、より快適に気持ちよく遊べますよ?
この記事を書いた人
:「Downwell」のレビューでございます。
:ふむ。つまり、凄く楽しめたのね?
:そだねぇ。最近ヌルいアクションしかやってなかったから、下手な自分に驚いてしまいました。ちまちまプレイしていれば、徐々に上手くなっていく自分というのを実感できると思います。皆々様も300円なので是非に触ってみて欲しい。わたくしとしては、コントローラーが使えるPCがオススメです。……このシンプルながらの面白さは、実に心地良いっすなぁ……。
:こういったインディーゲームが、日本でもちゃんと話題になりゃ良いよなぁ……。