市場の広がりを知っておこう

市場の広がりには限界がある

AZです。新年早々、ただの個人が運営している当ブログを「組織運営」とか「法人」などと位置付けてご連絡して下さる方がいらっしゃるわけですが、何度も言いますけど“担当者様”とか申されましても当ブログを更新しているのは「ただのいち個人」ですから！　と、心の叫びを明記しておく次第です。

それはさておき、セガゲームスの上席執行役員でありセガネットワークスのカンパニーCOOである“岩城農”氏が、日本のゲームアプリ市場について2015年を振り返っています。

――：本日はよろしくお願いします。岩城さんには、以前の上期総括でもお話を伺いましたが、改めて一年を振り返っていただき、2015年のゲームアプリ市場にはどのような印象を持っていますか。

市場は成熟してきていると感じています。既存タイトルのダウンロード数は伸びていないですし、新しいタイトルが割って入ってくるのも益々難しい状況であると思います。我々は、新しいタイトルを次々と送り出せているほうだと思うのですが、単純にマーケットが混んでいると一言では片付けられない市場となっています。

もうひとつ顕著なのが、開発費の高騰です。初期開発の費用だけではなくマーケティング費用、運営開発の費用、このあたりを足すと、国内だけで初年度15億円、テレビCMを打ったら20億円超えもありえると思います。また、投資できる企業と、そうでないところが鮮明に出てきています。

ただ、国内の市場だけで勝ち負けを語り続けていると、凄く危険だと思います。海外メーカーさんの日本での成功の仕方をみていると、資本の力を凄く感じます。

――： 2015年はタイトルも企業も格段に増えた気がします。加えて、スマホゲームは多くのライトユーザーが遊んでいましたが、そんな彼らが「もう少し骨太のゲームをやりたい」と一段階層が引き上がって、複雑化してきているとも考えられるのですが。

カードコレクションから続く文脈でいうと、複雑化という表現は正しいと思います。しかし、韓国や中国のタイトルと比べると、我々のタイトル含め、グローバル基準でトレンドに合わせて進化できているかというとそうとは言えないと考えています。差が大きい点で言うとグラフィックが最たる要素と思いますが、我々としてはそこに加え、『戦の海賊（以下、『センノカ』）』や『モンスターギア（以下、『モンギア』）』など、触った瞬間に面白さが伝わる、というスマホゲームにとって重要な要素により気を配っています。

［引用元：Social Game Info］

競争が激化してますねぇ。

市場というのは、だいたいざっくりと「導入期」に始まり「成長期」「成熟期」を経て「衰退期」といったサイクルになるわけですが、見ての通り市場が成長し続けるのは限度があります。市場が成熟したということは、メーカーが「成長期」に蒔いた種を刈り取るタイミングになったとも言えるのですが、今のアプリ市場は刈り入れというのんびりしたムードではなく、競争の激化がはっきりと見てとれる段階にもなっているといったところでしょうか。

すでに、スマホを中心とした市場はレッドオーシャン化が伝えられているところですが、記事を読んでみるに開発費の高騰もあわせて四苦八苦しながらもやっているという印象はあります。個人的感覚だと、今のところスマートデバイス市場で強い存在になっている既存の大手ゲームメーカーは、スクエニやバンナム、セガといったメーカーになりそうなところだとは思っておりますが、成熟期に突入した中でどういった采配をするかが各メーカーに問われていく事になりそうです。

開発費の高騰がネックとなれば、家庭用ゲーム機で勝負するというのも自然の流れでしょう。各メーカーは、同じ費用をかけるなら“普及率は圧倒的ながら競争が激化しているスマートデバイス市場”と、“普及率はスマートデバイスに及ばないモノのある程度競合が限られる家庭用ゲーム機市場”を比べ、どちらの勝率が高いかを色々と考えてやっていく必要があります。セガの場合、そういったモノの答えの一つが「蒼き革命のヴァルキュリア」でしょうし、スクエニのFFやDQブランドを全方位で乱発しているあたりもまた答えの一つではあると言えますが。

アプリ市場は成熟期に入った事で、各メーカーはどういった勝負をしてくるかも注目される事になるでしょう。2016年ではどういった話題が出てくるのか、楽しみにしておきたいですね。