連載:気まぐれゲーム雑記 第180回:僕らのロード・ブリティッシュの新作「Shroud of the Avatar」が色んな意味で面白そう、と言う話題
気まぐれゲーム雑記
第180回:僕らのロード・ブリティッシュの新作「Shroud of the Avatar」が色んな意味で面白そう、と言う話題
帰って来た僕らのブリ王なわけで……。
リチャードギャリオットという人
リチャードギャリオット氏と言えば、ウルティマの産みの親でもあり、自身をゲーム内に登場させ「ロード・ブリティッシュ」としても名が知られている御仁です。
ロード・ブリティッシュは、MMOの名を世に知らしめた作品ウルティマオンラインを手掛けた事でも知られ、その後はウルティマオンラインの運営を行っていたオリジンを買収したEAを追い出されるように出て行き、次はNC SoftでTabura Rasaの開発を手掛けるもののまたもや退社し、宇宙旅行へと旅立ち、さらに次はゲーム業界の舞台に帰って来たと思ったらソーシャルゲームの開発を手掛けるなど、まさにフリーダムという言葉が似合う御仁でもあります。
そんなロード・ブリティッシュが、新作「Shroud of the Avatar:Forsaken Virtues」を発表しKickstarterで資金募集を呼びかけ無事100万ドルを集める事に成功したのは当ブログでもご紹介しましたが、4Gamerが「Shroud of the Avatar:Forsaken Virtues」についてロード・ブリティッシュにインタビューした記事が掲載されました。詳しくはこちら。
まとめると次の様な感じです。
- 宇宙旅行は一言で語り尽くせないほど濃密で、環境についてもっと気をつけなくてはいけないと感じたので、Shroud of the Avatarでもそういうメッセージを取り入れていきたいし、完成したら日本でもお披露目したい
- ギャリオット氏のゲーム製作人生において、影響を与えた3つの時代があった
- 1つ目はウルティマシリーズのシングルゲーム、2つ目はUOのようなMMO、3つ目はソーシャルゲーム
- これらは、プレイヤー人数がシングルからMMOで10倍に膨れ、ソーシャルで更に10倍に膨れた
- MMOとソーシャルの大きな違いは「知らない人同士が知り合う」ことから「知っている人同士が、より深く知り合って一緒にプレイする」というものだった
- 今回のShroud of the Avatarは、ストーリーを楽しむシングルゲーム、MMO的なマルチプレイヤー要素、知っているモノや知り合った人同士がもっと深く関われる要素の3つを組み合わせたものになる
- 最初から最後までシングルプレイで出来るようなデザインにしてある
- ほとんどの人は“Open MultiPlayer Mode”(MMOに近いが、細かく設定できる)でプレイすると思うし、UOで遊んでくれているような人なら一番抵抗なく受け入れられるモード
- シングルプレイを用意したのは、マルチプレイヤーモードでは遊ばないシャイな人達もいるため
- プレイスタイルについて、見知らぬみんなと遊ぶか、仲間内だけで遊ぶか、自分一人で遊ぶか設定できる
- UOは全世界のプレイヤーの3分の1が日本からだったし、あとの3分の1はアメリカ、残りの3分の1はヨーロッパだったので、日本のプレイヤーはロード・ブリティッシュを「MMOゲームの人」だと思ってると考えている
- あえてキャッチコピーを付けるなら「リチャードギャリオットが作る、まったく新しい形のクラシカルRPG」となるし、MMOは示すものが広すぎるため「Selective Multiplayer Game」という言葉を考えている
- MMOというよりはMOに近いが、MOともまた違うものなのでSelectiveという言葉を考えた
- 環境によって自由にプレイスタイルを変えられるゲームだが、完全なオフラインモードをゲームの最初で選択してしまうと、マルチプレイモードにはできない
- マルチプレイヤーモードをオフラインでプレイする事は可能
- 完全なオフラインモードは、最初から最後まで完全に一人で楽しむもので、既存のコンピュータRPGそのものなので、それを最初に選んでしまうとデータ管理の都合上オンラインモードには出来ない
- プレイヤーのPCにはサーバーとクライアントの両方がある状態で、最初に街に入った人がサーバー側となり、後からくる人はクライアントとなる
- あとから来た人は、最初にサーバーになった側のゲームに入るかどうか確認画面が出る
- 各プレイヤーの進捗状況はセントラルサーバーに保存され、マルチプレイの整合性はそのデータで自動的にシンクロするような感じに検討している
- オンラインモードとオフラインモードの違いは、ほとんどないがごく一部では入るのに2人のプレイヤーが必要だったりするのもある
- プレイヤーの作るタウンについても、その人のみ関与する状態なので進捗はすべて管理できる
- タウンは、プレイヤーの家があったりプレイヤーのお店があったりする場所で、プレイヤーがオンラインでない時は、プレイヤーキャラクターがNPCとして自動的に活動してくれる
- ミッションが発生するほか、モンスターの軍勢が攻めてきたり、家が焼かれたり、街が燃えたりする
- ゲームで用意するタウンは誰でも参加できるし、プレイヤーギルドによって運営されるタウンも登場すると思う
- 大きいタウンは設備もだいぶ違うし、一番大きいタウンは50~100人くらいになるが実際にはもっと多くのプレイヤーがそこにいることになるとは思う
- Kickstarterで100万ドルを達成した!
