気まぐれゲーム雑記
第741回：PC版「Godus」に見る、早期アクセスタイトルのコミュニティ

早期アクセスの闇がまた一つ……。

お金を出す側は、作る事ができないからお金を出すのである

AZです。なんやかんやと、モニターを探す作業は楽しいです。

それはそれとて、「Fable」などで知られているクリエイターことピーターモリニュー氏の最新作「Godus」ですが、PC版が何やら荒れておるという話題が出ています。

2012年にKickstarterでの資金調達に成功し、昨年8月にiOS版をリリースしたピーター・モリニュー氏のゴッドゲーム『Godus』。2年以上前に完成が約束されていたPC版に、Steam早期アクセス以降目立った進展が長期間見られないことで批判を浴びていました。英メディアRock, Paper, Shotgunがモリニュー氏に対して行った歯に衣着せぬ電話インタビューが海外で注目を集めています。

～中略～

ピーター・モリニュー氏は、新規IPの開発における期間や予算を寸分違わず正確に予想するのは業界歴30年のベテランでも不可能であると主張。クラウドファンディングによる開発資金だけでは到底完成に満たなかったことを明らかにしています。そのほか、製品版を夢見て私財を投じたファンへ返金するべきではないかと問われ、「私が開発を投げ出していたのなら至極まっとうな指摘だろう」と、決して開発を諦めていないことを強調。作品に秘めたありったけの想いを告白しています。

［引用元：Game*Spark］

まぁ、予告通りに完成せず2年も経過すれば批難が殺到するのも当然ですね。

海外の話題ですのでピンと来ないかもしれませんが、Steamのストアページのユーザーレビューが「ほぼ不評」になっている事や多くのレビューを読めば、その荒れ具合がハッキリと見て取れます。完全に、早期アクセスとしてプレイヤーと開発側のコミュニティ形成に失敗しました。ついでに、ピーターモリニュー氏や22Cansの面々がYouTubeにアップした「Godus Community Update」では、すでに開発の舵取りに失敗した事を謝罪しているわけですが、動画の評価をみればそれも頷けるところでしょう。

その一方で、スマートフォン版はそれなりに良い評価を受けています。Android版・iOS版はこちら。根本的に、PC版とスマートフォン版の両方でやるという切り口に問題があったような印象もあり、「Godus」に限ってはクラウドファンディングや早期アクセスでやってしまった事が足枷にもなってしまった感がなきにしもあらずです。そして、PC版のコミュニティが荒れてしまうというのも当然の流れなのでしょう。いやまぁ、ピーターモリニュー氏のゲームは元々時間が掛かることでも知られているので、2年経っても完成しないというのはある種、氏らしいと言えばそれまでかもしれませんが、約束を反故にするのは誠実ではありません。

クラウドファンディングや早期アクセスは、興味がある人達から資金を調達することで、開発側とプレイヤーを繋いで良好なコミュニティを形成し、よりよいゲームを作っていくための手段として使われてきました。それがいつしか、開発規模も大きくなりコントロールが上手くいかなくなっている様な問題がちらほらとみられ、開発が困難になり延期、果てには頓挫するタイトルがでてきている昨今、開発の難しさが有り有りと露呈しています。

クラウドファンディングや早期アクセスといったインディーゲームで採用されがちなアプローチは、ここ数年で出てきたやり方なだけに最近になってその問題点が指摘されるようになりました。もちろん、「Craft The World」のように製品として良いモノに仕上げて無事早期アクセスを終了させるようなタイトルもありますが、「Godus」のようにコミュニティそのものが荒れてしまうと、それが話題になってよりネガティブな印象として残ってしまいます。ご利用は計画的に行いながら、健全なコミュニティの形成に努めて欲しい限りですね。