連載:気まぐれゲーム雑記 第15回:次世代ハードのAAA級タイトルはコスト3倍くらい? という話題

気まぐれゲーム雑記
第15回「世代ハードのAAA級タイトルはコスト3倍くらい? という話題」

開発費はどこまで高騰し続けるのでしょう?

Epic社の頭脳

次世代ハード。それは様々なゲーマーや開発者達の夢を載せた、未来を担う素晴らしきハード……のはず?
さて、一抹の疑念が生まれてしまうのは、そこに「開発コストがどうなるの?」的な壁が立ちはだかるからです。ただでさえ、ゲームが売れるも売れないも博打である、みたいな風潮があったゲーム業界です。その例に漏れることなく、ゲームを作ったら会社が死んだ、なんてことが海外じゃよくある話ですし、日本でもいつの間にかなくなってしまったゲーム会社があったりします。……映画を作ったら会社が危なくなった、という一例は脇に置いとくとして……。

そんな開発コストやゲーム業界の流れというものが今後どうなっていくのかという事をテーマに、Unrealシリーズやギアーズシリーズで有名なEpic社のボス「Tim Sweeney」氏がCEDEC2012で講演を行いました。実は彼、そんじょそこらのありがちな社長さんではなく、かのUnreal Engineを作った頭脳を持つスゴイ人だったりするのです。あ、ちなみにUnreal Engineで作られた日本のゲームは「ラストレムナント」や「アスラズラース」があります。

ゲームエンジンから見たパフォーマンス

まずは、こちらの動画をご覧下さい。Unreal Engine3で作られたモノとなっています。

ビューティフルの一言ですね。

この動画のどこがすごい! というのは、ちょっと専門的なことになるのでざっくり省くとして、わかりやすいものでリアルタイム描写されていることが一番にあげられるでしょう。やろうと思えば、ゲームとこのムービーは直結することができる、ということです。
ですが、実際「GeForce GTX 580」を2,3基使って動くという、とんでもなくハイスペックなPCじゃないと動かない代物だったりします。わかりにくいと思いますので、お値段で言いますと45000~50000円のグラフィックボードが最低でも2個必要、ということです。とても現実的ではありません。
実際、この数分の動画を作るのに30人のプログラマで3ヶ月要したと語り、Tim Sweeney氏はゲーム全編をこのクオリティで制作するのは現実的ではないと悟ったそうです。

次に、Unreal Engineでも最新となるUnreal Engine4で作られたデモ動画をどうぞ。

こちらもやはりびゅーてぃほぉーですね。

こちらは先ほどの動画に比べ、ハイエンドPCとGPU1基で実現可能なレベルとなっていて、さらにさきほどの動画に比べると制作期間は同じモノの、制作人数は半分でよくなったそうです。これは、最初の動画で時間がかかりすぎたというコストを解消するため、生産効率をあげることを目標に、パフォーマンスを下げる選択もしてきた結果、この形に落ち着いたようです。
そして、氏は「次世代ハードのAAAクラスのゲームを制作するためのコストは、現在の3倍になる」と見込んでいるそうです。ここらへんは、実際にそのゲームエンジンでどれくらいのモノがつくれるのかを把握しているからこその発言といえるでしょう。

ゲームエンジンを手がける企業のボスが分析するゲーム業界

Tim Sweeney氏曰く、今ゲームのグローバル市場は、PCオンラインゲーム市場、モバイル市場、コンシューマー市場の3つにわかれているそうです。PCオンラインゲーム市場は、中国など人口の多い国で広がりを見せているため拡大しているけど、他の市場は横ばいである、というのが氏の見方になっています。

しかし、Tim Sweeney氏はこれらの市場は収束しつつある、と分析しています。というのも、コンシューマーで出たものはPCに移植され、その逆も簡単になってきています。また、携帯電話もHTML5のようなPC用に近いものになってきています。ハイエンドPC用に作られたものは、コンシューマー用に解像度などを調整し、いつかはスマートフォンなどで配信される、という流れを予想しているみたいですね。
要するに、Tim Sweeney氏はプラットフォームの垣根というものが薄れてきているというのが言いたいようにも思えます。

確かに、スマートフォンのゲームをベースにVitaで展開されている「サムライ&ドラゴンズ」のようなタイトルもありますし、広い意味でみれば「どのハードで勝負するか」というよりも、「消費者に選択させる」というスタンスの方がマルチプラットフォーム戦略としては正しいといえるのではないでしょうか。……日本だとPCがとことん流行らないような気もしてしまいますが……。

流石にすべてをご紹介しているととんでもなく長くなってしまうのでここらへんで一区切りとさせて頂きますが、世界的に有名なUnreal Engineを作った頭脳の持ち主が分析するゲーム業界というのは、中々に新鮮なモノがあります。AAAタイトルの開発コストは現状の3倍といった話も、Unreal Engineを作っているだけに、現実味を帯びて聞こえてきます。そうなると、よりAAAタイトルを作る事は難しくなる事は容易に予想できますし、恐らくはさらにソーシャルで資金を集めるという流れになっていくのも想像に容易いです。
果たしてゲーム業界や、メーカーさん。それらに関わるハードメーカーさん達は次世代ハードに一体どういった答えを出すのでしょう? Wii Uを始めとした次世代ハードがどういったモノになるのかを、今から楽しみにしたいですね!

[情報元:4Gamer.netさん]

しょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会

しょぼーんさん:CEDEC2012でUnreal Engineを作ったTim Sweeney氏の講演があったそうなのでご紹介です。

しゃきーんさん:な、なんというか、話の規模が大きすぎるので三行でまとめて頂きたいわけですが……。

しょぼーんさん:ゲームエンジンを手がける企業として、AAA級のタイトルは現状の開発コストの3倍になる……かも? ゲームハードのプラットフォームは垣根がなくなりつつあるけど、それぞれの特徴を活かすように作ればいいんじゃね? 次世代ハードは良いモノを安く、のコンセプトでお願いします(願望)。

しゃきーんさん:最初の2つはわかったが、最後の願望て……。いやまぁ、3DSの流れをみてりゃ結局はそういうことなんだろうってのはわかるけどさ……。

連載:気まぐれゲーム雑記 第15回:次世代ハードのAAA級タイトルはコスト3倍くらい? という話題に関するしょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会

しょぼーんさん

しゃきーんさん

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