連載:気まぐれゲーム雑記 第878回:今後5年でゲーム市場がどうなっていくかの予測が色んな意味で面白い

すでにわかりそうな予測もあるわけです。

市場は刻一刻と変化している

AZです。ゲームをしていないゲーム情報ブログってどうなのだろう? と思ったりもしたのですが、そもそもゲーム系編プロにも「ゲームをやったことがない人orほぼやらない人」がたくさんいた事を思い出しましたので、どこか納得してしまいました。

それはさておき、現在CEDEC2015が行われておりますが、とあるセクションで「今後の5年間でどのような技術が必要になるのか市場はどうなるのかなどといった予測」を語っている内容がありましたので、ご紹介です。ただし、長いので結論部分をピックアップする形でいきます。

ゲーム業界の技術動向を探る「ネクスト・レベルに到達するためのテクノロジー戦略 A technology strategy to reach the next level」と題した講演が行われた。講師は,Konami Digital EntertainmentのWorldwide Technology Directorを務めるJulien Merceron氏だ。

これからゲーム業界でエコシステムを構築していくにあたって,今後の5年間でどのような技術が必要になるのか,市場はどうなるのかなどといった予測をまとめたもので,非常に多岐にわたる内容の講演となっていた。

旧世代機の動向

旧世代機は今後,ファミリー/キッズ向けのプラットフォームと位置づけられるようになるだろうと予測していた。

AR/VRの動向

今後5年間ではたいした収益は見込めないだろうと氏は予測。とはいえ,VR向けの開発を行うのは間違ったことではなく,FacebookやMicrosoft,ソニーが研究開発を進めているのは正しい選択だとしている。

プラットフォームの動向

モバイルは急拡大,据え置き型コンシューマゲーム機は拡大,PCはやや拡大,携帯型コンシューマゲーム機は縮小といった傾向を示していた。

ただ,据え置き型コンシューマ機は伸び率が逓減しており,インストールベースを伸ばせないという予測で,携帯型に至っては新しい戦略がないと生き残れない状況になるとの見方がされていた。なお,PCの伸びは少なすぎるという印象

各地域の動向

北米の伸び率は最小でゲーマー数も2億人と多くはないのだが,売上高は高く,世界的には最も中心的な市場となっている。欧州も同じような傾向で,ゲーマー数がほぼ同じ中南米と比べると6倍の売り上げだ。

市場規模と伸び率では,アジアが最も注目されており,とくに中国は前年比+23%という高い伸び率を記録している。今後数年はアジアへの投資が続くだろうとの見方が示されていた。

しかし,アジアでは欧米とプラットフォームがまったく異なり,アメリカで45%を占めるコンシューマゲーム機はわずか11%しかない。PCオンラインゲームが市場の68%を占めている状況だ。

パブリッシャの動向

すべてのパブリッシャではないものの,モバイルシフトを示す部分が増えていることは分かるだろう。

すでに,iOSでは500本の新作ゲームが毎日リリースされ,Androidでも250本以上という状況であり,モバイルゲームのレッドオーシャン化は進行しつつある。

モバイルの動向

モバイルでは,レッドオーシャンからブラックホール化が進むとMerceron氏は警告している。市場の過密化→差別化が必須→製品価値の向上へ→開発費と顧客獲得単価の増大→収入減→事業失敗という「わたるが死んじゃう」展開が今後5年間で繰り広げられるとしていた。

とくに問題となるのが,顧客獲得単価の上昇だ。よほど強力なIPでないかぎり,苦戦を強いられるのだが,最近のハードウェアは高スペック化が進んでおり,Tegra X1の性能は1TFLOPS以上とPlayStation 3やXbox 360を超えている。コンシューマゲームの資産をモバイルに投入することで,コンシューマゲーム企業はある程度優位に戦えるというのが氏の見方のようだ。

e-Sportsの動向

「今後,顧客獲得単価が高騰していくが,e-Sportsには一定の集客効果があり,しかもリテンション(継続率)が高い。選択の余地などない」とのこと。

次のブルーオーシャンはどこか?

アジアではコンシューマゲームとPC,欧米ではPCゲーム市場だとしている。アジアのコンシューマゲーム市場は急成長しているが,その要因は中国で新世代機が解禁されたばかりということが大きい。つまり,PCが次のブルーオーシャンなのだろうか。

HTML5により,Webブラウザは巨大なプラットフォームになることが約束されている。制作スタイルも多様化が進んでおり,かなりの有望株ではあるらしい。

Aクラス,AAクラスのタイトルはPCブラウザゲームに移行するだろうとMerceron氏は見ている。

コンシューマゲームはどうか?

