連載:気まぐれゲーム雑記 第132回:クラウド技術が持ってくるネットワークの未来……の予想、と言う話題
気まぐれゲーム雑記
第132回「クラウド技術が持ってくるネットワークの未来……の予想、と言う話題」
何となくビジョンが見えてくるのです?
ご無沙汰しています、久夛良木さん
ソニーでプレイステーションを世に発表し、多大な功績を挙げたプレイステーション産みの親である久夛良木氏。
その功績を見るやいなや、さまざまな賛否両論の渦がうごめきだすわけですが、今ではソニーを離れてサイバーアイ・エンタテインメントという企業の社長を務めている御仁です。まぁ、他にも角川ホールディングスの社外取締役だったり、何だったりと中々手広い活動をしていますが、根底はかなり最先端を突っ走る傾向がある技術屋だったりもします。PS3の初期価格や、やりたかった構想などを考えればそこらへんの事はわかってくるような気がします。
そんな久夛良木氏ですが、久しぶりに表舞台に登場し、日経ビジネスオンライン上で「スマートフォンの時代は終わる」と中々に面白いインタビューが掲載されました。詳しくはこちら。
一部会員じゃないと見られない部分があるとは思いますが、そこらへんもひっくるめてざっくりとまとめると次のような感じです。
- プレステのかなり初期の段階から、今で言うクラウド技術的な事をしたいと考えていた
- プレステ3で実現したかったが今でもできず、ゲーム機の世界は進化が遅いと不満を感じることがある
- すべてのゲーム機がインターネットに溶け始める(つまり、融合しクラウド技術でのアクセスが主要になる)時期が到来したと確信している
- 今のネットにはリアルタイム性が不足している
- ツイッターなどもあるがまだまだ不十分で、様々な分野でリアルタイムに情報を処理するニーズが高まる
- 今のネットはグーグルやフェイスブックの技術仕様で有機的に繋がっているが、最終的には目的に応じた進化を遂げる専用コンピュータが出てくるはず
- スマホブームは一時的なモノ
- 本来、ネット端末は消費者に持っていることを意識させてはいけない(あたかもそれが当たり前のように使われないと意味がないため)が、今のスマホは性能的に1日で電池切れする
- スマホの高性能化はメーカーの都合の良い進化や願望にすぎない
- 今後10年でクラウド側のあらゆる情報を処理する環境が整えば、端末が豊富な機能を持つ「リッチクライアント」から、端末には限られた情報しか持たせない「シンクライアント」の時代に転換すると考えている
- 今後は「箱物」よりも「ネットワーク」が力を持つ事は明らか
- スマホなどの端末側ではなく、クラウド側で情報を処理し、ネットワークコストの低減による恩恵を受けられるようなビジネスモデルを考えるべき
なるほど、と言えるくらいに奥が深い話です。
この話は、主にクラウド技術が今後のネットワークを支配していくという予想を立てているものであって、実際こういった時代が来るにはもうちょっと時間がかかるとは思いますが、一度出てくればこの流れは加速する事でしょう。
というわけで、今日はそんなクラウド技術によるネットワークの未来は、当然ゲームにも影響していくと言う話題をしてみようかと思う次第です。
クラウドゲーミングについてお復習いしつつ、久夛良木氏の話を踏まえてみる
当ブログでは、度々この「クラウドゲーミング」と言うものがどのようなモノを指すのか、という話題をいくつかしてきました。リンクを張るとたくさん貼る羽目になるので、そこを回避するためにさらっと一言でまとめちゃうと、「サーバー上でハードの役割を果たす技術」と言う事になります。
で、久夛良木氏が「端末は豊富な機能を持つよりも、限られた情報しか持たないようになる」というのは、つまりこのクラウドの技術が根底にある、ということを指しています。ゲームで例えるならば、ハードもソフトもサーバーにあって、自分はそれを動かす端末をもっている、という事です。
久夛良木氏はスマホのネックな部分として、高機能すぎてバッテリー消費が激しい事を挙げています。ですが、クラウド技術を使えば映像や音声を描写するだけで基本的な処理はサーバー上で行う事になるので、スマホ自体が多機能である必要性がない、と言う事なわけです。このことは、ソニーやマイクロソフトの次世代機にも言える事だったりするのです。……もちろん、技術が完全に確立されている事が前提、となるわけですが。
この話のネックは、全世界どこでもネットワークに繋がる事ができるわけではない、という部分です。当然ながら、先にも書いたとおり技術が完全に確立されていれば、時代はそちらへ移行するでしょう。その方がコストダウンも計れますし、端末の大量生産も可能になります。
ですが、誰しもがそれを望むわけでもありませんし、ネットワークに不便をしてしまうようなちょっとした田舎方面の方々には少々受け入れがたいモノがあるのは確かです。そういう意味では、今のような抱負な機能を持った端末と、そうではなくネットワークに全てを依存した端末の両者に分かれていくことになる、というオチの付け所が無難に思います。
ネットワークの時代はいつ来る?
久夛良木氏が語るようなネットワークの時代は、すでにある程度形を見せています。グリーやモバゲもある意味でプラットフォームですし、Steam、Origin、Ouyaなどもネットワークを主体にしたプラットフォームと言えます。これらはハードとしての形、つまり箱物ではないわけです。……いやまぁ、ValveはSteam Boxを作って箱物の存在感をしっかりと提供しようと試みているわけですが。
なんにせよ、一つの目安はソニーやマイクロソフトの次世代機です。特にソニーはクラウドゲーミングとして知られていたGaikaiを買収し、その技術をPSビジネスとして使う事を明かしています。ソニーがクラウドゲーミングを使ってくるのかどうかで、ゲーム市場や小売り店、販売方法など色々と変化してくる部分があるようには思います。
次世代機については、噂ばかりが出ていてまだまだ実際にどうなるかはわかっていません。ですが、年内にそれなりの情報は出てくるのはほぼ間違いがないように思えます。来年3月くらいまでに発売されれば御の字、といったところでしょうか。……いやまぁ、性能や価格、それに出てくるタイトル次第だとも言えますが。
いずれにせよ、ゲーム機にもネットワークの時代が来ようとしています。各社の次世代機がどういった答えを見出すのかはわかりません(Wii UについてはMiiverseで人と共有する事でしょう)が、最終的にはユーザーにわかりやすい形となって出てきてくれるのを切に望みたいですね。
しょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会
:久しぶりに久夛良木さんの興味深いお話が見られるぞーってことでクラウドのネットワークに未来を見出してたヨーってお話です。
:クラウドの話題は度々うちでも出してるよな。まぁこれだけ言われれば何となく、ネットワークで全部処理するからハード自体はそこまで凄いものである必要がない、ってのだけはわかるわ。
:あくまでも、クラウド技術ですべてを処理するってのが前提なら、だけどね。でもまぁそういった技術はもう実際にあるわけだから、やってやれないことはないんじゃない? もっとも、ゲームの場合は面白いソフトがあるかどうかとか、わかりやすいものになっているか、ってのも合わせて重要になるけどね。
:なんつーか、こう、未来的なお話ばっかだとさ、本当にそんな時代がくるのかって思えちまうな。……ほんと、どうなっていくんだかねぇ……?
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