ソーシャルに行ったのも意味があったんですね……。
というわけで、そんなロード・ブリティッシュの新作「Shroud of the Avatar:Forsaken Virtues」が面白そうなんじゃね? と賛美する記事を書いてみようかと思う次第です。
あれやこれやと考慮してもらえる嬉しさ
ロード・ブリティッシュがウルティマでシングルRPGに影響を与え、UOでMMOの道を切り開いたのは間違いなく事実ですが、そこにソーシャルの要素を取り入れる……のではなく、ソーシャルの人の繋がり方そのものを提供しようと目論んだというのは実に面白いです。わかりやすく言えば、デモンズソウル内で好きな人同士と遊べる選択肢も用意した、といったところでしょうか。ソーシャルゲームにそういった部分を見出してゲームに取り込むというのは実にらしいです。
オフラインプレイヤーについてもきちんと考えられていて、要するにこの作品はロード・ブリティッシュが作り出す独自のRPGに昔から今に至るまで多くのゲーマーに納得してもらえる選択肢を提供したゲーム、ということになります。こういう部分が「新しい形のクラシカル」なのかもしれません。
また、タウンの考え方も実にMMOやソーシャルに近いモノがありながらも、シングルプレイでも問題がないような設計はよく考えられています。特に、UOをプレイしている人なら抵抗なく受け入れられるというのも、何とも興味が惹かれるところです。
とはいえ、Kickstarterが順調に目標を達成できたのは大変素晴らしいことですが、気になるのは開発期間です。ロード・ブリティッシュが手掛けた「Tabula Rasa」は、巨額をかけ時間をかけた挙げ句に商業的に失敗し、1年半でサービス終了しました。そこらへんを考えるとやはり不安にならざるをえない部分は否定できません。……ほどほどなタイミングでリリースして欲しいとは思えど、やはりゲームとしての完成度も大切ですしそこをどのようなバランスで考えるかは一概には難しいでしょう。
ロード・ブリティッシュのコメントに嘘がなければ、日本でも何かしらあるような感じは見受けられます。最もローンチに日本が混ざる事はあり得ないとも思いますが、ウルティマをプレイした身としては、やはり日本でも何かしらやってくれると期待はしておきたいです。
本作が本当に日本へやってくることがあるのかどうかも含め、長い目で見ていきたいですね! ……続報が数年後に出てきた、などという話にならないことを切に願いたい限りです。
しょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会
:ロード・ブリティッシュことブリ王の新作が面白そうなんだけど、また開発に数年とかいう始末にならないでほしいなぁ……ってなお話です。
:誰も好き好んで数年作り続けるわけじゃないとは思うがな……。
:オリジンを買収されたり、Tabula RasaもNCsoftに買収されたりと経営は余りお上手ではないようなので今回のKickstarterには期待したいんだけど、どれくらいのタイミングでこの作品が表に出てくるかねぇ……。本当に面白そうと思っているだけに期待したいんだけど、いつまで期待し続ければ良いのか先の見えないレースというのもまたファン心をくすぐりますな。
:単なる信者だろ、それ。
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