連載:気まぐれゲーム雑記 第167回:ゲームのクラウドファンディングの勢いは凄い……ただし日本以外、と言う話題
気まぐれゲーム雑記
第167回:日本でゲームのクラウドファンディングは流行るのか? と言う話題
お金持ちは色んな意味で凄いなぁ……。
クラウドファンディングサイト「Kickstarter」の資金集め記録が更新
今、海外のインディーズゲームを開発する際に、資金集めとしてKickstarterがよく使われます。
このサイトは、いわゆるクラウドファンディングサービスを行っているサイトで、プロジェクトに対していくら必要なのかを提示して賛同者を集めるという事をしています。Kickstarterは、海外ではトレンドとも言える資金調達方法で、最近ではウルティマシリーズ産みの親であるロードブリティッシュこと、リチャードギャリオット氏がこの方法で新作ゲームの資金調達に乗り出しました。また、僕らのピーターモリニュー氏も、Godusという新作を出すためにKickstarterで、悪戦苦闘はしたものの無事調達する事ができたという話題もあります。
そんなKickstarterですが、資金集めの記録が更新されました。詳しくはこちら。
まとめちゃうと次の様な感じ。
- 7時間で100万ドル(90円計算で9000万)を集めた
- 今までの記録は、8時間で95万ドルのプロジェクトを打ち立てたOuya
- 今回の資金調達は、「Torment: Tides of Numenera」というゲームで、カルト的人気を誇っている「Planescape: Torment」の後継作ともいえるもの
- このような短時間で資金調達できたのは、数万から数十万ドルを提供するパトロンがいたから
- 今回「Torment: Tides of Numenera」の資金集めをした企業は、inXile entertainment社で、同社はFalloutシリーズの基礎を築いた「Wasteland」の続編を開発する際も、Kickstarterで290万ドルを集めた
- Kickstarterで2012年に最もお金を集めたカテゴリはゲームで、その額は8300万ドル
- Ouyaはその中でも一番多い860万ドルを集めた
いやはや、景気の良い話です。
というわけで、本日はクラウドファンディングって日本ではどうなっていくのか? というお話をしてみようかと思う次第です。
お金が集まるには理由がある
このクラウドファンディングという資金調達方法は、実に理に叶っています。みんなが欲しいと思える商品を作るから欲しい人は投資して、という単純明快なモノです。以前、こちらでも日本で漫画のクラウドファンディングをしたら成功した、という一例を紹介しました。
クラウドファンディングの何が素晴らしいと言えば、いち個人が投資することによって「ゲーム開発自体に参加した事になる」からです。日本だと、単なるいち個人がゲーム開発に参加するには、体験版の意見を出してみたり、体験会に参加して何やしてみたり、例外的になら大手ゲームメーカーの株主になって総会でアプローチしてみるくらいの手段しかないわけです。あとは、せいぜいそのシリーズのファンになって続編が出るように買い支える、くらいでしょうか。
ですが、その買い支えるというのは非常に見えづらいものがあります。なぜなら、開発費がいくらかかっていて、それに対して目標としていくつ売れれば次回作が望めるのか、というのは単なるいちユーザーには見えづらいからに他なりません。もっと言ってしまえば、5000本しか売れていないゲームでも利益が出る場合はあるでしょうし、10万以上売れても利益が少ないゲームもある、ということです。
お金が集まるには理由があります。今回のクラウドファンディングはTorment: Tides of Numeneraが、Planescape: Tormentというカルト的人気を誇ったゲームの後継作だから集まったわけですが、今後のクラウドファンディングにはそのようなユーザーに明確に分かるビジョンが必要となります。ゲームユーザーにとって、ゲームのクラウドファンディングで投資する理由はただ一つ、そのゲームをプレイしてみたいからです。開発側としては、プロジェクトとなるゲームをユーザーがプレイしたくなるようなプレゼンが必要と言えるでしょう。
日本では、まだゲームのクラウドファンディングというのは限りなく少ないです。シェンムー3のためにKickstarterで資金を集めるかも? といった話題も出たりはしましたが、やはり日本のユーザーにとってKickstarter自体馴染みがないものでしょう。
今後、日本ではゲームに限らず短篇映画やアニメーションなど、多くの分野でクラウドファンディングを活用した作品が出てくるかもしれません。必ずしもこの資金調達方法が良いとは言えませんが、ゲーム好きが自分のために好きな作品を作ってくれる人へ投資するような時代が来てくれれば、また新しいゲームビジネスが生まれてくるかもしれませんね。
しょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会
:Kickstarterが資金調達の最短記録を更新したってんで見てみたらゲームだったぞーってな話題です。
:Kickstarterはゲームが大人気なんだな。
:いいんじゃなかろうか。やっぱり、ゲーム好きがゲームクリエイターに直接投資するっていうスタイルは、間にパブリッシャーも入って来ないわけだし、何よりややこしいことがない。とはいえ、必ずしも開発に成功するわけじゃないから、そこは自己責任になっちゃうんだけどね。……そういう部分が難しいんだろうなぁ……。
:慎重な日本人だと実に手を出しにくいような感じだな……。まぁそれでも、漫画の時みたいな例もあるわけだし、日本でクラウドファンディングが上手く使われるようになってくれると、色々な広がりを見せると思うんだがなぁ……。
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