連載:気まぐれゲーム雑記 第188回:Age of Empires Onlineに見るシリーズの変化はユーザーにとって面倒が多い、と言う話題
気まぐれゲーム雑記
第188回:Age of Empires Onlineに見るシリーズの変化はユーザーにとって面倒が多い、と言う話題
AoEは好きだったなぁ……(過去形)。
失敗から学ぶ事の重要性
日本では、ひたすらに成功することしか許されないといった空気があります。
これは社会においてもそうなるわけですが、スポーツを見てみれば野球だって3割打者になれば凄いと言われるのに、一般的なビジネスにおいては成功という結果のみが唯一許容されること、といわんばかりです。まさに世知辛いという言葉が当てはまります……。もちろん、成功するに越した事はありません。しかしながら、あくまでも個人的な意見ではありますが、「失敗から学ぶ大切さ」をいうのを理解して動く事も重要なのではなかろうか? と思ったりもします。……まぁ、こういう考え自体が青臭い若造だと思われても仕方がないわけですが。
成功や失敗などは当然ゲームにおいてもあり、幾多の有名タイトルが泡沫(うたかた)の夢が如く消えていきました。そんな中、GDC2013では“「Age of Empires Online」の失敗から学ぶ”といったセンセーショナルな講演が行われました。詳しくはこちら。
ざっくりまとめると次のような感じ。
- マイクロソフトのKevin Perry氏曰く、AoEシリーズ最新作となる「Age of Empires Online」はユーザーからの期待値が高かったにも関わらず、売上やプレイヤー数がこれまでのシリーズより見劣りする結果になった
- しかし様々な修正を行うことで、評価や売上を取り戻すことに成功
- F2Pプレイモデルとしてリリースされたが、コンテンツの少なさによりユーザーは期待を裏切られる形となる
- シリーズだとプレイヤーが選べる文明は10個程度あるが、本作の場合ロンチ時に3つで、そのうち1つは有料追加コンテンツだった
- また、ロンチ時にAIと戦うモードが実装されていなかったり、対戦に装備&レベルシステムが導入されていたりと、シリーズファンは肩すかしを食らった
- 追加コンテンツの文明価格は20ドルで追加クエストも10ドルと、ユーザーは1度しか購入しないコンテンツを用意したのは間違ったビジネスモデルだった
- そのような状況だったのでビジネスとしても失敗という残念なスタートだったが、ロンチから4ヶ月経ってから修正作業を開始した
- 追加要素の価格を半額にする、文明を2つ追加、装備とレベルが影響しない対戦モードの追加、レベルアップ条件の緩和など調整を行った結果、ユーザーからの評価は徐々に改善された
- これまでの課金システムは、文明やクエストをリアルマネーで買うだけのビジネスモデルだったが、それを大幅に変更しゲームプレイだけですべて入手できるようにした
- ただし、それは時間も手間もかかるので、手っ取り早く追加要素を入手したい人に向けて課金をする仕組みを導入した
- また、キャラクターのカスタマイズアイテムを用意するなどした結果、プレイヤー一人あたりの売上上限がなくなった
- このシステム変更はメディアからの評価も良く、口コミでプレイヤー数が増えていき、売上は3倍になった
- プレイヤーにゲームを楽しんでもらえれば自然に売上に繋がっていく、というのがこれからのF2Pモデルの成功の秘訣になるだろう
この話はF2P(Free to Playの略です)、いわゆる基本料金無料のゲーム(フリーミアムとも言います)の話題ではありますが、AoEといえばRTSでは往年の名作です。それが形態を変えて勝負に出るという事の難しさや如何に? という事を書いてみようかと思う次第です。
日本でも色々と変化があった
日本で往年の名作といえばFFやDQなわけですが、その2タイトルもオンライン化されるという変化をしました。
両作品の印象はさまざまありましたが、FF11の時はオンラインゲームが流行るのでは? と言われていた時期に登場した事もあり、日本で最大級のオンラインゲームタイトルとなる事が出来ました。逆に、DQの時は賛否両論がわき起こりました。戸惑いを覚えたユーザーも少なからずいたようです。まぁDQの場合は、9ですでにオンライン化フラグは立っていたようにも思えますが。
また、昨今においてはPSOシリーズ最新作「PSO2」もフリーミアムで運営する事を決断しました。発表当初は、PSO2について「アイテム課金だから終わった」といった風潮が流れ、ディレクターの酒井氏が色々とメディアなどで「ゲームの本質」には課金しないといった趣旨を説明するなど、ユーザー間においては結構な混乱が見られました。現時点ではID登録者数100万を突破するなど順調に運営されていますし、Vita版も発売されるなど、フリーミアムのタイトルとしては優秀な作品として認知されているかとは思います。
FFやDQ、PSOだけに限った話ではありません。最近で言えば「新・世界樹の迷宮」もそうでしょうか。ユーザーが「このシリーズはこうである」と認識していたものが、想定していなかった変化をすると色々と面倒が起きます。変化を好む人と好まない人が生まれるからです。そして、その変化の賛否は多種多様に出てきます。結果は、はっきりと出てくるまでは誰にもわからないのが通常でしょう。……見える地雷的なモノもありますが……。
ですが、そのような変化もAge of Empires Onlineの例に則れば、「ユーザーを楽しませることができるかどうか」が最大の焦点となります。ゲーム開発は、クリエイティブな仕事であると同時にビジネスでもあります。ある程度期限があったり、予算的な話がでてきてしまうのも仕方はないのですが、基本的には「ユーザーにとって面白いか否か」で変化の有無が判断されている……はずだと思いたいわけです。……いやぁ、世の中にはそうも思えない判断の場合がありますので……。
シリーズが続編で変化して、成功したものもあれば失敗したものも多くあります。企業にとっては、両方共に学ぶ事もあるでしょう。そしてそれがユーザーにとって面白い作品へと繋がってくれれば、マイクロソフトのKevin Perry氏が言うとおり「自然と売上に繋がっていく」という事になる……と思うのですが……。たぶん、もっと根底的な部分として、「そのメーカーが信用できるかどうか」という要素も重要かもしれませんね。
しょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会
:シリーズが変化すると、ユーザーは色々と戸惑うってお話なんだけど、その変化したシリーズを受け入れるも入れないも、面白さが重要なのは言うまでもなく、メーカー自身の信用度ってのもあるんじゃなかろうか? と最後の最後で気づいたわけで……。
:どちらかっつーとメーカーよりは、開発者や開発チームがどこなのかっていうのが重要かもしれん。
:日本だと有名クリエイターでもない限りは、作った人って余り表に出て来ないからね。もうちょっと、作った人が誰なのかっていうのをアピールできるような環境になってもらいたいところです。……そうすれば、ゼロディブさん開発だからといって安心できそうと思えるものがあるかもしれない……。
:ゼロディブさんはさておくとして、もう少しメーカーではなく、どこが作ったとか、誰が作ったっていう部分にスポットが当たっても良いかもしれんな。ユーザーにもそういう部部分がみえてくるような形になってもらいたいものだ。
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