連載:気まぐれゲーム雑記 第95回:「Xboxは何故日本で失敗したのか」という海外コラムが読み物として素晴らしい、と言う話題
気まぐれゲーム雑記
第95回「「Xboxは何故日本で失敗したのか」という海外コラムが読み物として素晴らしい、と言う話題」
いや、これは面白いです。真面目に。
外人さんが語る日本でのXBOX市場
現時点では、据え置き機として存在しているのがPS3、Wii U、そしてマイクロソフトが率いるXbox360。
管理人は、どのハードを推すだの推さないだの、そういった考えは一切ありません。面白そうなソフトがあるならハードを買うし、そうでなければ買わないと言うスタンスです。360ユーザーに面白い方が多いのも知っていますし、そういったコミュニティが360を盛り上げているのだろうな、というのもわかります。ですが、日本市場におけるXbox360の存在は、明らかに他のハードに比べて勢いがないのは確かでしょう。
そんなXbox360ですが、海外メディアのEurogamerがXbox立ち上げに関わったスタッフの話を基に、なぜ日本市場でXboxが失敗したのかという舞台裏を探るコラムが掲載されました。詳しくはこちら。
要約できないくらい長編ですが、翻訳が大変わかりやすく読み応えがあるものとなっています。是非読んでもらいたいところではありますが、一応今まで通り強引に要約しておきます。……なるべくなら、コラム本編を読んで頂きたいです。
- TGS2001のビルゲイツ氏の基調講演は、CESAに不評だった
- それは、講演内容が一部違っていて、後半はXboxのセールストークになっていたため
- その方法は、E3など海外のイベントではその基調講演で問題はなかったが、日本では一部誤解を生んでしまった
- 2000年になろうとしていた時、日本はコンソール・ゲーム市場の30%を独占していたので、日本市場の重要度は高かった
- だが、PC市場がない日本ではPCでのゲーム開発における親和性を訴える事もできず、日本では見向きもされないアメリカ製ゲームのためのコンソールという先入観があった
- そもそも、コントローラが大きかったり、本体が大きかったり、日本を理解したイメージとは思えないものだった
- Haloは、日本向けに難易度を低くしたバージョンを作る羽目になった
- 最初のコントローラができた時、余りの大きさに日本では大騒ぎになり、コードネーム「アケボノ」というコントローラーSの開発を急いだが北米発売には間に合わず、Xbox発売後半年でやっと変更できた
- アメリカのビジネス・ミーティングは通常、契約・条件を議論し、契約書にサインして仕事にかかるが、日本は契約にサインする前に、相手の素性を見極めようとする
- 日本の市場に参入しようとしていたのだから、本来は日本風に振る舞う必要があった
- 「Biohazard」の生みの親である三上 真司氏がPS2から他のハードに移ろうとしている噂を聞き、Xboxに取り込もうとしたがあえなく失敗した
- スクウェアはFF11をXboxで出す事を望んでいたが、PCプレイヤーとXboxプレイヤーが一緒にプレイできる環境にするための技術的な問題もあったため、Microsoft本社のXbox Liveチームはこれを拒否した
- 最終的なミーティングで、アメリカ流のビジネス手法が日本勢に受けず失敗に終わった
- Xboxのロンチ後に、ディスクに傷が入るという苦情が起こり、アメリカだと大した問題にならなかった事が、日本では問題になっていた
- そんな中、Microsoftはレイオフをアメリカ流に行い印象を悪くして、「たまたま日本でも発売されている、欧米ゲーマー向けのコンソール」というイメージを固定化させてしまった
- コーエー・テクモの早矢仕氏曰く「その土地で作られたハードウェアは、消費者に理解されやすいが、Microsoftが日本人の心を掴むことができなかった理由の一つには、それがあるかもしれない」
- 360に取りかかり始めた時、日本の優先度を下げるべきだと現場は主張したが、アメリカにあるMicrosoft本社は30%を占める日本市場の存在を勝ち取らなければならないという認識だった
- 2008年以降、巨額を投じて360独占RPGを出したり、Metal Gear Solid: Risingの発表をしたり、Kinectを発売したりしたが、文化の違いも相まってやはり成功とは言いがたい
- 2012年のTGSにMicrosoftが不参加だったのは、TGSの重要性が低下していることと、次世代機の事もあり発表すべきゲームがなかった
- それと同時に、日本の重要性が低下していることの表れとも言える
- Microsoftが日本から撤退することはありえない
- しかし、「困難な市場」であることは認めた
- 次世代機がどうなるのか、答えはもうすぐ出そう?
ざっとこんな感じでしょうか……。
想像していた以上に長くなりました。これでもかなり端折った方だと思います。先ほども書いた通り、コラム本編を読んで下さればそれ幸いです。
というわけで、今日はそんなXboxな話題に触れていこうかと思います。
昔話なので懐かしい
実際、Xbox時代は実にネガティブな話題が多かったです。管理人もディスクに傷が入ったユーザーの一人でしたし、コントローラも扱いにくいモノでした。また、存在感も凄く、その存在感とは反比例するように「周囲の友人達は誰も持っていない」という現実は、中々に面白い体験だったと思います。あ、ちなみに初めて酔ったFPSはHaloでした。
また、2008年のJRPGラッシュにはそこはかとない期待を抱いたモノですが、1年足らずで終息してしまいました。そもそもに、1年で市場がひっくり返るくらいなら苦労しないよ! と言えるくらい独特な日本のゲーム市場ですが、言ってしまえば、あのMicrosoftでさえ日本市場で天下を取る事ができなかったわけです。あと何年くらいあれば市場がひっくり返ったのか……というのには、少々興味が出ちゃいますね。
今後はどうなる?
Xboxの頃からすでに10年は日本市場にいるわけですが、それでも結果を出せたとは言いがたい現状があります。そうともなれば、撤退はしないけど、一応注視しておくくらいに留めておく、というのは経営的観点からみれば正しいでしょう。
ですがそれは、かつてXbox時に作ってしまったイメージ「たまたま日本でも発売されている、欧米ゲーマー向けのコンソール」という考えに回帰していくという事にもなります。次世代機の移行で、日本市場をどのように見るかが正念場だというところでしょうか。
すでに発売された任天堂の次世代機であるWii Uを皮切りに、来年以降マイクロソフトやソニーが次世代機を発表していく、と言われています。その時、マイクロソフトは日本市場を「ちょっと気になる程度の市場」と見るのか、それともまだ挑み続けるのか……。その答えは、任天堂、ソニー、マイクロソフト3社のすべての次世代ハードが登場して、価格やタイトルにどういったモノが集まるか次第で結果が見えてくるでしょう。まずは、来年にWii Uがどうなっているのかを楽しみにしたいですね!
しょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会
:凄く長いんだけど、「Xboxは何故日本で失敗したのか」っていう海外コラムが凄く読み物として面白かったのでご紹介です。
:ふむ。日本人が書いてたら何とも目も当てられない話だが、外人さんが外人さんの観点で書いてるのね。
:かなり納得がいくような読み物でした。まぁ言わば、郷に入れば郷に従え、という教えは大切だというオチなんだけどね。……次世代機だと日本の扱いはどうなるかねぇ?
:まずは価格とかそういったところから見てみないと判断つかないよな。どういうのが出てくるのか、楽しみにしたいものだ。