「ファンタシースターノヴァ」のレビュー:レベル上げと戦闘が快適なアークス、あるいは倉庫番
気まぐれゲーム雑記
連載:「ファンタシースターノヴァ」のレビュー:レベル上げと戦闘が快適なアークス、あるいは倉庫番
やりこみたいのにやりこめない?
メインとなる戦闘は快適なだけに決して悪くはないんだけど、やりこみをするとほかの粗が目立ってしまう
AZです。年末進行がコワイ病の一人です。
はてさて、PSO2の流れを汲みながらも新生をアピールした「ファンタシースターノヴァ」ですが、2クラスを100レベルまで上げたので、しっかりとレビューしてみようかと思います。いつも通りではありますが、ネタバレ有りです。画像にはネタバレ要素を入れていないつもりですが、文章にはそれなりに入っているかもしれないので注意して下さい。ちなみに、幸いな事にファンタシースターの知識が皆無な友人と本作をプレイする機会に恵まれましたので、知識有りな私と知識無しな友人の意見も入り交ぜながらレビューをしていこうと思う所存です。
最終的にすべてレベル100にしたいです
拠点作りはまずまず楽しい
本作は、PSO2の流れを汲んでいる事もあって、物語の中盤以降に自分好みの拠点に作り替える事ができます。PSO2でいうところのマイルームに該当するわけですが、それがそこそこに広くて何となく楽しめる要素の一つと言えるでしょう。
最小限の建物だけで最適化された拠点
不満を上げるなら、先に進まないと建てられるモノが増えなかったりする事が挙げられます。あとは、コールドスリープから目覚めさせた人員を割り振る際にクルーが多すぎて該当する能力保持者を探すのが凄まじく面倒だ、という事です。ソート機能も役に立ちません。何のためのソートなのかと問いたくもなる部分でした。
探すのが本当に大変ですが、配置すればこれだけの効果がでます
新規プレイヤーを取り込む気がない
本作はSFの要素がふんだんに入っています。よって、ある程度某有名RPGの「パルスのファルシのルシが云々」といった状態になってしまうのは仕方がない事です。ですが、オラクル船団、ダーカー、フォトン、アークスなどファンタシースターシリーズにおいて定番の単語がそろい踏みで出てきますが、それらの詳しい説明はほぼありません。残念ながら、到底「ご新規さん」に考慮された内容とは言いがたい。むしろ、「一見さんお断り」のレベルです。お陰様で、友人にいちから解説しなければならないというオチになりました。そして、そのことも相まってストーリー面さえも理解できる人とそうじゃない人がいます。
といっても、ストーリー面を簡潔に書いてしまえば、プレイヤーと会って数分足らずで「バディ(相棒)」と呼んでくるバディ娘、良くも悪くも暑苦しい熱血男、自己主張しない幸薄そうな幼女が織りなす成長物語です。それくらい割り切れれば、用語がわからなくとも何とかなる……はずです。そして相変わらずですが、主人公たるプレイヤーはイベント上の会話で選択をする余地はありますが、何ら影響を及ぼさない空気っぷりを発揮します。ある意味、シリーズを通じていつも通り感満載です。
また、キーマンがいなくなってもそこらへんの悲しさ等々はほぼ描かれていませんし、平然としている様はなかなかに違和感を感じさせてくれました。すべてを過去にするRPGのシリーズ作なだけに、キャラクター全体を通じて出来事を過去にするペースが早いのかもしれません。そういった意味でも、全体的に可もなく不可もなしという印象でした。
戦闘はいいのに倉庫が救えないので、やり込みたい人は倉庫番になる覚悟を
ストーリーをこてんぱんにしてしまいましたが、アクション面はユルめながらも全体的にテンポが良い。PSO2をプレイしている人なら、難無くできるでしょう。戦闘はすこぶる自キャラの強さを実感できるので、軽快に楽しめます。
みんなの強い味方アサルトライフルが使えるハンターのスキル
しかして、システム面は面倒が多いです。シリーズ的に言えば、アイテムが現物支給じゃなくなったので素材を探しにいかねばなりませんが、対象エネミーがどこにいるのかさっぱりです。“ラピミステルン”を探すだけで、半端ない時間をロストしました。現物支給ならクエスト選択時に登場するすべてのエネミーを書く必要もありませんが、武具を作るのに特定のエネミー素材が必要というならクエストに出てくるエネミーくらい表示するなり、倒したエネミーがどのクエストで出現するか等々くらい用意して欲しい。クエストの出現モンスター欄に書かれていないエネミー素材を探すのは、すべてのクエストおよび難易度の中から探し出す必要があり、精神的にも大変疲れました。
ラピミステルンさんを探し求めて三千里
そして、面倒の極めつけは「倉庫」です。何度突っ込んだかわかりませんが、ひたすら不便でした。しかも、特殊能力とコアが同じものでもスタックしないせいか、やり込んだらあっという間に満杯です。そして、その先には要らないコアを捨てる不毛な作業が待っています。なんですか、この不親切さは。一応サバイバルをしているという理由が故に、再利用・合成・分解・売るなどの選択は一切ありません。
コアが何個あると思っているのです?
