連載:気まぐれゲーム雑記 第6回:ゲーム開発中止のタイミングを考察

気まぐれゲーム雑記
第6回「ゲーム開発中止のタイミングを考察」

損切りのタイミングはいつがベストなのでしょう?

ちょっと経済的なお話

最近、ゲームメーカーさんに限った話ではありませんが、第一四半期決算が発表されています。まぁ、言葉が難しくなっちゃうのでわかりやすく言うと、4月1日~6月30日までの業績を発表しますよー、と言うモノです。赤字の企業もあれば、黒字の企業もあってどこも大変そうな印象です。

で、ゲームブログなのでゲーム会社に注目しますと、ゲーム開発というのはコストがかかっているのがよくわかります。時間がかかればかかるほど、コストがかさみます。例えばですが、2006年5月の発表から数えると、すでに6年以上は開発をし続けていることになる(その間、一時的な中断などあったかもしれませんが)「ファイナルファンタジー13 ヴェルサス」の開発コストは、いくらスクウェアエニックスさんの超看板タイトル「ファイナルファンタジー」シリーズとはいえ、とてつもない開発コストがかかっている、というのは想像に容易い話題だと思います。
あ、今でも作り続けているということみたいなので、それが一体「いくらで販売されることになるのか」という点で、個人的には注目しています。……ゲーム内容がよくわかりませんしね。

損切りのタイミング

さて、話を本筋に戻しまして。
ビジネス雑誌の王道「プレジデント」に面白い話題が書いてありました。詳しくはこちら
要するに、この話題は「企業はなぜ損切りが出来ないのか」という話題です。

もうちょっと細かく説明していきましょう。
記事では「サンクコスト」という経済用語を使っています。サンクコストとは、わかりやすく言うと「もう取り戻す事ができないお金」という事です。
ゲームで言うならば、新品を買う→プレイする→売る、この流れで説明ができます。

例え話をしましょう。
新品を6000円で買ったとします。それを一週間プレイして、4000円で売ったとします。差し引きは2000円です。この2000円のことをサンクコストと言います。
企業だと、これがCDの単価や生産費、材料代などに変換されていきます。が、そうなると分かりづらいので、ざっくりと上記の説明で概ねOKとしておきましょう(厳密に言うとややこしくなるので……)。

上記の例で続けてみましょう。
例えば一週間プレイではなく、二週間プレイしたら、売値が3000円になっていた、と考えてみます。そう考えると差し引きは3000円です。一週間で売った時に比べて1000円損をしたことになります。
つまり、時間によって損をする、ということです。これは、企業でもそのまま当てはめることができます。
……厳密に言うと、他の要因も色々あるのですが、わかりやすく説明したいので今回は大ざっぱにいかせていただきます。

開発中止のタイミング

ひとまず、日本で開発中止になったモノはというと。
メジャーどころでは「ラストレムナント」のPS3版。
FFの坂口氏が手がける360のRPGタイトルとして出る予定だった「クライオン」。
セガさんPS3参入第一弾となる予定だった「フィフス ファントム サーガ」。
アイレムさんの隠れた名作になるはずだった? 「ポンコツ浪漫大活劇バンピートロット2」といったところでしょうか。
「ロックマンDUSH3 PROJECT」も一応含まれるような気がします。
他にもあると思いますが、意外と多かったりするのです。

これらは、技術的な問題を抱えていたので断念されたものもあるでしょう。特にラストレムナントは、360版にPC版が出た以上は、開発コストの問題ではなく技術的な問題だったようにも思えます。
しかしながらクライオンは、当時2005年に発表されてから中止が発表された2008年まで、約3年の期間を用いています。

当時、AQインタラクティブさん(今のマーベラスAQLさん)は、現在の市場と今後の見通しを考えてラインナップを精査した結果、といった旨を発表しました。
これは、先ほど中古の話で説明したサンクコストがかさみすぎて、360のRPGでは元が取り戻せそうにない、と判断したと言う事になります。もちろん、他にも要因は色々あったでしょうけど、AQインタラクティブさんはマーベラスさんと合併することになったので、推し進めるほどの体力が企業に残っていなかった、とも予想できます。……あくまでも予想ですが。

とどのつまり、開発中止のタイミングというのは、至極簡単にいってしまえば開発コストの元が取り戻せそうにないと判断できた時、中止されるモノであるということになります。
「ロックマンDUSH3 PROJECT」の終わり方が一番この事を示していると思います。ファンの声援があり、ヒロイン投票をネットで決めたりしつつも結局動き出さなかったのは、開発コストを考えて、それが利益と見合わないと判断されたためでしょう。

……いや、当たり前だろ? と思うかもしれませんが、実はこの判断をするのが経営者にとっては非常に難しい事なのです。一度発表したものを引っ込める、という事の難しさは、現実社会に出てみればどれだけ困難かわかると思います。それだけで株価が変動する恐れもありますし、出したら出したでヒットする可能性も否定はできません。様々な要素から、判断が鈍るなんてことはよくある話です。

まとめちゃうと?

海外ではハリウッド型のいわゆるトリプルAタイトルという、莫大なお金をかけて作られる大作が多いです。その分、開発スタジオが閉鎖してしまうという大きなリスクも背負っています。
日本でも、以前はそのような風潮がありましたが、今は逆に携帯機やソーシャルなど比較的開発コストが抑えられて短期に利益が得られるものへとシフトしています。よって、以前より開発中止に追い込まれる事は少なくなりました。ですが、コアなゲームファンは3DSなどの携帯機も構いませんが、PS3や360などのHD機での発売を期待している人も少なくありません。

ゲームメーカーの開発コストや、それを取り巻く環境。さらにそれを買うか買わないか判断する、私たち一般ユーザー。それらがみんなマッチングするような、上手い歯車が出来上がると良いのですが……。ハードの進化やそれらの対応に追われるメーカーなど、難題はたくさんありそうです。
一般ユーザーは、そういうのを見ていることしかできませんが、ソフト・ハードメーカーさんはユーザーの事を思って、ゲーム作りをしていってもらいたいと切に願う次第です。

[情報元:Yahooニュース Businessさん]

しょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会

しょぼーんさん:プレジデントに面白い事が書いてあったんで、それとゲームを絡めて書いてみました。

しゃきーんさん:つ、つまり、開発コストが利益を上回るように作って行かないとダメってこと?

しょぼーんさん:それが当たり前だけどね。でも、どうやったら制作中のゲームがユーザーに受け入れられるのか、というのを考えるのは非常に難しいところ。スクエニさんのブレイブリーデフォルトなんて、直接ユーザーに意見を聞いてるしね。もちろん、それはそれで有りな方法だと思うよ。

しゃきーんさん:ユーザーに受け入れられて、なおかつ買ってもらわないといけない。これを同時にやらないといけないのが企業の辛いところ、ってヤツなんだろうなぁ。

連載:気まぐれゲーム雑記 第6回:ゲーム開発中止のタイミングを考察に関するしょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会

しょぼーんさん

しゃきーんさん

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