連載:気まぐれゲーム雑記 第870回:2014年度のゲーム会社の決算で見る各社の動向が大変濃厚で面白い

決算で会社の動きを見るのは面白い

回復傾向にあったりなかったり

AZです。ゾンビディフェンスのレビューはもうちょっとだけ待って下さい。大急ぎで準備してます。

それはさておき、ゲームメディアである4Gamerがゲーム企業34社の決算をまとめています。が、34社分とあってかなり膨大で長い印象が否めないので、家庭用機で動いてるメーカーに話を絞って、すっごく簡単にまとめてみます。

ソニー

  • 全社的に回復基調ではあるが、純利益ベースでの黒字転換には少し時間がかかりそう
  • ゲーム&ネットワークサービス分野は、188億円の営業赤字から481億円の黒字に転換
  • PS4の2000万台突破やゲームタイトルの増加、PlayStation Plus会員は2013年度に比べ2倍以上に増加と成長の好循環が形成
  • 中長期的な視野として、Project Morpheusへの投資も意欲的に行っている
  • 現在の好循環のうちに、PS4の競争力維持と次世代ハードウェアへの投資・事業の立上げができるか

任天堂

  • 3期連続の営業赤字から一転して、今期は約248億円の黒字決算を発表
  • 黒字転換の要因は、原価率の低下と販売管理費の圧縮
  • 事業は、必ずしも良好な状況ではない
  • 2014年度に「Newニンテンドー3DS」「Newニンテンドー3DS LL」を出したが、旧ハードの販売数量は伸び悩み、全体の販売台数が減少しソフトウェアの販売数も前期比で減少
  • ハードウェアの販売数量増加を見い出せない限り、一時的な黒字に終わる可能性がある
  • DeNAとの業務資本提携により、任天堂の事業構造がどう転がっていくのかはわからない
  • 任天堂にとっての正念場は続いている
  • 新プラットフォームNXは早くても年明けで、今期の動向には関わってこない

バンナム

  • 今期もきわめて堅調に素晴らしい決算を計上
  • ネットワークゲームも伸びているが、それ以上にコンシューマーゲームの伸びが著しい
  • 海外でのパッケージゲームの売り上げが伸びたが、詳細は不明
  • グループ全体は好調だが、アミューズメント施設に課題を抱えている

セガサミー

  • 赤字決算となったが、映画自主制作中止に伴う損失や早期割増退職金などを含む特別損失159億円、繰延税金資産の一部を取り崩したことによるもの
  • 増収増益を達成しているのは、セガゲームスを中心にソーシャルゲーム事業を展開するコンシューマセグメント
  • 営業利益はいまだ40億円と、グループを支える数字としては心許ない水準
  • カジノ事業はまだはっきりしない状態で、アミューズメント施設、機器事業が赤字状態なので、コンシューマ事業の成功が同社グループの命運を握っている

コナミ

  • 健康サービス事業を除けば、セガサミーホールディングスと非常に近い構造
  • 遊戯機事業は、「戦国コレクション2」が好調に稼動した結果として業績を回復したが、遊戯機事業市場自体が縮小傾向なので、成長のキモはデジタルエンタテイメント、そしてゲーミング&システムになる予想
  • 小島秀夫氏は、上席執行役員からエグゼクティブコンテンツオフィサーに肩書きが変わっており、新設されたコンテンツオフィサーおよびシニアコンテンツオフィサー職の面々はすべて2015年3月に本部制の本部長ないし部長職などに移行したが、小島氏の異動のみ告知されていないので、異動していないか、それ以外の立場になったということになる
  • 「パワプロ」や「ウイイレ」など強力IPを有しつつも、前期比横ばいの業績しか辿れないことが本質的な課題

カプコン

  • 純利益66億円の減収増益
  • 高採算タイトルはダウンロード販売推進など、高収益体質への改革が奏功し、営業利益率は大幅に改善
  • デジタルコンテンツ事業のダウンロード比率は、2013年第3四半期は約16%、2014年第3四半期は27%、2015年第3四半期は38%と、きわめて順調に向上
  • タイトルを採算性の高いものに絞り込み、販売戦略では収益率の高いダウンロード型にウェイトを置き、既存の事業を縮小均衡させて営業黒字を保つという選択と集中戦略が見事に機能
  • モバイルコンテンツの話題がまったく出てこない、最近では珍しいゲームメーカー
  • 事業を拡大していくには、モバイル分野での打開が鍵を握りそう
  • コーエーテクモ

    • 純利益94億円と増収増益
    • 売上は前期比2億円と微増だが、営業利益は前期比25億円の大幅増益
    • 「ゼルダ無双」「ドラゴンクエストヒーローズ 闇竜と世界樹の城」「ワンピース 海賊無双3」など、ゲームソフトセグメントの営業利益を大きく伸ばした
    • オンライン・モバイルセグメントでも、「100万人の信長の野望」「100万人の三國志」などの「100万人」シリーズが順調に推移
    • 国内の売上高が前期比で約14億円減少しているが、その一方で海外(とくに北米)は約17億円増加

