レビュー「Aragami」:ひたすら影を探し求める、一撃死がスリリングなステルスアクション

Aragami

一撃で終わるけどリスタートも早いステルスアクション

まずはゲーム概要から

忍者と言えば「忍者じゃじゃ丸くん」や「忍者龍剣伝」を真っ先にピックアップするわたくしですが、皆様はいかがお過ごしでしょうか? ゲームを見ても漫画を見ても、忍者という存在は「忍ぶより戦う存在」であるケースが多いわけでして。果たしてそれは「忍者」なのかどうかという疑問も尽きないわけですが、まぁそこは娯楽が為せる業の一つなのだとも思うわけであります。

というわけで、今回紹介するのは、忍者っぽい雰囲気がするステルスアクション「Aragami」です。タイトル名を日本語で書くと「荒神」になるわけですが、プレイヤーはそんな荒ぶれる神の名を持つ「アラガミ」として、本作のヒロイン「ヤミコ」さんにお呼ばれされることになります。ついでに、世界観は「日本」ではなく、「アジアテイストな雰囲気の場所」という感じになっております。あと、なかなか味わい深いキャラクターネームのヤミコさんですが、思ったよりセクシーである事をさりげなくご報告しておきます。

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アラガミさん、ガン見です

で、「アラガミ」と呼ばれたプレイヤーですが、ザックリ要約してしまうとヤミコさんや同志が捕まっているので殺される前に助けてくれ、という流れになります。この時点では、「アラガミ」と呼ばれるプレイヤーの過去は一切わかりません。そこらへんは、ストーリーを追っていく事で明らかになります。ストーリーについてはネタバレになってしまうので詳しくは書きませんが、主人公の名前は「アラガミ」で、ヒロインは「ヤミコ」なのに、ペットを「クロス」と名付けた“ヤミコ”さんのネーミングセンスは高く評価したく思う次第であります。

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カラスのクロス君

ゲームの流れを簡単に

軽くゲーム概要を説明したところで、ゲームの流れを見ていきましょう。先も書いた通りですが、プレイヤーはアラガミとしてヤミコに召還されたということで、ヤミコさんの助言を受けながらストーリーを進めていく、ステージクリア型のステルスアクションとなります。基本的には、「ヤミコさんと会話」→「ステージ内で目的を達成」→「ヤミコさんと会話」orステージクリア(章をクリア)、という流れです。

各ステージについては、敵をすべて倒すも倒さないも自由です。ですが、クリア後にスコア判定があり、そのスコアを伸ばす為には「すべて倒す」か「見つからないでクリア」のどちらかを選択する必要があるでしょう。もちろん、倒すも倒さないも自由ですので、スコアさえ気にしなければケースバイケースで動いても問題はありません。さらに、各章ごとにやり直す事も可能なので、安心して下さい。

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Sランク取るのも大変なんです

また、成長要素として、各ステージには巻物が落ちています。その巻物を入手することでポイントが入手でき、そのポイントでスキルを習得する事が可能です。当然ながら、このスキルが凄く重要なモノばかりで、中には「倒した敵の死体を消す」といったモノまであります。それらのスキルを習得しているか否かで難易度に雲泥の違いが出てくるので、オススメとしましてはカラスの「クロス」君をゲットしたらどうにか巻物を集めて、「クロス」君のスキル“秘密の知識”をゲットして下さい。そうすることで、巻物集めが数倍楽になります。そして、スキル習得後に思うがままのプレイをすると良いでしょう。

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巻物探しに余念がありません

キモとなる選択「やるか・避けるか」

次に、戦闘システムから見ていきましょう。アラガミは、最初の能力としてある程度の距離なら影の中へ瞬間移動する“シャドーリープ”なるスキルを持っています。これこそが、このゲーム最大のアクションといっていいでしょう。避けるにせよ倒すにせよ、忍ばないといけないアラガミにとって、このスキルは最重要といっても過言ではありません。また、ストーリーの流れで影を作り出すスキルを習得します。このスキルがあれば、屋根に影がなくとも影を作ってそこへ瞬間移動する、といったように使う事も可能です。基本的にはこの2つを併用しながら、のちに習得していく他のスキルも駆使してステージクリアを目指す事になります。

