連載:気まぐれゲーム雑記 第162回:ワールドワイドなビジネス視点で見るPS4とかゲーム専用機、と言う話題
気まぐれゲーム雑記
第162回:ワールドワイドなビジネス視点で見るPS4とかゲーム専用機、と言う話題
コレは中々に面白い経済的視点なわけで。
ややこしい事は抜きのビジネス視点……といっても、ビジネスはややこしいけど
経済誌の中に週刊ダイヤモンドという雑誌があります。
時勢に沿った経済情報誌として有名で、その歴史は意外と古く1913年より月刊誌として存在していました。今は週刊誌に変化しましたが、要するに老舗であることはわかりますし、経済情報を知りたい人が読む雑誌の一つでもあります。
そんな週刊ダイヤモンドのサイト「ダイヤモンド・オンライン」にて、“プレイステーション4はビジネスになるのか? 「家庭用ゲーム機終了説」を検証する”というビジネス視点でのアプローチをした記事が掲載されました。詳しくはこちら。
結構長めですが、ざっとまとめると次の様な感じです。
- 家庭用ゲーム専用機不要論が出ているが、DLCビジネスやダウンロード市場は今後拡大するだろうし売上は伸びている
- ただし、タブレット端末用アプリの売り上げはすさまじく、ゲームコンテンツのバードボーダレス化は今後も加速する
- 世界の主要国のゲーム市場規模は1兆6500~1兆2000億円となっていて、日本ではソーシャルゲームが隆盛だが、世界的にみればPS4に限らず家庭用ゲーム専用ビジネスはまだ十分成立する余地がある
- ヨーロッパは金融不安などで状況が安定しないことから、アジア市場へ目が向いている
- ロリポップチェーンソーは、アジア・中南米市場で全体販売本数80万本の17%を占めている
- 中国市場も家庭用ゲーム機ビジネスが解禁されるかもしれない動きに、任天堂もいつでも動けるように準備していると回答
- だが、中国市場は2006年~2007年にかけて盛りあがったものの、海賊版やコピー商品により一度挫折している
- ソニーはそれでも粘り強くやっていった結果、少しずつだが伸びつつある
- コロンビアでは、家庭用市場は360が42%でトップ、続いてソニーの30~35%、任天堂のWiiとWii Uが約30%ということだった
- ベネズエラでは、正式リリースされているのがPS3のみで、Wiiはコピー商品が出回りすぎたため任天堂は撤退した
- ベネズエラのPS3ビジネスは、ソニーが独占している状態なので海賊版対策に力を入れている
- コロンビア、ベネズエラの記者が言うには、「PS4はブルーレイを残すならビジネスになると思うが、基本がクラウドになると疑問」
- 中南米ではブロードバンドがあまり普及していないため、ビジネスとして大変になる
- 海賊版対策は世界的問題であって、すべてのハードメーカーが対応を怠ったらパッケージソフトビジネスの未来はない
- PS4はPS3との下位互換がないが、PS3の時もPS2が立ち上がりを助けていた時期があるし、世界を見たらPS3でまだ十分な地域もあるので、市場拡大は徐々にしていけばいい
- 先進国でダウンロードビジネスを定着させて、コピー防止機能が付いたメディアを標準化し、新興国ではPS3市場を形成してPS4への足がかりを作ればPS4ビジネスは世界市場で十分成立する
以上となります。
これは経済誌がちゃんと分析した結果であって、中南米についてはそちら方面の記者に聞いた話として掲載されていますが、PS4の性能が凄いからどうなるとか、PC寄りだからどうこう、といったモノは抜きであくまでもビジネスとしての視点のみで書かれている、実に面白い記事となっています。興味がある人は一読してみることをお薦めします。
というわけで、本日はそんなゲーム市場を日本だけじゃなくてワールドワイドに見てみようという話題をしてみようかと思う次第です。
世界を視野に入れないと成立しないハードビジネス
ご紹介した記事に書かれているのは、「世界市場をみた時に家庭用ゲーム専用ビジネスはまだ十分成立する余地がある」という書かれ方をしています。
これは、逆を言えば世界を視野に入れなければ成立しないビジネスと言う事も言えます。単に日本市場を制したからといっても成功とは言えないわけです。いやまぁ、第一歩としては成功した事にもなりますが。
もとより世界市場に目を向けなければならないという事は、任天堂の業績に色濃く出ています。Wii Uはソフトが3月以降にならないと登場しないのでさておいて、3DSは前回の経営方針説明会でも海外市場が問題であることを明確にしています。他にもソニーのVitaは抜本的な対策が求められていました。日本限定とはいえ、為替レートのお陰で値下げに踏み切れたのは非常に良かった事だとも言えます。
日本を足がかりにして世界市場を睨む各社の動きは、どの市場にどれだけ注力するつもりなのかが垣間見えてきます。3DSの場合だと、ポケモン最新作を世界同時発売にしたのは、ポケモンがハードを牽引できる可能性があるタイトルであることと、海外市場を睨んだ結果でしょうし、ソニーが台北ゲームショーで最大規模となるブースを出して、台湾や中国市場を考慮した動きを見せているのも印象的です。
360に限っては、日本だとアレすぎて経済情報が余りないので判断に困りますが、少なくともコロンビアではTOPシェアのようですし、北米でもTOPなので問題はないでしょう。
このように、アジア圏以外も中南米でのビジネスというのは、今後非常に重要になる可能性はあります。日本では10万本くらいの売れ行きなロリポップチェーンソーが世界だと80万本売れていて、その17%である約13.6万本くらいがアジア圏や中南米の売上ということになります。これは市場としてチャンスが十分にある事を示唆している……ような気がします。
ワールドワイドにみると、ヨーロッパや北米、日本などの先進国での普及も大切ですが、新しい市場を開拓していくということの重要性も見えて来ます。今後の各社がどういった方向でハードビジネスを展開していくかはまだまだわかりませんが、どのハードもなくなることなく、市場を盛り上げていってほしいですね!
しょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会
:ビジネス視点でPS4について語っている記事があったので、話題に乗ってみました。
:まぁ、よくわからんが世界的に売れないとやってられん商売だってことだな?
:一言で言ってしまえばそうなりますな。でも、市場はそれぞれに違う文化やら何やらがあるから、どの市場でどのハードが多く売れるのか、ってのは中々にわからないものです。というか、分かったら誰も苦労しないし。……どのハードも頑張って賑わってもらいたいものですなぁ。
:ビジネスでやっている以上は、儲けがないと続かないからな。ちゃんとした儲けを出しつつ、ユーザーを喜ばせて欲しい限りだわ。
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