パッチ1.01で倉庫に預ける際の連打が必要なくなるという事のようですが、コアが能力別にスタックしない以上捨てる作業を楽にする事はできません。ついでに、ソートも使い物になりません。倉庫に荷物を入れる方法が改善されようともコアがスタックするようにならなければ、ひたすらに捨てる作業が待っています。
私の経験を語るならば、2000個たまった倉庫から約500個のコアを手動で一個ずつ捨てる作業は、涙無しには語れず空虚な気分にさせてくれます。UIの反応もモッサリですし。ちょっと前向きに見ても、「要らないモノはさっさと捨てる」決断ができるような意識改革をしてくれるというメリット以外、これといった良い点が見出せません。逆を言えば、モノが捨てられない人は是非やり込んでみましょう。……魅力的に映りますかね? この修行。
何個捨てたと思っているのです?
まとめ
なんでここまで不満をダラダラ書くかと言いますと、「やり込みを前提にしたゲームなのにやり込みが一切合切快適じゃない」と言うしかないからです。Vitaでお手軽に「ソロ」で楽しめるユルいアクションRPGだと思えば十分アリというのも間違いありませんし、マルチプレイができる環境の人は、マルチでも十分楽しめる事でしょう。少なくとも、NPCがたまに棒立ちしたり、地形にひっかかったりするといったわずらわしさからは開放されます。
個人的な感性で言えば、PSO2に比べて「戦闘は快適」です。確かにPSO2の方がコンボを決めやすいので気持ち良さはあると言えますが、全体的なゲームのテンポはこちらの方に軍配が上がるような気がしました。ギガンテス戦で若干ラグくなるなど細かい事はありますが、戦闘においては十分評価できるラインです。それに、全体的にレベルは上がりやすい傾向にあるので、「プレイした分強くなれる」のを実感しやすいです。これは結構大切な要素と言っても過言ではありません。
ですが、それらの要素以外は「不親切」の塊です。特に倉庫。他にも、素材を落とすモンスターがどこにいるかわからない問題、コールドスリープから目覚めさせたクルーの配置が能力別にソートされないので探し出すのが凄くメンドクサイ問題、キャラクター別に“プロミスオーダー”が一つしか受けられない問題などちらほらありますが、何はなくとも倉庫が一番不親切です。別に、チュートリアルを入れろとかもっと初見の人に優しくしろとかが言いたいんじゃありません。ただひたすらに、プレイヤーに「不毛な作業」を強いるような仕様はおかしいのではないか? と言いたいだけなのです。
何が好きで、荷物を預けるのに連打せねばならないのか。同じモノはスタックすれば簡単に捨てられるのに、何を好き好んですべての荷物を一個一個確認しながら捨てる作業をせねばならないのか。本当に、ただただ惜しい。ゲームの本筋(本作で言えば戦闘)じゃない部分の出来が悪いという烙印を押さないといけないというのが今の評価になります。
今後、パッチでどれくらい改善されるのか(主に倉庫)はわかりませんが、さほどやり込みはせずにノンビリとマイペースにユルいアクションRPGをしたい、という人には間違いなくオススメできます。戦闘もユルいですし、軽く遊ぶには持って来いでしょう。また、やり込みたい人は倉庫番なる覚悟を持って、アークスに入隊してみるのも良いかもしれませんね。
本作を楽しんでできるであろう人
- ファンタシースターシリーズが好きな人
- SFだけど用語を柔軟に理解する、もしくは察する事ができる人
- キャラクリエイトを弄り回したい人
- ユルいアクションRPGで自分の強さを噛みしめたい人
- 片付けが苦手だけど、しっかりと片付けできるような大人になりたい人(ただしやり込みが必要)
しょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会
:「ファンタシースターノヴァ」のレビューをしっかりと書きました。
:戦闘面は楽しめるけど、その他の管理面がよくないって感じ?
:そんな感じ。一人でマッタリできるユルいアクションRPGってのに間違いはないよ。でも、やり込みしたら倉庫圧迫は必然なので、片付けられる人にならないといけない。ほんと、そういう面倒は省くべきとしか言い様がなかった。戦闘面の評価はできただけに、実に残念。……でも、エンディングにスカボローフェア(イングランドの民謡)が流れてくるので名作だと思うよ!
:……どうなんだ? その判断は……。
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