連載:気まぐれゲーム雑記 第26回:海外はネトゲの新しいビジネスを模索しているみたいという話題

気まぐれゲーム雑記
第26回「海外はネトゲの新しいビジネスを模索しているみたいという話題」

それぞれ善し悪しは出るのです。

RMTな話題で賑わっているネトゲ業界

ドラクエ10の賭博疑惑だかなんだかで賑わせたRMTですが、海外では色々とそのあり方を模索していたりします。まぁ、今日はそんなRMT絡みの話題でも書こうかと思う次第ですが、書き出す前にRMTについてどんなモノなのかを、ちょいとご説明です。

RMTとは、「リアルマネートレード(トレーディング)」の略語ですが、主にオンラインゲームで得た仮想通貨をやりとりします。それ専用にやっている業者を見ると、大体は1口=○○ゴールド(ゲーム内通貨)=○○円(リアル日本円)、的なモノが一覧で書かれていて、それらを1口単位で購入していくようです。
いやまぁ、管理人はオンラインゲームを長くしていると言ったところで、実際RMTを利用したことはありません。そんな業者のサイトがあるのですよ、という程度に押さえておいて下さればそれ幸いです。

で、それが業者さんのやり方ということになるわけですが、日本のオンラインゲームの大半はRMTを禁止しています。普通は規約に書いてあると思います。むしろ、RMTを禁止していないゲームがあったらどんなモノか知りたいところです。……あ、セカンドライフとかいう忘れ去られたMMOがありましたっけ……。それはまぁおいとくとして。
そもそもになぜそこに需要が生まれちゃうのでしょう? という話に続いていくわけです。
……あ、今日は法律関連にちょっと触れますが、そこらへんは余り言及できませんのでご了承下さいませ。概ね、間違った事は書いてないと思います。

転売的な発想に似ている

昔からのゲーマーさん達は、年齢が上がるにつれて時間がなくなっていきました。働きだすのでお金はあるけど、ゲームをする時間がない。ですので、レベル上げなどを代わりにやってくれる人を探すようになり、RMTの商売が成立するようになりました。
これは、新ハードが出るとヤフオクで転売する人達に似ていたりします。良く言えば、代行業者といったところです。まぁ、規約で禁止されていれば違反以外なにものでもありませんが。

ですが、運営側としてはRMTほど厄介なモノはありません。何せ、自分達が作ったデータ(仮想通貨)を売買されるのですから、そのデータにはそれだけの価値がある、と言う事になります。
最初のうちは、さほど問題視されなかったのでしょう。しかし、これは最終的な事として法律が出てきてしまうという、大変面倒な話になるというのに気づくわけです。

管理人は別に法律の専門家ではないので詳しくは言及できませんが、要は「MMOのデータが私財、ないし仮想通貨を財貨と考える事ができるか否か」というのが問題点となります。なぜかといえば、大変馬鹿馬鹿しい話ではありますが、ゲーム内アイテムに財産的価値があったり仮想通貨が財貨ならそこで得られたモノに税金は? などといった、それこそドラクエ10のサイコロは賭博という話と同レベルな発想の人達が世の中にいたりします。これらは大変面倒な話なので、今のうちから撲滅したいという事になります。
……他の要因もたくさんあると思いますが、これもその一つ程度に押さえておいて下されば……。

需要を認め、逆手に取る企業

現在のオンラインゲームは、アイテム課金が主流になりつつあります。ゲームの質として色々問題視されている部分はもはやどうしょもない話なのでこの際おいておきます。
ですが、アイテム課金をマトモにみればユーザーの需要をピンポイントに満たすためのRMT対策とも言えるモノになっていたりします。……いやまぁ、本当にそこまでマシな運営をしている企業さんがどれだけあるかは懐疑的ですが、PSO2はアイテム課金のゲームでも随分マトモでしょう。

かたや海外に目を向けると、ディアブロ3は公然と「RMTを自社管理する」という選択肢を選びました。RMTをする際に胡散臭い業者が介入してあれこれ面倒が起こるんだから、自分らがちゃんと管理すれば問題ない、という発想です。
また、MMOの老舗「Everquest II(以下、EQ2)」も、このたび11月に新しい拡張版を出す事になりました。その際ユーザー自身がMODツールを使い作ったMODを、SOE(ソニーオンラインエンターテイメント)の管理の下に販売するという、これまたユーザー主導型のコンテンツを自分達のビジネスに組み込むようなモノも発表しました。詳しくはこちら
売上の40%をSOEが徴収するとありますが、この発想は実に上手いモノがあります。

これらの話は何とも面白い発想で考えられています。
RMT対策をしている(建前だけのゲームもありますが)アイテム課金という運営主導型のコンテンツを、自社管理を前提にしたユーザー主導型のコンテンツへと変化させているのがポイントです。
ディアブロ3の場合、先に書いたとおり時間のない大人ゲーマーさんは、公式からRMTで好きなモノを買えばいいわけだし、EQ2の場合は時間がない人はMODを買えばいいんだし、好きな人は自作するなり自作して売るなりすればいいわけです。
ようは、RMTをする人、したい人、運営元のそれぞれがWin-Winの関係を築いた事になります。
……とはいえ、結局は海外事情なので日本でこの例が適応できるかどうかはまったくの別問題になるとも思いますが……。

今やオンラインゲームとRMTは無視できない関係になってしまっていますが、日本のゲーム業界は今後どういった答えを出していくのでしょう? 今のところ、完全撲滅といった流れになっているようにも思えますが、まだまだ先の見えない答えを模索し続ける事になりそうな気がしてなりません。
ユーザーにとっても、企業にとっても良い答えが出てくると良いですね。

しょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会

しょぼーんさん:EQ2の拡張発表でMODをユーザーが売れるようにするよ! って内容もあったので、今の日本のRMT事情と絡めて書いてみました。

しゃきーんさん:……ひ、久々に三行でまとめてもらっても良いですか?

しょぼーんさん:MMOにRMTは付き物。でも、このまま突き進んだら、法律出てきて面倒じゃない? 海外だと、RMTを自社ビジネスに変換する動きもある。日本はどんな答え出すのかね? ってところ。

しゃきーんさん:……日本でRMTを自社ビジネスすると何か問題でもあるんすか……?

しょぼーんさん:……RMTを突き進める事になるんだから、結局は法律の壁が出てくるってのがなぜにわからんのです?

コメント (2)

名無しのゲーマーさん

運営サイドがRMTに関わり始め、そこも収益の柱になると、実質的にRMT前提の仕様(RMTを使わないと快適でない)になりがちなので、RMTの公式化もあまり賛同できるものではないと思います。
ちなみに、RMTを認めるということは、ゲーム内資産に現実的な資産価値を認めることになり、ゲーム会社がゲーム内資産を勝手に収奪したり、ゲーム内資産の価値を棄損させたり、あるいは、ゲーム事業を終了したりすると、現実の所有権侵害につながる可能性が生じる訳なんですが、そこら辺も法律問題としてややこしくなってくると思います。

AZ@管理人

公式が管理するRMTは、収益としてみるべきか、RMT対策としてみるべきかでゲームバランスさえも変わりそうなだけに、やるなら慎重にあるべきでしょうね。
とはいえ、結局は法律の諸問題が出てくる事は間違いないでしょうから、本当にややこしい限りです。
RMTも無くなることはないでしょうし、この問題に答えが出るのはまだまだ先になりそうですね。

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