気まぐれゲーム雑記
第489回：MMOは月額が良いか、F2Pが良いかは見方で異なる

どちらが決定的に良いと言う事はないのです。

消費者にとってどちらが良いかも難しい

AZです。Monacoを一人でプレイすると、心底マルチが良いと一人身である世間の荒波が身に染みます。

ところで、たびたび起こるMMOは月額が良いかF2Pが良いか論争ですが、FF14のプロデューサー吉田氏とEverQuestシリーズのディレクターであるGeorgeson氏の意見が、見事なくらい分かれていて面白い物議を醸し出しています。

FF14の吉田プロデューサーは、どちらのビジネスモデルにも長所と短所があると前置きした上で、基本プレイ無料にすれば最初の数ヶ月は手っ取り早く収益を得ることができるが、その後同じような収益を得られるかは不透明であり、長期的にゲームを維持する必要があるMMOにとっては必ずしも基本プレイ無料が最善ではないという意見を述べた。

～中略～

EverQuestシリーズのディレクターであるGeorgeson氏は「月額課金制は間違っていない」と前置きした上で、"個人的な意見"として「基本プレイ無料化はゲーマーが全てのMMOに望んで当然のもの（望むべきもの）」という意見を述べた。

～中略～

「私達はある意味ストリートパフォーマーです。街に出て歌やダンスをして、上手くできれば人々が硬貨を帽子に投げ入れてくれます。ゲーマーがMMOに基本プレイ無料を望んで当然だと考えるのは、前もって60ドルを面白いかどうかわからないものに払うのにはリスクがあるからです。そのお金は返ってきません。」

［引用元：Kulturさん］

どちらの主張も正しいとしか言い様がないくらい至言すぎますね。

吉田氏は、企業としての立場を崩さないまま長期運営、開発を続けていくために選んでいるのが月額課金とした一方で、Georgeson氏の場合は消費者が選ぶには無料で面白いかどうかを体験させる方がベストである、という論調になっています。どちらも一長一短があり、決して間違っているとは言えないモノです。そういう面を考えれば、月額もF2Pも対立するような内容ではないのが見て取れる案件とも言える事でしょう。

ついでに言えば、Georgeson氏の言う「前もって60ドルを面白いかどうかわからないものに払うのにはリスクがある」というのは、別にMMOに限った話でもありません。このブログでもたびたび「ゲームを買うか買わないかはメーカーの信用にも影響する」とちらほら書いてきているのは、面白いかどうかも分からないゲームを買うのは博打以外なにものでもないからです。どのようなタイトルでも構いませんが、大手メーカーの有名タイトルが違うメーカーから出る、と言うのを妄想すれば何となくわかるかもしれません。

話を戻しまして。私としては、FF14やドラクエ10の一番の功績は、月額課金のMMOスタイルを復活させた事だと感じています。F2Pが台頭してきて、セガのPSO2など多くのMMOがそちらに流れていく中での月額課金は、「無料とは違った価値」を提供するという意図がはっきりと見えます。ブランドである事などを上手く使った手法とも言えるでしょう。

日本でも、F2Pタイトルがジワジワと家庭用ゲーム機にも進出する中で、ゲームの価値をどのように挙げていくのかが課題にもなりそうな雰囲気を出しています。市場が縮小する中で、それでもゲームが大好きと残り続けたコアな方々に各メーカーはどのようなアピールをしていこうと言うのか。今後長い目で見守っていきたいモノですね。