じゃあスキルが乱発できるか、といったらそんな事はありません。シャドーエッセンスなるゲージが、主人公の背中のマントっぽいところに表示されており、スキルを使うたびにシャドーエッセンスを消費することになります。消費したシャドーエッセンスは影に入る事で回復する仕様になっているので、プレイヤーは普段から影に潜む事になるでしょう。もちろん、影に入っていれば敵から見つかりにくくなるので、一石二鳥となります。また、他にも攻撃系や防御系スキルもありますが、それらは実践で試しながらやっていくのが一番良いでしょう。

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シャドーエッセンスは影に入っていないと回復しません

そういった感じに、荒神は「影」を移動したり作り出したりする能力がある一方で、影なので「光」が最大の弱点となっています。さらには、ジャンプもできず、水でおぼれ死にます。基本は、シャドーリープで推し進む事になるわけです。……だ、誰ですか。某UBIさんちのアサシンもしばらくは水でおぼれてた、とか思った人は。

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サクッとおぼれます

さらに、「アラガミ」という荒ぶれる神の名を持つ主人公ですが、敵からの攻撃を受けた場合は情け容赦なく「一撃死」です。それでいて、敵が遠距離攻撃をしてくるので、見つかると死亡率がかなり高いです。雑魚が雑魚じゃないような攻撃をしてくるのは何とも世知辛いのですが、その分リスタートも早くテンポが良いというのは良い点でもあります。

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どうみても死にそうな一撃です

それらの敵を倒すも倒さないも自由ではありますが、ハイスコアを狙うなら「全て倒す」か「すべて避ける」の二択です。とはいっても、スキルなしの状態だと倒した敵の処理はできないし、敵の居場所もマーキングできない等々、不便な事この上ない状況ですので、とにかくスキルがそろうまでは「スコアを気にせず自由にプレイする」をオススメしておきます。

スキルを簡単にそろえるには、成長要素の項目で書いた通りのやり方ですが、カラスの「クロス」をゲットしたらクロスのスキル“秘密の知識”を入手するまで自力でどうにか巻物を探し出す事。無事、スキルが習得できたら更に巻物を探し基本的なスキルをすべてゲット。そうすれば、「全て倒す」も「すべて逃げ切る」もだいたいどちらかは可能になっていくでしょう。ただし、「すべて倒す」は見つけられなかったりすると凄く切ない気分になるので、注意して下さい。

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やる? やらない?

総評:必死に影を追い求めながら移動しまくる硬派なステルスアクション

忍者といえば影なわけで、その影にスポットをあてたステルスアクションとしては、良い仕上がりといえるのではないでしょうか。多少、荒削りな部分も感じたりはしますが、影を必死に探しながら移動するというのは良い発想ですし、特に瞬間移動する様は実にかっこよく何度やっても気持ちが良いモノです。

その一方で、ステージクリア型な事は良しとして、スコア制を採用している事が「縛りプレイ」な状況が生まれてしまうのは少し残念なところです。もちろん、スコアを気にするもしないもプレイヤー次第ではありますが、良いスコアを出そうとすると「倒す」か「避ける」かの二択が迫られます。ここはもう好みの問題であるのも間違いありませんが、スコアが低かったりして切ない気分になる身としましては、ちょっと気になってしまう部分だったりもします。あと、ステージによっては影が探しづらいというのも世知辛いところです。

ですが、全体的には概ねしっかりと作られており、焦点になるのは「一撃死」をどのようにとらえるか次第でしょうか。しかして、PC版なら死亡したあとのリスタートも非常に早いので、テンポ良く試す事ができるので、そこは安心して良いでしょう。なお、ローカライズについては、たまに違和感があるような表現が出てきたりもしますが、致命的に分からないという状況にはならないので、そこらへんは心配しなくても良いかと思えます。

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ちょ、何だって?

比較的硬派なゲーム内容になっており、「見つかったらほぼ死ぬ」というタイプのステルスアクションをやってみたいという人には強くオススメできます。それに、スコアさえ気にしなければドシドシ進めても問題ないでしょうし、かなり自由に遊べるのではないでしょうか。忍者で影を追い求めたくなってみたら、本作をプレイしてみるのも良いかもしれませんね。

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ゲーム終了を選ぶと出てくるメッセージ

この記事を書いた人

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「独り善がりなゲームログ with 電漫堂」の管理人。かつて編プロに勤めていたけど、気づいたらWEB屋になってた。ハンドルネームは「アズ」と読むはずだけど、かつてとあるゲームで外人さんからボイスチャットで「Hey! AZ(エイジ)!」と呼ばれて以来、どう読むべきなのかをかれこれ10年以上悩んでる。

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