レビュー「スーパータイムフォース ULTRA」:メタなジョークと悪ノリが飛び交う世界で過去の自分とマルチするカオスに満ちあふれた2Dアクションシューター
「カオスである」の一言に尽きます
読んでも読まなくてもよい前置き
今の時代、ゲームはマルチ要素を兼ね備えた代物が増えてきました。対戦なり共闘なり何なり、誰かとゲームプレイを共有する楽しさというのは、ゲームを楽しむ上で非常に重要なポイントだったりします。
マルチが楽しいというのは間違いない事です。いや、もちろん喧嘩の一因になる可能性があるのも否定はできませんが、基本的には楽しい。誰かとやるマルチというのは、素晴らしいくらいゲームの可能性を広げる場合が多いわけです。
しかして、その一方でボッチ属性の人はマルチプレイができません。いくら、協力プレイがあるから、それが最高に楽しいから! と言われたところで、協力してくれる人がいなけりゃ始まりもしないわけでして。で、いつも思うわけです。「某モンスターハンティングのマルチをボッチでやるのはシンドイなぁ」とか、「共闘プレイと言われたところで、ボッチ向け調整もしてくれや!」などなど。他にも、某システムの実績だろうと、トロフィだろうと何だろうと、「マルチプレイに参加すること」なんて文字列を見ると、凄く残念な気持ちになってしまうのです。だからこそ、声を大にして叫びたい。「マルチ要素がある場合、ボッチの人用にもバランスだけは考えてくれ」と。
そんなことを思いながら、わたくしめはいつもマルチに対応していようといまいとボッチプレイを興じているわけでございます。
あ、ここまでが前置きです。
ボッチが織り成すカオス感に酔い痴れたい
さて、本日レビューするのは「Super Time Force Ultra」になります。ゲームの発売自体はもう2年ほど前くらいになる気はしますが、ついに日本語が導入されたということでレビューと相成りました。今回は、PS Plusのフリープレイで配信されていたというのもあるので、PS4版にてレビューさせていただきます。
ね? 楽しそうでしょ?
では、内容を見ていきましょう。
1987年のフィラデルフィアにて、リピートスキー博士は研究の末にタイムトラベルの開発に成功します。ところがその後すぐさまロボットがせめてきて街は大混乱に陥るわけですが、そんな時に颯爽と現れるのが、未来でなぜか司令となったリピートスキー博士と我らがエリートチームこと「Super Time Force」になります。そんなわけで、まずは1987年のフィラデルフィアを救うところから、「Super Time Force」の活動が開始となるわけです。
最初はランボオ、スナイプス、ブロッカーソンの3人
そんな感じで「Super Time Force」のキャラクター達を操作して各ステージをクリアしていくことになりますが、残念ながら「Super Time Force」の面々は比較的弱い。確かに、皆キャラクターに特徴があり個性豊かで、最終的には仲間が19人にもなりますが、どのキャラクターも基本は一撃で死ぬので弱いのです。しかも、それでいて各ステージには60秒制限も付いているので、非常に手厳しい戦いが要求されます。
一撃で死にます
それだけを見るとある意味硬派なゲームにも思えてしまいますが、そこで出てくるのが「タイムアウト」です。タイムアウトは発動させると、そこから時間を巻き戻す事ができます。つまり、死んだらそこから一気に巻き戻せるわけです。それに、各ステージには60秒制限を伸ばすアイテムが落ちているので、回収していけばタイムオーバーで死ぬこともありません。
巻き戻してる時
そして、これこそがこのゲーム最大の特徴ですが、タイムアウトを使うと「タイムアウト前に動かしていた自分のプレイそのものが残ったままになる」という、実にカオスなシチュエーションが誕生します。要するに、数秒前にプレイした過去の自分と共闘するわけです。普通にプレイしていれば各ステージごとに最低30回は巻き戻せるので、29回の過去の残像達と一緒に戦ったりすると、もうどれが自分なのか分からなくなるときもあったりします。
カオスです
また、最初の1987年フィラデルフィアをクリアすると、別の時代が遊べるようになります。1999年のMAD MAX感溢れる時代や、3072年の某大企業名に似すぎているゴーグルなど、ツッコミどころ満載です。また、それらの各時代には「Super Time Force」に参加してくれる仲間がたくさんおり、その仲間達も何となくわかりそうなモノからなぜいるのか分からない人までそろい踏みで、元ネタがわかるとより楽しめる部分が結構多く見受けられます。
吉田修平氏
ガラハッド卿
なお、このゲームのもう一つの面白いところとして、ローカライズが素晴らしかったと評するのが一番でしょう。1999年の最初のステージにて、本来ならMAD MAX的な演出に違いないだろうところなのですが、ローカライズでは某北斗の拳をしっかりとにおわせており、そのやり口のうまさを見せつけてくれました。ローグレガシーの時も思いましたが、8-4が手がけるローカライズは実に良い仕事っぷりだと思わせてくれます。
まさに「時」は世紀末
総評:一人で十分「楽しい」と思わせてくれるカオス感に満ちあふれた秀作
シンプルにみると、「タイムアウト」の要素以外は至って普通の2Dアクションシューターです。ですが、そこに「タイムアウト」とストーリーやパロティに富んだ世界観とも言うべき悪ノリを入れ込む事によって、素晴らしいモノになったというべき代物です。ここまで悪ノリしたかのような一作はなかなかありませんし、エンディングまでそれが続いたというのも良かったところの一つといえます。エンディング、バカバカしくていいですよ。ほんとに。
また、タイムアウトの乱発によって生まれる弾幕っぷりは、トリガーハッピーにも似たような状況を生み出します。それでいて、自分がどのように楽しんだのか、客観的に見せてくれるステージクリア後のリプレイも非常に良いシステムでした。自分自身のリプレイのハチャメチャさには驚かされる一方で、各ステージのヒントもちらほらと隠れており、新しい発見に繋がる時さえあります。
あと、クリア後にはハードコアモードと、ウルトラフォースが呼べるようになります。ウルトラフォースはだいたい10秒で爆発する色々とウルトラな仕様なので、是非一度クリアしてからウルトラなフォースを活用してステージに挑んでみると良いでしょう。良い意味で訳の分からないウルトラな雰囲気を感じさせてくれます。
ウルトラフォースの登場です
本作は、タイムアウトの要素といい、やりたい放題のストーリー展開といい、ローカライズといい、非常に良い出来である事を思い知らされる一作でした。アクションシューターに抵抗がなければ、やっておいて損はないでしょう。PS Plus加入者ならフリープレイでも可能なので、是非手に取ってみて欲しい限りですね。
この記事を書いた人
:というわけで、「スーパータイムフォース ULTRA」のレビューでございます。
:ふむ。カオスに楽しめたか。
:毎回、1キャラ毎に丁寧にやっていきながらも、気づくと弾幕と言わんばかりに弾で満ちあふれてて、ヒャッハーって気分になれるゲームだと思うよ。そのストーリーの良い意味でのバカバカしさも、実に良かった。B級映画好きとしては、たまらん一作だったね。アクションシューティングが苦手じゃなければ、是非触って欲しい限りっす。……ボッチだからこそ楽しい、良いゲームだよ!
:良いゲームなのはわかったが、ボッチであることを全力アピールしなくても良いと思うぞ?