連載:気まぐれゲーム雑記 第737回:海外メディアのEurogamerが採点形式でのレビューを廃止、レビューをどうやってみていくべきか
気まぐれゲーム雑記
第737回:海外メディアのEurogamerが採点形式でのレビューを廃止、レビューをどうやってみていくべきか
メディアのレビューも時代に合わせて変化します
誰に対してレビューを書くのか
AZです。ダイエットというのは、どこまで減らせば成功なのかがわかりにくいアクションなのだと思っております。
それはそれとて、海外メディアのEurogamerが採点形式でのレビューを廃止すると発表しました。
Eurogamerは方針転換の理由として、オンライン・ゲーミングの定着やデジタル配信、デイワン・パッチ、アーリー・アクセスの台頭といったゲーム業界を取りまく状況の大きな変化に、従来のレビュー方針がそぐわなくなっていることを挙げ、ゲームをレビューするという行為が予想以上に困難になっているとしている。更に、ゲーム自体は素晴らしいものの、サーバーに大きな問題を抱えているようなゲームや、素晴らしいマルチプレーと酷いストーリーテリングが混在するようなゲームを例に挙げ、こうした場合には従来の採点形式ではむしろ誤解を生み易いとして、採点形式の廃止を決定したと説明している。
それ以外にも、「オンライン・ゲームのレビューは発売後にのみ行う」「レビューには完成版ゲームだけを使用する」「レビュー記事への追記は行なわない」といった方針を新たに採用。新たなレビュー形式では、レビュー記事全体の目安として冒頭に140字程度の要約を掲載すると同時に、文末にRecommended(お勧め)、Essential(必携)、Avoid(回避)、そして何も無しという4種類の大まかな分類を設けるとしている。
[引用元:Choke Pointさん]
結構思い切りましたかね。
レビューというのは、簡単そうに見えて難しい部分があります。何故かと言えば、レビューと言うのは本来個人の価値観を文章化したモノであり、誰に対して書いたモノなのか(メーカーなのか、自分以外の誰かなのか)、また読み手はレビュアーの好みや質(ジャンルの好みや、笑いを取りにいく文章or真面目な紹介文など)などをわかった上で読んでくれているのか、など多くの情報が必要になるからです。そこを理解しておかないと、レビューの点数だけが一人歩きして非常によくない状態に陥ります。
海外のメーカーは、各メディアのレビューを結構重視している姿勢が見受けられます。PVでも、よく各メディアのコメントを掲載しているところが多く、レビューがどれほど重要視されているのかはよく分かるところでしょう。さらに、どのメーカーも参考にしているのはMetacriticのメタスコアです。各メディアのレビューを平均化したメタスコアは、売上を考慮する上での判断材料とされています。その事は、スクエニの業績予想修正説明会でも説明されています。
メディアの文言が入っているPVの一例
2009年にEidosを買収して以来、2010年3月期に大きく収益貢献した後は、毎年1つか2つのタイトルを出していました。当年度は、日本国内の大型タイトルが無い中で、「ヒットマン」や「トゥームレイダー」といった欧米向けのゲーム業界を代表するタイトルを出すという、初の大きな試みでした。
これらのタイトルについては、ゲームの内容を磨き上げるというところに、随分と力を入れまして、メタスコアも高得点を取ることが出来ました。
ただ、販売実績は、結果が伴わなかったという事で、大きな差異が営業利益ベースで出ております。
予算の中でどの程度、販売本数を見込んでいたのかという事については、通常申し上げておりませんが、今回は、予算数値そのものではありませんが、その考え方についてあえて申し上げます。
まず、「スリーピングドッグス」ですが、内容やジャンル、メタスコアの点数等を踏まえると、欧米で200~250万本程度は売れなければなりません。
「ヒットマン」は、このスコアと出来を考慮しますと、欧米・日本を合わせて450~500万本程度、「トゥームレイダー」については、500~600万本程度のタイトルとしての力をそれぞれ持っていると思います。
[引用元:スクウェアエニックスホールディングス]
それ以外にも、なぜ点数が重視されるかというと、一目でみてわかりやすいからです。そりゃ、誰だって60点のゲームより100点のゲームの方が良いモノだと思うのは当然でしょう。何故60点なのか、100点なのかが気になってしまい、その真意を考えようとする人もいるとは思いますが、そこらへんは少数派な気がしないこともありません。つまり、レビューにおける点数というのは、その人がどう感じたかという通常なら文字で語るべきところを、思いっきり省略して数字化したモノという答えになります。もっとわかりやすくハッキリ書けば、ダラダラと書かれた文章を読まなくとも点数だけを見れば、「何となくその作品がどう思われているのかわかった気になれる」代物とも言えてしまうのです。
もちろん、採点形式のレビューを否定する気はありません。レビューに点数を付けるというのは、間違いなくわかりやすさを伝える上で凄くお手軽で有効な手段と言えるでしょう。それに、書き手の趣味趣向がわかりやすい個人ブログなどでは、より高い効果が得られやすい。その一方で、書き手が見えにくい商業メディアの場合は、点数だけが一人歩きしてしまう可能性も孕んでいます。多くの情報が掲載されている媒体である以上、書き手の意見はさほど加味されず、点数ばかりがピックアップされがちです。最近だと、某メディアの点数のみを紹介しているブログなどをちらほらと見かけますが、レビュー内容を書かずに点数だけを追いかけていてもどれだけ参考になるのかは少々計りかねるところがあります。例えば、今は改善されてずいぶんマシになったとされているジョジョASBが、発売直前の某メディアによるレビューで満点だったように。
レビューの何を良しとして、何をダメとするのかは書き手や読み手、様々な取り巻く環境によって大きく変化します。今後のゲームレビューがどのように変化していくのかはわかりませんが、メーカーよりも読む人達にとって価値のあるモノになっていって欲しい限りですね。
しょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会
:海外メディアのEurogamerが採点形式のレビューを廃止するとさーってなお話です。
:ふむ。まぁ、他にもオンライン要素とか発売前にできない内容が増えてきたしな。
:パッチで修正されるような事もあるし、その他追加要素もあるからね。でも、点数でやるのって、その人の価値観だぞーってアピールをしておかないと、理解してもらうのが凄く大変だと思う。商業メディアだと余計に、ね。だから、点数だけを追わないでレビュー内容は把握しておいた方が良いとも思う次第。……わたくしは、ちらほらとレビューを書いてきて点数なしに落ち着いた人です。
:ま、レビューの形は色々あっていいんじゃね? 答えは一つじゃねーだろうよ。
:
:
:
:
レビューで重要なのは点数ではなく中身だと思っているので正直点数に意味はあまり感じません。
例え高得点だとしても自分にとって高得点かはまた別の話になりますし、このゲームはこんなゲームですよって事を教えてくれればそれだけで十分だと思います。