連載:気まぐれゲーム雑記 第844回:VRコンテンツを日本から出していくのはハードルが高そう?

日本と海外の違いが垣間見える

VRに本気を出す人達が、今後どれくらい出てくるのか

AZです。3D酔いはお手の物といわんばかりに酔えます。

それはさておき、SCEワールドワイドスタジオの吉田修平氏が、日本のVR事情についてインタビューに答えています。

吉田:ひとつ残念なことがあります。

 去年のGDCやE3の段階では、私は「もしかしたら日本のインディーの方が、VRは進んでいるんじゃないか」と思っていたんですよ。デジタルのキャラクターを大事にする、日本の文化性にはぴったりきていることもあって。日本のインディーも目立った動きをしていたんですよ。パルマー(ラッキー氏。Oculus創設者)も言ってたんですが、DK1が出荷されたもののうち、実際に開発に使われた数は日本が一番多かったんです。そういったことで、「日本はVRでいいポジションに行けるんじゃないか」と思っていたんですよ。

 ですが、今年になるとですね、欧米のインディーにはお金が入ってきていて、ベテランの開発者を雇い、10人・20人のチームで開発にかかっているんですよ。またビジネス環境の違いか……と思う部分もあります。日本のインディーは太刀打ちできなくなってきた。

-去年、日本のインディーで「面白いこと」をやっていた人々が、今も「面白いこと」の段階で留まっている、ということですか。

吉田:そのままの形でやっているんですよね。仕事が終わってから趣味で、夜にやっている。

-去年あれだけできたなら、VCから資金が出て起業して……という状態になるべきなのに、残念ながらなっていない、と。

吉田:そうなんです。それは日本という環境の違いですね。そこがすごく残念です。

 それにはっと気がついたのは、サムスンのモバイル向けVR「Gear VR」を使ったコンペティションなんです。日本の開発者も参加していて、私も応援していたんですが、結局ファイナリストにはひとつも残らなかった。残ったタイトルを見ると、プロダクションバリューが高かったりであるとか、お金をかけて作っているものであったりする。そこで、「ああ、もう流れが変わってきてしまったな……」というのはありますね。

-逆にいえば、WWSは、タイトルを世界市場に持ち上げる能力をお持ちですよね? そこで、「これぞ!」という人々を世界に連れて行くことはできないのですか? いわゆるインディー支援ではなく。

吉田:そうですねえ……。昔は「ゲームやろうぜ」的なプロジェクトでやっていましたよね。今はインディーの市場が世界的に立ち上がったので、「ゲームやろうぜ」のような役割は時代としては終わった、と思っていました。日本のクリエイターも出てきていると思っていたんですが……。

 ただ、ポジティブな面もあります。

 先日。五十嵐孝司さん(注:コナミの名作横スクロールゲーム「悪魔城ドラキュラ」シリーズのクリエイター)が、新作のクラウドファンディングに成功しましたよね? 今回、鈴木裕さんも「シェンムーIII」のクラウドファンディングに成功しました。ああいう風に、いきなり日本を飛び越えて世界に打って出ることができる、ということも証明された、と思っているんです。ですから、日本のベテランのクリエイターの方にも、「海外から支援があれば、俺はまだやるよ」という方はいると思います。そうした動きに期待すべきかな、とも思っています。

[引用元:AV Watch

いやまぁ、なるべくしてなっている状況でしょうね。

要するに、昨年まで日本では日曜プログラマー達がVRでジワジワと何かを作っていた状況で、今もビジネスとしてやろうとする人達がでてきていない事に対し、海外ではビジネスとしてやろうとする人達がでてきた、というお話になります。まぁ、第一に言われるのは環境の違いでしょう。

言ってしまえば、VRにどれだけ本気を出せるかという事にも繋がるわけで、その方面にリソースを割くようなマネはなかなかできない。そこを踏まえれば、バンナムの「サマーレッスン」は本当に苦労の産物である事が窺えます。ついでに、レッスンしているのは「開発側」というのも上手い言い回しですかね。

一方で、インディに頼るならそれ相応のサポートが求められる事になります。企業などの大きな後ろ盾があるわけでもないインディな方々は、日々の生活に追われながら何かを作っているような人も少なくありません。そういった、生活面でのリスクを背負ってまでVRに突撃するかと言われたら、そりゃもう日曜プログラマーの方面で収まった方が生活が安定するのは言うまでもない話です。

ゲームコンテンツの新しい体験として注目されているVRですが、日本での反応がどういったモノなのかも、多くの人にじっくり聞いてみたいモノはあります。VRが本当に盛り上がるのかどうかも含め、どういったコンテンツが出来上がっていくのかを楽しみにしておきたいですね。

連載:気まぐれゲーム雑記 第844回:VRコンテンツを日本から出していくのはハードルが高そう?に関するしょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会

しょぼーんさん:VRコンテンツを日本から出していくのはハードルが高そうだねぇといったお話です。

しゃきーんさん:そこらへんはなんとも、なぁ……。

しょぼーんさん:コンテンツが欲しいならある程度リスクを背負わないといけないっつーのはあるわけで。待っていれば出てくると言うモノでもないのだから、ハード側は一定のサポート的な何かが必要なのかなぁとも思ったりはしますな。……VRに酔わない可能性を見出したいのだけれども……。

しゃきーんさん:酔う時は酔うんだから、そういう覚悟はしてVRに望めばいいんじゃね?

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