連載:気まぐれゲーム雑記 第269回:インディーズが盛りあがろうとしている中、何となくモヤモヤすること、と言う話題
気まぐれゲーム雑記
第269回:「インディーズが盛りあがろうとしている中、何となくモヤモヤすること」と言う話題
PCゲーマーじゃないとわからないかもしれない……。
インディーズは一大勢力……には違いないんだけど……
昨今のゲームシーンにおいて、インディーズは確かな地位を確保しています。
マインクラフトを始め、テラリア、LIMBO、風ノ旅ビトなど、多くのタイトルが知れ渡りました。当然、それに比例するかのように消えていったインディーズも多い事でしょうが、メーカーがインディーズを取り上げるようになったのは一つのターニングポイントでもあると言えます。
そんな中、「「主役交代」迫るゲーム業界 革新は新興企業の手に」というインディーズが台頭してきた内容の記事が掲載されました。詳しくはこちら。
内容をざっとまとめると次の通り。
- ゲーム業界はパソコン向けソフトウェア業界と異なり、高い参入障壁を設ける事で、産業競争力を保持してきたがそのルールが変わろうとしている
- 特に大きな変化があったのは任天堂で、GDC(Game Developers Conferenceというゲーム開発者達の発表の場)で「Unity」や「Nintendo Web Framework」など開発者に歩み寄りを見せた
- ここ数年でゲーム業界の環境は大きく変化し、大企業から個人までゲームソフトを開発できる環境になった
- 予算が大規模な対策ゲームと、少数で開発するカジュアルゲームの二極化が進んでいる
- GDCの会場では、PS4の前途を楽観視する声はほとんどなく、「消費者もメーカーもPS3でまだ十分で、PS4への移行は遅れるのでは」という意見が多かった
- マイクロソフトも、GDCではXbox Oneの発表前だった事もあり、Xbox360とスマホやタブレットを組み合わせた2画面ゲームの開発を呼びかけたが、いまひとつ響かなかったようだ
- GDCで大きな存在となっていたのが新興のゲーム機メーカーやゲームソフト開発者だった
- ヘッドマウントディスプレイの「Oculus Rift」、Nvidiaの「Project SHIELD」、据え置き型の「OUYA」が注目を浴びた
- 新興ゲーム機を後押ししているのがインディーズで、急成長している
- インディーズの代表例が「マインクラフト」で、GDCで開催された開発元Mojangのパーティでは、多数のインディーズ開発者が詰めかけた
- マイクロソフトや任天堂、SCEといったゲーム機メーカーもインディーズゲームの配信に乗り出している
- また、インディーズゲームをゲーム機メーカーが支援して成功したのが「風ノ旅ビト」
- GDCでは、苦境にあえぐ従来のゲーム機メーカーと、勢いを増す新興のゲーム機メーカーやゲームソフト開発者の姿がより鮮明になった
ざっとこんな感じでしょうか。
ゲーム機メーカーもインディーズに注目しているのは間違いない事でしょう。そして、インディーズにより盛りあがって欲しいとは思うモノの、やはりモヤモヤっとしてしまう部分もあるわけでして。今日はそんなモヤモヤする部分を冷静に淡々と書いてみようと思う次第です。
気軽に買えなくなる懸念
先日、5pb.が「サンクタム2」というタワーディフェンス型FPSタイトルをPCで発売すると発表しました。サンクタムは、Coffee Stain Studiosというスウェーデンのインディーズスタジオが手がけたタイトルです。マインクラフトのMojangと同じスウェーデンというのは、何とも驚いてしまうところではありますが、それはさておき。
気になっているのは、価格やSteamへの対応だったりします。
サンクタム2は、Steamで買おうとすると約15ドルです。そこに、シーズンパスやらDLCやらをいれて、合計30ドルとなります。もちろん、ここに日本語は含まれていません。その一方で、日本語ローカライズで発売されるサンクタム2はシーズンパスやDLCをいれて6090円(定価)となります。
ついでに、最近発売されたテラリアはどうかというと、Steamでは約10ドルで買えます。日本語ローカライズはついていませんが、日本語化パッチは存在しています。そして、日本で発売されたPS3版は約4000円(定価)。
他にもインディーズではないタイトルとして、クルセイダーキングス2はSteamで日本語言語がないバージョンだと約40ドルですが、日本語版だと約8000円(定価)です。あとメジャーなところでトゥームレイダーは約50ドルですが、日本語化パッチが30ドルで配信されています。こうやってみてみると、ローカライズされて日本語版として発売されると3000円~4000円上がる、という事になります。
一方で、LIMBOやマインクラフトはコンシューマ機でもPC版とさほど変わらない値段で発売されました。また、PS3の風ノ旅ビトも1200円と他のインディーズタイトルと同等の価格で販売されています。この差は一体どこにあるのでしょう? 大きな違いとしては、ゲーム機メーカーか、サードパーティかの違いが一つ。あとは、国家間での物価的価値の違いやローカライズ費用、宣伝費、流通など色々含まれているのは確かでしょう、ですが、何となく腑に落ちないところではあります。
恐らく腑に落ちない理由は、ローカライズの費用やら何やらはユーザーにとってまるで見えない物だから、だとは思っています。インディーズの一つのウリとして、「かなり安い価格でプレイできる」というのが前提にあるPCゲーマーは多いでしょう。そういった部分を考えると、ローカライズが優れているからといって海外に比べて倍だったり3倍だったりするのは、何となくインディーズタイトルが上手く使われてしまっている感を感じてしまうような気がしないこともないのです。実際のローカライズ費用やら何やらがわかればもうちょっと別にも思えるわけですが……。
あと、Steamへの対応は「おま国」にならないかの一点です。リージョン制限にシビアなメーカーさんもいらっしゃるようですし、インディーズタイトルが気軽に買えなくなるかもしれないというのは、何となく懸念してしまうところです。
当然、企業である以上は儲けを出さないといけないのは理解できるがゆえに、余計にモヤモヤしてしまうというわけです。日本で売る以上は日本語ローカライズは必要ですし、そういったものを開発するのに時間やお金を要するのも確かでしょう。ですが、より多くのユーザーにとってインディーズは「価格も一つの魅力である」のは間違いありません。
どのような選択肢がインディーズにとって良いのかはわかりませんが、メーカーとユーザーの双方が納得できるような答えが出てくる事を願いたいものですね。
しょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会
:なんか、インディーズが台頭してきたよーって記事があったのを読んでたら、インディーズタイトルがサードパーティから出ると、インディーズとは思えんプライスになってる場合がありゃしませんか? ってな話題に行き着いてしまいました。
:まぁ高いのは何だが、実際ローカライズ費用とかどんくらいするんだろうな?
:というか、そういうのが明確にわかっていれば、納得して購入するという事ができるんだけどね。なんかSteamでインディーズゲームしてると、漠然と値上がっている印象を受ける時があるわけですよ。……ま、企業である以上はそういったお金まわりの話はそうそう出せないんだろうけどネー。
:メーカーも儲けがないと話にならんからなぁ。どちらが良いとは言えんが、上手い落としどころがあるといいもんだな。
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