ビジネス:任天堂の平成25年3月期 第2四半期決算発表会の質疑応答が公開されました
12月8日にWii Uを発売する任天堂さんですが、平成25年3月期 第2四半期決算発表会で行われた質疑応答が公開されました。
内容が濃すぎてかなりの長文になっているので、なんとなくわかりやすいものをまとめてみました。
Q.Wii Uの外部パートナーとどういった協議があったか、また北米の「Nintendo TVii」を踏まえゲーム業界以外はWii Uをどうみているのか
A.ソフトメーカーは、本気でWii U専用のタイトルを出すメーカーから、マルチ展開でもWii U GamePadにあわせたもの、一応マルチ対応したものまで濃淡がある。
Nintendo TViiはケーブルテレビが普及して、何百チャンネルもあるアメリカだからこそ提供できるサービス。でも、ビデオオンデマンド業界からは高い評価を受けている。
あと、国内に向けては別のサービスを提案できないか検討中。Q.Wii Uの逆ざや解消はいつ見込んでいるのか
具体的に言える材料がない。今期だけだと、Wii Uの普及台数も少ないしソフトも限られるしプロモーション費用もかかるから楽観視できない。
でも来期になれば、ハード普及台数も増えてソフトも充実し、原価も下がるから早く収益構造を作れると思っている。
というわけで、任天堂の収益貢献できるところまでもっていける自信はある。Q.ニンテンドーダイレクトをどのように評価しているのか。またライトユーザー向けの内容になっていないから収益に繋がってない印象もあるけど……?
情報を正しく伝えたいという事で始めた結果、最近は1週間で60万から100万人規模の人達に見て貰えているらしい。
体験版のDLも加速するので、ゲーム機自体の稼働率を上げる事ができるし、一定のサイクルで宣伝し続ける価値はある。
ライトユーザー向けじゃないというのは、必ずしもそうとは言いがたい。どうぶつの森DirectはYouTubeで110万回を超える視聴回数になった。
なので、ニンテンドーダイレクト=カジュアルユーザー、ライトユーザーに届かない、というわけではない。
ニンテンドーダイレクトはマーケティングとして新しい軸になったけど、他にも色々やっていくし、今後もニンテンドーダイレクトのようなやり口が通じるかはわからない。
「50代の特別なこともない男である私(岩田氏)が、延々とゲームについてしゃべる映像にお客様がいつ飽きるか分からない」けど、楽しんで頂けている間はやっていこうと思う。Q.Wii U発売時のマーケティング戦略はどう考えてるの?
A.段階的にユーザーの層は広がっていくと考えていて、売り手のメッセージが直接届く人、何を言っても届かない人、また周りの人が盛りあがっていることに興味がある人がいる。
Wiiの成功と3DSの初期時の失敗は、その周りの人が盛りあがっていることに興味を持つ人達へアピールできたかどうかだと思っている。
今の日本だと、ゲームを遊ぶなら3DSだと多くの人に言って貰えるが、製品の普及を考えるとそこを必ず超えないといけない。
それらを踏まえて、Wii Uは今の予約状況を見ると「年末にはほぼ間違いなく売れると言える状況」になっている。
一方で、「年明け以降も売れるかどうか」については、任天堂も最大のポイントだと重点を置いている。
任天堂はハード発売時にソフトを多く集めすぎて、発売後しばらくの間ソフトが非常に手薄になる時期ができやすいから、Wii Uはかなり意識した。
幸い、海外メーカーに多くのソフトを作って頂けたこともあって、ハード発売時に予定していた一部タイトルを年明けにずらすこともできた。
体験した人の口コミと、任天堂が途切れることなく話題を出すため1月以降もソフトを出していくことと組み合わせて勢いは持続する、と考えている。Q.マリオやポケモンといった往年のIP(知的財産)を用いたタイトルの販売が好調に見えた一方で、まったく新しいブランドのタイトルというのがここ最近、印象が薄くなってきているように思うけど、完全新作についての考え方を教えて。
A.新規タイトルを出すのはもちろんやっているけど、往年のタイトルもマンネリをしないようにちゃんと変化させている。
「往年のIPしか出ていないから革新を忘れている」というのは、タイトル名だけで中身を余り見ていないのでは? と思う。
Q.スマホやタブレットは任天堂にとって敵か味方か
A.ソーシャルゲームとスマートデバイスを混ぜて語るのは正しくない。
スマートデバイスは、任天堂にとって良い面と悪い面がある。
たとえばどうぶつの森ダイレクトは、ツイッターのタイムラインをスマートフォンで確認した人達はそれをスマートフォンで見たわけで、そうなると任天堂の味方であり敵ではない。
逆に、スマートフォンで無料ゲームや85円ゲームを山のように遊ぶ人達に対しては、その価格じゃ味わえない面白さを提供しなければならない。
というわけで、スマートデバイスでは味わえないゲーム体験を提案することと、スマートデバイスを敵ではなく味方にする方法に対して取り組む事を考えている。
あと、Miiverseについては、後日Wii U発売前までにニンテンドーダイレクトで詳しくお伝えしたい。
ざっと、こんな感じでしょうか……。
まとめた割には長くなっちゃっていますけど、これでもまとめた方だと思います。
逐一一個一個に感想やツッコミをいれていくときりがないとは思うので、一個だけピックアップしたいのが、ニンテンドーダイレクトについての考え方です。
「50代の特別なこともない男である私(岩田氏)が、延々とゲームについてしゃべる映像にお客様がいつ飽きるか分からない」けど、楽しんで頂けている間はやっていこうと思う
何とも控えめなコメントのようでしたが、あの宣伝方法はプレゼンテーションの上手さには定評のある岩田氏がやるからこそ意味があるものであって、恐らく他の方が出てきて延々と語られても「コレジャナイ」感が出てきてしまう恐れがあります。そうなると、後任者を選ぶ際にはとんでもない苦労が付きまとう事にもなるとは思いますが、末永く続けていってもらいたい企画ですし、任天堂さん側もマーケティング手法の一つとして捉え始めているようなので、ぜひ頑張って続けて欲しいですね。
質疑応答を全体的にみると、やはりWii Uの話題が中心です。本当に多く普及することになるのか否かは、来年以降も長い目をもって見守るほかないでしょう。Wii Uが果たして、どうなるのか……。任天堂の未来を左右するだけに、発売後も注視していきたいですね。
[情報元:2012年10月25日(木)第2四半期決算説明会 - 質疑応答より]
しょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会
:先日行われた任天堂さんの決算説明会の質疑応答が公開された。
:何とも丁寧ですな。マンネリ化については、正直何とも言いがたいけど。でもまぁ、Wii Uが売れるといっている以上、頑張ってもらいたいですな。わたくしも買うわけだし。
:買うのは良いのだが、ソフト決まったの?
:……きまらんので困るんだよね……。はてさて、どうしたものやら、と……。