連載:気まぐれゲーム雑記 第933回:ローカライズ事業の苦労が垣間見えそうな話題
最終的に報われるか否か
ローカライズ事業の苦労が何となくわかりそう
AZです。Steamのセールが始まるので、お財布がピンチになりそうです。
それはさておき、日本のタイトルを海外向けにローカライズし販売している「XSEED Games」でかつて働いていたJess Chavez氏が、ローカライズの行程を語ったそうです。
Jess Chavez氏は、XSEED Gamesにてローカライゼーションマネージャーやシニアエディターとして勤務していた人物だ。彼女はローカライズではまず「ライセンス契約」を進めなければならず、ゲーム販売やライセンスのフィーなど、ゲームをパブリッシングする権利を得るには多大な費用が必要になると説明した。
ライセンス契約を締結すれば「ローカライズ開発」が待ち受けているが、単純にセリフやメッセージを翻訳してテキストデータの上からコピーペーストするだけというわけにはいかない。たとえば一部の画像データやUIなどは作り変えなければならないし、プログラミング面では内部コードを変更しなければならないパターンもある。こういった行程は何か月かにわたって続くことになり、そのあいだ開発チームとQAチームの人件費や外注コストを会社側は用意しなければならない。
~中略~
またChavez氏は、ローカライズにおいてもっとも大規模な作業となるのが「吹き替え収録」だと語る。収録を管理するサウンド技術者に、キャラクターの声を吹き替える声優、スタジオや人員のスケジュールを管理するディレクター、ゲーム内の文脈を捉えることができているプロデューサーなど様々な人物が関わり、さらにXSEEDでは日本語の話せる人物をふくむ2人の翻訳家を常に用意していたという。これだけの人数が関わるレコーディング作業は、1か月かそれ以上にもわたり続く。
「字幕だけにすれば開発費が浮くんじゃないか」という考えが浮かびそうだが、これに対しChavez氏は吹き替えがなければ米国・欧州でのセールスに大きな影響がでると強調している。期待値の低いタイトルであれば字幕のみでローカライズすることもあるそうだが、基本的には”潜在的な顧客”を発掘することを考え吹き替えも盛り込むのだそうだ。またすでに収録されている日本語の音声が、ライセンス的に北米や欧州でリリースできないことがよくあるとChavez氏は続けている。
[引用元:Automaton]
まぁ、ビジネスでやっている以上、お金がかかるのはどうにもならないところですね。
上記の話はようするに、ローカライズにはしっかりとお金がかかっているのだ、という話に尽きます。ただ、吹き替えの有無がビジネスに影響を与えるという証言は、なかなか興味深いところではないでしょうか。
日本メーカーがローカライズを担当した場合、そのコストは販売価格に影響を及ぼします。最近はそこまで価格に転嫁するタイトルも減ってはきましたが、以前は概ね海外価格から2~3千円高くなっているのが通常でした。海外だと1000円程度のテラリアが、日本語版として最初に出たPS3版が約4000円になったりして、インディーとは如何に? 的な空気を出したのも今となっては懐かしく思えます。
その一方で、クラウドファンディングで海外版のローカライズをするための資金集めに成功した「CLANNAD」は、先日Steamで無事配信開始されたのですが、話題作の「Fallout 4」や「Call of Duty: Black Ops III」、定番タイトル「Grand Theft Auto V」など強豪ひしめく中、売り上げ上位に食い込むという大健闘を成し遂げました。新作なので食い込むのは十分理解できる話ですが、そこまで高い需要があった事も見てとれる話ではないでしょうか。今後、クラウドファンディングでローカライズをするタイトルが増えるのかどうかに注目が集まります。
ローカライズは権利絡みで色々と難しいところもありますが、やはり自国の言語でプレイできた方が快適である事に間違いはありません。どのメーカーも、より良いローカライズを施しながら、ほどほどの価格で提供して欲しい限りですね。
:ローカライズ事業の苦労が垣間見えそうな話題が出てるよーってなお話です。
:ふむ。まぁそれで金儲けしようというのだから、諸経費がかかるのはどうにもならんよな。
:良い物にしようとすればするほど、コストがかかるのはどうにもできない事だからねぇ。でも、そこまでやらないとローカライズの価値って難しいとは思うよ。……ほんと、ローカライズをする側のさじ加減なのでしょうなぁ……。
:予算も時間も有限だから、色々と考えるところは多いんだろうな。