連載:気まぐれゲーム雑記 第766回:任天堂とDeNAの資本業務提携に関する質疑応答が公開、そこから見えてくるモノを考えてみる
気まぐれゲーム雑記
第766回:任天堂とDeNAの資本業務提携に関する質疑応答が公開、そこから見えてくるモノを考えてみる
どれくらい広がるのかは未知数
何はともあれ、スマホにかなり本気である事はわかる
AZです。今自分が行っている作業を、誰かと業務提携して分業したいです。
それはさておきまして、先日任天堂とDeNAが資本業務提携を発表したわけですが、その発表会での質疑応答が公式サイトにて公開されています。そこらへんから、気になるポイントを、ちょいちょいと書き出してみようかとは思う次第です。まぁ、先日の延長戦が発生した、程度に思って下さい。
まず、DeNAと組んだ理由は私としては大体先日書いた様な妄想がベースにあると思っておりますが、そこらへんについては「情熱」という答えが返ってきております。
岩田:
DeNAさんの情熱だと思います。「任天堂と是非一緒にやりたい」という気持ちを非常に強くお持ちであったということです。
~中略~
もう一つ、私たちにとって「自分たちが得意な分野で、その会社さんに力があるかどうか」はあまり重要ではなく、私たちが「ここはそんなに自分たちは得意じゃないな」と思うところでそれをしっかり持っておられることや、あるいはその部分について、ちょっと言葉は極端になりますが「黒衣になっても構わない」という表現を守安さんが私の前でされたことがありました。どうしてもある分野で実績があればあるほど、「表に出ないと納得できない」と(いう意識が強くなり、そう)なると、お客様から見るとどこの(会社の)サービスなのか見えにくくなることがありますが、それを最初に明言いただいていたことで、私たちの取り得る戦略オプションが増えました。
[引用元:任天堂]
まぁ、実際は情熱というよりも「裏方で良い」といったDeNAを評価した事は見ての通りでしょう。実際、ゲームについては
守安 功:
多くの場合はフロントサイドのところを任天堂さんにつくっていただいて、私たちはサーバーサイドやバックエンド、運用などのところを担当することが多くなると思っています。ただ、その辺りもIPのタイトルについて「どういうタイトルでどういうゲームにしようか」ということから考えて役割分担を決めていきますので、どういう役割になるのかはタイトルごとに変わってくることになると思います。
岩田:
多くの方がお分かりだと思いますが、念のため誤解のないように申し上げておきますと、「フロントサイド」というのは、お客様がスマートデバイスで実際に操作する、スマートデバイス上で動くアプリの部分ですね。
[引用元:任天堂]
といった様に、分業スタイルを取る事になります。そりゃまぁ、DeNAのゲームと任天堂のゲーム、どちらがやりたい? と聞かれたら、任天堂のゲームを選ぶ人が多いのは当然の話です。極力表立ってゲームを作っているというアピールをし続けた方が、より健全でしょう。その一方で、任天堂はWEB関連のインフラが弱い。どう足掻いても、DeNAに軍配が上がります。DeNAの会社的な評判はさておくとして、それ相応のノウハウを持っている事に間違いはありません。それに、
スマートデバイスのアプリを共同開発運営するだけであれば選択肢はもっとあったかもしれませんが、もう一つのメンバーズサービスを共同開発することについて、ゲーム専用機のプラットフォームはDeNAさんの領域ではないわけですが、そのために協力することをいとわない、そのためにDeNAさんの中のエース級の人材を充てていただけるというコミットメントがあった
[引用元:任天堂]
といった感じに、DeNAがしっかりとリソースを割り当てる事もアピールしています。ゲーム作りに専念したい任天堂としては嬉しい限りでしょうし、それだけ本気で任天堂がスマホ関連をやろうとしている事が窺えます。
また、何故買収ではなく手を組むのかと言えば、パッと思いつくのは3つ程度。1つは、F2Pに対しての批判を和らげる為。ガチャに対しては、
「フリー・トゥ・スタート」、アイテム課金の全てを一律に私は否定するつもりはありません。ただ、世の中で「これは少しビジネスとして行き過ぎじゃないの」とか、あるいは「これって子供さんに向かって提案していいの」と言われているような方法が任天堂のIPで使われることを任天堂は望んでおりませんので、そうなれば私たちの協業の結果出ていくアウトプットが、そのようなアウトプットになることはないと思っています。
[引用元:任天堂]
といったような意見は表明している通り、F2P自体が悪いとはいっていないのが現状です。実際、出て来ない事にはわかりませんが、ある程度のラインはしっかりと引いてくるようなところにはなりましょうか。もう1つは、本業の収益に影響を出さないようにする為。すでに、営業黒字は達成していますが、回復したばかりで影響を及ぼすような買収は効果的とは言いがたい。最後の1つは、自社で抱え込むリスクを回避する為。最後のは、もうそれ以上もそれ以下もないでしょう。
先日の記事にも書いた通り、メインは「新メンバーズサービス」の構築であり、そこを中心にどれだけ囲い込めるのかが最大の焦点となっていく……と思っています。その上で、任天堂プラットフォームとして、あらゆるデバイスに対応していくのが新しい任天堂のスタイルになりそうな気がしてなりません。……ま、所詮は妄想に過ぎませんが、やる前から行動を否定してしまっては話になりませんし、まずはその答えが提示されるのを楽しみに待ちたいですね。
しょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会
:先日の任天堂とDeNAの発表でQAが出てたので、昨日の記事を捕捉する感じで書いてみました。
:まぁ、否定するもなにも、まずは出てくるモノを見てから判断すりゃいいんじゃね? ってことか。
:そんな感じだね。買収が有効な手立てじゃないというのも書いた通りだし、落としどころとしては無難だと思うよ。任天堂は行動するまでが遅いけど、行動し始めたら速いタイプだから。……もっとも、見切りをつけるのも早い方だと思いますけどネー。
:……ま、任天堂が熟考して出した結果なんだし、何はともあれ上手い事やって欲しいもんだわなぁ。
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