連載:気まぐれゲーム雑記 第44回:PS Mobileはゲーム業界への登竜門となり得るか? と言う話題
気まぐれゲーム雑記
第44回「PS Mobileは日曜プログラマーの星となれるかどうか? と言う話題」
そこにオープンなプラットフォームがある限り、日曜プログラマー達は生まれるのです。
日曜大工ならぬ、日曜プログラマーこそ鍵になる
先日、PS Mobileが正式にコンテンツを配信開始しました。詳しくはこちら。
さらっとPS Mobileについて説明しておくと、Android OSとVita上で共通するコンテンツを配信しようという試みです。要するに、もっと極端に言ってしまうと、ソニー製品のスマートフォンやタブレットとVitaで配信されるコンテンツを全部融合しちゃおう! という事だったりします。
ここで注目なのは、Android OSとVita上で共通するコンテンツを配信する、ということになります。要するにコレ、マルチプラットフォームを自社で完結させようという事なのです。多角経営しているソニーさんらしい発想だと思います。
で、PS Mobileがうまくいくかどうかは、鍵を握るのは一企業よりも「日曜プログラマーの存在だ」と管理人は思い込んでいたりするわけです。
考え方次第ではVitaのゲーム作りはスマホのゲーム作りとなる?
現在、セガさんが発売したVitaの無料タイトル「サムライ&ドラゴンズ」はかなりの人気を誇っています。ですが、そのベースになったものはiOSの「Kingdom Conquest」が元になっている事は、よく知られている話です。前々から言われていたことではありますが、VitaはスマートフォンOSとの相性が良いというのがよくわかる一件です。
そして、今回のPS Mobileは現在のところ企業のみとなっていますが、個人開発者にも提供される予定になっています。とはいえど、「年間100ドル(1ドル80円なら8000円)かかる契約」を結ばないと開発コンテンツをVita上で確認する事はできませんが。
で、4Gamerさんによる、PS Mobileに関するインタビュー記事に興味深い一文がありまして。詳しくはこちら。
要するに、PS Mobileはスマートフォン的なアプリケーションで儲けたいわけじゃなくて、ある程度成功をしたコンテンツに対して、もっとがっつり稼ぎませんか? とソニーがバックアップをしながらゲーム業界へデビューさせる、という登竜門の役割を持ちたいというのです。
多くのクリエイターを排出することになった企画「ゲームやろうぜ!」そのものですね。流石ソニーさん、と言うべきでしょうか。
ネックを考える
世の中のPCユーザーは、大半がWindowsだと思います。最近は、アイフォンの影響でMac開発者も増えましたが、概ねWindowsでしょう。……Linuxも個人的には好きですが……。
どのプラットフォームも、古今東西その発展を支えてきたのは日曜大工ならぬ、日曜プログラマーさん達でした。もちろん本職のプログラマーさんも多かった事でしょうけど、そういう本職の方であろうとも、何となく自分の使い勝手を良くするために作ったアプリケーションが広く使われることになって、OSやアプリケーションは進化していきました。
それらがなぜ出来たのか? と言われれば、作れる環境にあったから、と答えるのがベストでしょう。
管理人は、HTML、PHP、Java、C++、Pythonなどのプログラム言語をなんとなくかじった事がある程度の人間ですが、それらも基本的には「自力でほとんどお金を使わずに用意する事ができたもの」だからこそ、学ぶ事ができたし活用する事ができたと言えます。
今までOSや有名アプリケーションの発展に貢献した日曜プログラマー達も、そういった環境にあったからこそ、日曜日にちょっとだけプログラムしてみよう、なんて思えたのではないでしょうか。
そう考えると、年間100ドルを払いながら一個人で開発するというのは、ちょっと足を引っ張るものにも思えます。約コーエープライスなゲーム1個分ですね。
Vita向けのゲームを作れると考えれば安いとも取れますが、本業の片手間にちょこっと作ったりする日曜プログラマーさん達がこれを大きいとみるか、小さいとみるかは何とも言えません。
恐らくは企業は飛びつくでしょう。なんといっても、スマホやタブレットに加えてVitaにも対応するというのは大きいです。小さな開発会社であればあるほど、小さいながらに堅実に稼いでいかねばなりませんので、スマートフォンはそういった企業にとって生命線とも言えるモノになっているはずです。……日本だとゲームの場合は、カードゲームばかりでイラスト料も下がるとかわけのわからん方向性に進んでいますけど。
個人的な開発者は、結局のところ多く出回っているプラットフォームか、自分が使いたいプラットフォームでモノを発表します。Mine Craftはその最たる例でしょう。
あのような成功を収めるのに必要なのは、日曜プログラマーのような企業の枠に囚われない発想ができる人だと言えます。ゲームがより広く集まる、という見合いならPS Mobileは注目といえますが、日曜プログラマーにとっては果たしてどう映るのでしょうか? その開発ツールを自分で弄って、何となく楽しめそうだから作ってみよう、という気軽さこそが、過去のOS達を大きくしてきた最大の要因だと思います。
PS Mobileもそうなっていくと、より広く発展できるのではなかろうか? と思える話題でした。
しょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会
:PS Mobileの話題が出たんで、開発者的な視点でモノを見てみました。
:よ、ようするに、どういうこと?
:なんというか、気軽さがないように思えるから、もっと気軽に人が取っつくようなやり方にした方がいいかも? って事。現状なら恐らく、基本的には企業しか参戦しないんじゃないかな。まぁ、それでも年間8000円でVitaのゲームが作れるのなら、と思えるかどうかってラインだと思う。
:な、なるほど……。オープンな開発の場と言うヤツだな? もっと、日曜プログラマーさん達が触りたくなるようなアプローチが必要なのかもしれないな。