連載:気まぐれゲーム雑記 第1039回:バンナム浅沼氏曰く「日本市場単独の採算性で勝負するのは年々ハードルが上がりつつある」
どこで稼ぐのか
開発規模と単独市場
AZです。ただでさえ寝不足なのに、これから街頭演説でうるさくなる日々が始まるのかと思うと、色んな意味でストレスがマッハ状態に陥りそうな予感がしております。
それはさておき、バンナムの常務取締役である浅沼氏が、インタビューで日本のコンシューマー事業について語っております。
――国内のCS事業はいかがでしょうか。
浅沼氏: ビジネスで見ると、若干厳しいという部分はありました。良い結果を残したといえるトピックがちょっと足りなかった、というのが国内CS事業の反省点で、もう少し頑張らなければならないですね。
一方でゲーム開発費が高騰している現在、日本市場単独の採算性で勝負するのは、年々ハードルが上がりつつあります。また日本の漫画、アニメーションといったカルチャーはますます海外での評価が上がり、ビジネスチャンスを広げている状況となっています。ですから、世界的に強いアニメーションや漫画原作をゲーム化して、海外市場でより広く大きくビジネスするという動きに自然と向かっています。
例えば『ソードアート・オンライン』シリーズは、アジアだけではなく北米市場でも良い評価をいただき好調です。また、『NARUTO』などは、ビジネス全体に占める日本市場の割合よりも海外での販売本数が圧倒的に多くなっており、欧米とアジアその他の地域で好調です。今後、グローバル戦略を強化していくと、日本市場が占める位置が海外と逆転するタイトルも増えてくるのではないかと予想します。
~中略~
――ゲームの売れ方の変化についてはいかがでしょうか。ロングテール商品も増えてきたようですが。
浅沼氏: 大型タイトルに分類される30万本、40万本を売れるはずのゲームであっても、販売店側はどこまで自信を持って、最初の発注数を積み上げられるか、以前よりも予測が困難になってきました。実際、発売後に動向を見ながら買おうとする消費者は増えている気がします。
発売日当日に並んででも買おうとする人の気持ちってなんだろうと考えると、「人より早くやりたい」とか「早く先に進みたい」とか、「ここまで進んだと自慢したい」とか、そういう気持ちだと思うんですよね。でも、今の若者の間では「そんなに重要なことじゃない」というふうに価値観が変わっていると思うんですね。今のトレンドにゲーム業界が乗り切れていないのかもしれません。
[引用元:日経トレンディ]
そりゃまぁ、変わるでしょうね。
ハードルが上がりつつある、という何ともオブラートに包んだ言い方にも見えてしまうわけですが、国内メーカーが作ったモノであれど海外で先に発表されるような流れを見ていれば、家庭用ゲーム機の主戦場は日本ではなく海外にシフトしている事が確定的に明らかでしょう。昔からゲームをしている身としては、日本が主戦場じゃないというのは残念な話でもあるわけですが、それもまた一つの時代の流れとも言うべきところにも思えたりはします。
また、海外市場がそれだけ大きくなった、というのも間違いない事です。家庭用機の場合、売れたハードの数以上にソフトが売れるなんて事はほぼあり得ないわけで、国内のハード数をもってしても開発費の回収が見込めないような大作というのは、当然ながら海外へと目を向ける必要があります。むしろ、北米のような海外市場の方がハードは普及しているわけで、そちらに目を向ける方が当然という事も言えてしまうのです。
さらには、ゲームの売れ方にも変化があったということですが、発売後の動向を「見なければならなくなった」というのは、さてどこに責任があるのだろう? とも思わせてくれたりはします。商品のことをきちんと調べるのは当然のこととも言えますが、基本的にゲームは「何かしらの面白味がある事を信用して買う」わけです。ですが、インターネットの普及により、ある程度の情報は調べられる時代へとシフトした事で、「何を信用して買うに至ったのか」が変わったとも言えるかもしれません。
大作になればなるほど、日本だけでやっていくには厳しい情勢になったわけですが、それでも各メーカーは自社タイトルをSteamへ出したり、海外向けに作り直したりなど、新しい道を切り開きながらビジネスを続けていく事になります。どのメーカーにも、奮闘を期待したい限りですね。
:バンナムの偉い人が、日本だけじゃ採算が難しくなってきてると申しておりますよーってなお話です。
:そりゃまぁ、そうだろうとしかいえねーなぁ……。
:採算が取れない以上、海外の方を向くというのは当然じゃなかろうかと。色んな情報が出回る中で、信用の取捨が大切だとは思うのだけれども、メーカーやメディアから出てくる情報をすべて鵜呑みにできる時代かと言われたら、何とも言いがたいとも思えちゃうのが切ないところでもあるかな、と。……ま、どのメーカーも頑張って欲しいという事で……。
:ま、国内外でたくさんのゲームがあるのは間違いないことだしな。今後も良いゲームを作ってほしいもんだ……。