収益性の高さは,AAAタイトルだけの特徴ではない。Free-to-Play(以下,F2P)のビジネスモデルで高い収益を上げることもできる。しかし,その前提として大きなコミュニティが必要で,インストールベースを大幅に改善しなくてはならない。コンシューマゲーム機は現在,1000万から1400万くらいのインストールベースでビジネスを行っているが,新機種が登場すればゼロから始めなくてはならない。

コンシューマゲームのビジネスが進化するためには,インストールベースが「ゼロから始まる」という点を解決する必要がある。たとえば,PlayStation 5が発売されるのであれば,PS5.1,PS5.2といったように互換性を保ったまま進化していく必要があると氏は語っていた。また,そのような進化するプラットフォームでは,機種ごとの差分管理(Androidが大変なことになっているが)が重要になることに注意を促した。

今後5年間でゲーム業界はどう変わるのか

  • 「コンシューマゲームはビジネスモデルを変えない限り生き残れないだろう」
  • 「モバイルはレッドオーシャンになってくる。多くの開発者が苦戦するだろう」
  • 「PCネイティブは拡大し,ブラウザゲームも拡大する」
  • 「UGCやe-Sportsが人気になる」
  • 「マルチプラットフォームとクラウドの時代になる」
  • 「すべてのプラットフォームの裏でクラウドが動く」
  • 「AR/VRは短期的にはビジネスにならない。しかし,やがてはモバイルの代わりにARグラスが使われる可能性がある。これが次のゲームのプラットフォームになる」
  • 「ハードウェアはどんどん進化し,バッテリーの自動充電などブレイクスルーがやってくる」

[引用元:4Gamer.net

だいたい、こんな感じでしょうかね。かなり省略はしましたが、内容の主軸はブレないようにしたと思っております。

これらの話をコナミの方が語っているというあたりに、何やら趣深いモノを感じてしまうところもありますが、それはおいとくとして、今回の業界の未来像というのは多くの人が何となく思っているところを明確した、というところでしょうか。ブラウザゲームが拡大するのかどうかは分かりませんが、そこまで異論はなさそうな気もします。

「コンシューマゲームはビジネスモデルを変えない限り生き残れない」というのは、ここ数年の家庭用ゲーム機の売り上げを見ていると、そういう考えになるのも自然の流れでしょう。とはいっても、どういったビジネスモデルにすべきか、という答えが出てきていないわけで、F2Pはその一つの答えにはなるのでしょうが、すべてがそれで正解というわけでもありません。PS Plus的な定額課金も答えの一つでしょうし、今後どのように変化していくのかは見どころと言えます。

他には、もうモバイルはレッドオーシャン化しているというのは、誰の目にも明らかですし、UGCやe-Sportsが人気になるのもわかりやすい話でしょう。e-Sportsについては、日本だと少々分かりづらいところですが、海外ではビジネスショーとしてやっていけそうな雰囲気さえあります。あと、クラウドな未来というのはまだ見えて来ないモノがあり、そこらへんを日本だとシンラ・テクノロジーあたりがどうにか形にするのかもやしれませんが、クラウドについても何はともあれ「結果をみせてくれ」という段階にはなりそうです。

今後5年となると、ゲーム業界も色々と変わっていそうな雰囲気を出していますが、はてさてどれだけ的中することになるでしょうか? ARやVRの未来がどうなっているのかも含め、より良い方向に進んでくれる事を期待したいモノですね。

連載:気まぐれゲーム雑記 第878回:今後5年でゲーム市場がどうなっていくかの予測が色んな意味で面白いに関するしょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会

しょぼーんさん:CEDECで5年後のゲーム業界を予測した講演があったよーってお話です。

しゃきーんさん:まぁ、この手の話題が好きな人は、なんとなーくわかりそうな話だな。

しょぼーんさん:そだねぇ。あとは、ARやVRがどういった加速度で普及するのかな? という話題と、日本市場は今後5年でどうなっているかが気になる2点っすね。……ほんと、色んな市場が盛り上がって欲しいもんですわ……。

しゃきーんさん:簡単にできりゃ、ダレも苦労しないだろうよ……。

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