連載:気まぐれゲーム雑記 第79回:次世代エンジンにはゲームの未来がある、と言う話題

気まぐれゲーム雑記
第79回「次世代エンジンにはゲームの未来がある、と言う話題」

国の違いは考えの違いと心得たいのです。

100の凡人よりも1の天才が語る意味

スクエニが新型ゲームエンジン「Luminous Studio」を発表したり、デモを行ったり、大丈夫なのか? という不安と、クオリティはスゴイ、という賛否両論が起きたのは記憶に新しい話。
そのLuminous Studioを手がけた橋本善久氏は、かつてセガでヘッジホッグエンジンを手がけた、ゲームディレクターでありながらも生粋のプログラマーです。そして、今もなお「ハイエンドなゲームがあってこそ、ゲームの未来はある」と信じて疑わない人でもあります。そんな方のインタビュー記事が掲載されました。詳しくはこちら
ざっくりまとめると以下の様な事を言っています。

  • Luminous Studioは、ハイエンドゲームをアピールに使っただけで、(スペックを要求されやすい)PCゲームから、スマートフォンやタブレット、さらに将来的にはクラウドをベースとしたプラットフォームなども視野に入れたゲームエンジン
  • 最近はソーシャルが流行っていて「FINAL FANTASY BRIGADE」もそうだが、それはハイエンドなタイトル「ファイナルファンタジー」というバックボーンがあったからこそ上手くいっている
  • ハイエンドなゲームを一定水準を越えたモノにすれば、一般のユーザーにも振り向いて貰える武器になるのではないか
  • Agni’s Philosophyは、ムービーだと分かり辛いが、あのクオリティをコントローラで動かす事ができる
  • 100%良いエンジンを作り上げられる前提があるなら、コストは安い
  • すでにLuminous Studioを使ったプロジェクトはいくつかあるが、エンジン自体が未完成なので事前準備をしているところ
  • 携帯端末などのデバイス(プラットフォーム)を横軸と捉えるなら、グラフィックやAIの技術は縦軸であり、縦と横の掛け合わせでゲームの可能性が生まれる
  • ハイエンドな方向で勝負できる会社が、今はもう世界的に見ても限られてきた
  • スクエニは、まだハイエンドゲームを作れる体力がある企業
  • 小島プロダクションのMETAL GEAR SOLID GROUND ZEROESには、大いに刺激を受けた
  • テクノロジーが突き抜けた先に、新たなるゲーム体験が訪れると言うのを信じている

だいたいこんな感じでしょうか。

と、いうわけで、本日はこの新エンジンとか取り巻く環境の話題に乗ってみようかと思う次第です。

ハイエンドなタイトルを作れる企業は限られてきた

インタビューを読んで改めて気になったのは、橋本善久氏がセガからスクエニに移動してこのエンジンの開発に着手した、というところです。
元々、橋本氏は生粋のセガっ子としても知られていて、学生時代からセガに入りたくて活動をしてきた結果、無事セガに入社しヘッジホッグエンジンを手がける事になります。そんな生粋のセガっ子がセガを飛び出してまで作りたかった新エンジン、というのにはやはり興味がありますし、わかってはいましたが「今のセガにそれはできない」という事だったのでしょう。……何とも、侘しい事です。

とはいえ、Luminous Studioはハイエンド専用のゲームエンジンかと思っていましたが、ハイエンドからスマホまで幅広くサポートするエンジンだったのは意外でした。だいたい、アンリアルエンジンと同じ方向性と言う事でしょうか。
現時点で、大手のゲームメーカーは大抵自社のゲームエンジンを持っています。アサシンクリード3では新エンジン「AnvilNext」が採用された事でも話題になりましたし、インタビューで話題にも出た「METAL GEAR SOLID GROUND ZEROES」は小島プロダクションが手がけたフォックスエンジンを採用しています。
やはり、ハイエンドなタイトルを作ろうとした場合、自社ならではの強みが出るようなモノが必要になるのでしょう。そういう中で、Luminous Studioはどういう強みを持つのかは今後に期待したいところです。

技術的な未来

昨今、ソーシャルが台頭してきてから、ハイエンドなゲームというものは鳴りを潜めるようになりました。ここ最近、日本のタイトルでハイエンドと呼べるモノは何かあったかなぁ……? と考えないとわからないほどに、です。
その背景には、ひたすら上がり続ける開発費の問題や、ユーザー層の変化、ゲーム内容に対するクオリティの問題など、いろいろな要素があります。

橋本氏の技術に対する未来というのは、大変素晴らしいものを感じます。プラットフォームが大きく変化する中で、あえてハイエンドなモノを作るその姿勢や熱意は、賞賛に値します。とはいえ、この試み自体が上手くいく可能性は未知数ですし、何よりスクエニの場合、FF13ヴェルサスやらFF14やらリメイクやらセキュリティやらブラウザゲームやら、ユーザーの感情が複雑に絡むような問題を秘めているため、厳しい目で見られるのも事実です。
Luminous Studioで作られたゲームのクオリティが良くても、ゲーム内容次第では「またグラフィックだけ」などと揶揄されてしまう可能性も捨てきれません。

上記のインタビューから読めるのは、スクエニがまだまだハイエンドゲームを出すという夢を見ることができる企業だ、と言う事です。果たして、Luminous Studioがどういった結果を出すことになるのか……。恐らく答えは、次世代機やPCになるのでしょうけど、長い目で注目しておくのも良いかもしれませんね。

しょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会

しょぼーんさん:Luminous Studioは、ハイエンドゲームに夢を見る人達の浪漫が詰まったものになる……はずなんだよ! ってお話です。

しゃきーんさん:ま、まぁ、まだできてないもんな……。

しょぼーんさん:てっきりハイエンド専用エンジンかと思っていたけど、スマホとかソーシャルもサポートする多機能エンジンなのね。こういう夢を見る技術者っていうのは、わたくしとしては応援したくなりますな。……スクエニさんはどこまでやれるかねぇ……?

しゃきーんさん:それこそ、答えは次世代とか随分先になりそうだ。良い結果が出てくれればいいんだがな……。

記事にコメントを書く