    スクエニ

    • 純利益98億円と前期比増収増益
    • アミューズメント事業以外、すべてのセグメントが増収増益
    • HDゲーム、スマートデバイス・PCブラウザゲーム、MMOの3事業がバランスよく売上を構成
    • 海外展開は、南米全域とロシアや中東も展開を予定

    日本ファルコム

    • 純利益7.7億円の増収増益
    • 「イース」シリーズの最新作を予定しており、今期も業績の上方修正を期待

    マーベラス

    • 営業利益44億円と過去最高の水準
    • 主な成長要因は「剣と魔法のログレス いにしえの女神」の大ヒット
    • PCブラウザゲームの「ブラウザ三国志」や、モバイルブラウザ向け「一騎当千バーストファイト」も堅調に推移
    • 3DS、PS4などの家庭用ゲーム機向けソフトウェアは販売不調で減収減益
    • 直近4期では、ゲーム業界の中でも極めて高い成長率を維持しており、最も勢いのある1社といっても過言ではない

    ユークス

    • 純利益3.2億円の増収減益
    • 「WWE 2K15」がXbox One、PS4の販売開始に伴い好調に推移
    • ユークスのビジネスモデルは、受託開発中心
    • 2K Sports向けの受注が大幅に増え、売上高が全体の約50%に迫る比率になってきている
    • 国内はバンダイナムコゲームス向けの売上が増加する一方で、サミー向けの遊戯機受託開発が終了
    • THQ倒産のときほどリスクは高くないが、「WWE 2K15」の売れ行きやXbox One、PS4などのハードウェアのシェア争いに左右される状況
    • 好材料は、元コナミで「ときめきメモリアル」「ラブプラス」のプロデューサーを手掛けた内田明理氏が入社した事で、自社タイトルのヒットを狙えるかどうか

    日本一ソフトウェア

    • 2014年度のPS4向けタイトルは「魔界戦記ディスガイア5」のみであり、国内ではPS4タイトル販売本数自体もさほど伸びておらず寂しい結果
    • オンライン事業については着実に成長しており、同社の規模を考えれば十分な水準

    ガンホー・オンライン・エンターテイメント

    • 「パズル&ドラゴンズ」の勢いはまだ止まらない
    • 勢いを維持するためには新たな柱となるビッグタイトルが期待される
    • パズドラの勢いが続くあいだにどれだけの展開ができるのか

    ディー・エヌ・エー

    • 下降局面はなんとなく一段落したかの様相
    • 任天堂との提携によるタイトルは、海外展開が前提のものと位置づけられている
    • 任天堂との取り組みが再成長への試金石

    まとめ

    • スマホ展開で景気のよい話も聞こえてくるゲーム業界の中でも、勝ち組と負け組が明確になってきている
    • 全体的に増収増益基調で、赤字会社は赤字幅を圧縮できているのだが、それでも厳しい戦いを強いられている企業は多い
    • スマートフォンなどのデバイスでゲームをプレイすること、課金することが一般的になる中で、市場自体は成長しているが、なんとなく出したゲームが市場の成長に押し上げてもらえるほど甘くはない

    [引用元:4Gamer.net

だいたいこんな感じでしょうか。

家庭用機をスマートデバイス市場を切り分けて考えると、家庭用機は日本企業であっても海外市場の恩恵を受けているところが伸ばしている印象がある、というのは一つのポイントでしょう。コーエーやバンナムも海外で伸ばしている結果があり、幅広い視野を持つ必要がありそうです。

一方、スマートデバイス市場はまとめにも書かれている通り、勝ち組と負け組に差がジワジワと出てきている印象を受けます。もとより、すでにスマートデバイス市場はレッドオーシャンになっている事は広く知られており、ちょっとやそっとじゃ勝ち抜けないというのは、カプコンを見ていれば分かる話でしょう。まぁ、日本の場合カプコンが特殊な一例となっておるようですが……。

そういった中で、任天堂がスマートデバイス市場へ打って出るというのは大きな変化でもあり、果たしてどういった話題になるのかが一番の注目どころといっても過言ではありません。なんだかんだと世界的に強いIPを持っている企業ですし、その布石となるであろう会員制サービスもそろそろお目見えする事から、まだまだ話題は尽きなさそうです。

日本での家庭用機を取り巻く環境は、スマートデバイス市場でかなり変化したわけですが、各メーカーがどう対応していくのか、またスマートデバイス市場で良いIPが作り出せるかどうかも見どころと言えます。家庭用機市場やスマートデバイス市場がどのような形で落ち着くのか、しかと見届けたいモノですね。

連載:気まぐれゲーム雑記 第870回:2014年度のゲーム会社の決算で見る各社の動向が大変濃厚で面白いに関するしょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会

しょぼーんさん:4Gamerが2014年度のゲーム会社の決算を語っておるよーってなお話です。

しゃきーんさん:ふむ。各社は、スマートデバイス市場にどう対応してるのかって感じだな。

しょぼーんさん:そだねぇ。でも、コーエーテクモやバンナムみたいにパッケージが伸びたってところもあるわけで、どういった舵取りをするか次第っつー事になりますな。……スマートデバイスも家庭用機もPCも、全部盛り上がれば良いと思うよ?

しゃきーんさん:それが理想であるのは間違いないがな……。

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