連載:気まぐれゲーム雑記 第83回:ゲームを作るのに必要な人材は、顧客目線になれる人と理解できる上司、と言う話題
気まぐれゲーム雑記
第83回「ゲームを作るのに必要な人材は、顧客目線になれる人と理解できる上司、と言う話題」
ゲーム作りだろうと何だろうと、仕事に理解がないとやってらんねーよという事なのです。
作り直しは一苦労……どころじゃない
またもや、スクウェア・エニックス オープンカンファレンス 2012からの話題です。
とはいっても、今回はゲームエンジン云々ではなく、FF14がどういう経緯で作り直しされることになったか、と言う話題。詳しくはこちら。
ざっとまとめると以下のような感じです。
- 吉田氏がFF14を引き継いだ2010年末の「現行版FF14」は、色々と絶望視されていた
- 冷静になって、現行版FF14を参考にせずに正しいゴールを再設定した
- 問題点を細部まで洗い出し、リスト化した
- 少数精鋭のメンバーを揃えた
主に以下の通り- テクノロジーを任せられるプロフェッショナル
- デザインの方向性を決められるコアスタッフ
- バトルシステムのスペシャリスト
- インターフェースのスペシャリスト
- 現状の問題を最も把握しているスタッフ
- 熱意のあるマネージメントスタッフ
- 問題を解決する際は、「どうするか」ではなく「何をするか」を細分化し決めた
- その結果は、すべてを作り直した方が早いというものになった
- 信用を取り戻すため、現行版FF14の運営を続けながらも、新生の開発をすることにし、経営側も許可してくれた
- シナリオを現行版から新生へと繋げて、ユーザーや現場スタッフのモチベーションを上げた
- 現行版FF14が失敗したのは、スクエニだから、FFだから、という慢心があったように思う
- 作り直しは今回限りにしたい
いやはや、作り直せと言われた方はたまったもんじゃないですね……。
と言うわけで、今日はこの話題についてアレコレ書いて見ようかと思う次第です。
プロデューサーが何をやっていたかで期待をしていた
「現行版FF14が失敗したのは、スクエニだから、FFだから、という慢心があったように思う」と言うのは、非常に冷静で良い分析です。
以前スクエニ社長の和田氏はデバッグを軽視するような発言をしていて、FF14はバグだらけだったりα版といっても過言ではない出来映えでサービスを強行した結果、大失敗しました。恐らくは、α版で課金をしてもらいながら、早期に修正していく方針だったのではなかろうかと思いますが、そういう流れは大抵のオンラインゲーマー達なら誰でも容易に出てくる結論でしょう。
ともなれば、批判は和田氏やスクエニに集まるわけで、今でも残っていますがFF14はサービス開始からわずか2ヶ月で、公式に謝罪する事になります。
この時の事はまだ覚えていますが、謝罪文にも書かれている通り「新プロデューサーの吉田って誰?」という印象が強かったです。まさか、ココまで立て直せる人だとは思ってもいませんでした。
何より幸いだったのが、吉田氏がヘヴィなオンラインゲーマーだった事です。
プレイされていたタイトルを洗い出してみると、「ディアブロ」「Ultima Online」「Unreal Tournament」「ディアブロII」「ディアブロII Lord of Destruction」「Dark Age of Camelot」「Ever Quest」「WoW(World of Warcraft)」と、中々の戦績っぷり。特にDark Age of Camelotは6年もプレイしていたそうで、キャラ名もかなり知れ渡っていたそうです。ともなると、PvPにも精通しているのは見て取れますし、何より「自分はこういうゲームをしてきたゲーマーだからこそ、ユーザーの意図を汲み取ってオンラインゲームを立て直せる」という証明にもなります。管理人が、吉田氏を知らなくても新生FF14に密かな期待を寄せたのはその部分でした。
成功するかはまだ分からない
現時点において、α版はテスター達に好評のようです。
ですが、それはαテストが「最後まで現行版FF14に残り続けた人達」だからこそ好評なわけであって、もっと人が増えれば多様な意見が出てくるのではないか? という風に、ちょっと慎重に物事を見ています。
普段ならそこまで慎重にはなりませんが、やはり一度の失敗のツケは大きいと言えます。FF14の為にPCを買い換えたと言う話はよく聞きますし、そこまでしてやった結果があれでは、信用を回復する機会すら与えないという人もそれなりに多いのではないでしょうか。
FF14が成功するかしないかは、最終的にゲームが面白いかどうかの一点です。FFらしい高水準なグラフィックである事は、すでに公開された動画でよく痛感できました。あとは、ゲームシステムやバランス、FFらしい仕組みや新要素にスポットが当たるでしょう。
果たして、その結果がどうなるのか……。色んな意味で、来年が楽しみですね!
しょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会
:FF14がどうして失敗して、どういう経緯で作り直すことになったのかっていう講演があったそうです。
:ま、ぶっちゃけ作り直す事になったのは自業自得ってやつだよな。
:ごもっともで。ひとえにバグだの何だの色々あるけど、とどのつまり「つまらないから」です。とはいえ、新プロデューサーの吉田氏が、どういうネトゲをやってきたかってのを見て、何となく期待してもいいんじゃないかなーって思えました。
:正直、たまに「本当にこの人ゲームやってんの!?」みたいなゲームがあるからなぁ。そういう部分をさらけ出すっていうのは、ユーザーの信頼を獲得するのに、結構手っ取り早い手段だったのかもしれないな。