連載:気まぐれゲーム雑記 第173回:クラウドファンディングは自己責任だからこそ難しい、と言う話題
気まぐれゲーム雑記
第173回:クラウドファンディングは自己責任だからこそ難しい、と言う話題
時代と共に進まないのは、知識の共有化に違いない。
今や欧米のトレンドにしてゲーム開発の資金調達場こと“Kickstarter”
日本でも、緩やかな注目を浴びて……いるようには全く思えないクラウドファンディング。
クラウドファンディングというのは、ネット上なり何なりである目的のために不特定多数から資金を調達する行為を指す言葉です。当ブログでも幾度か紹介していますが、まぁその、なんでしょう……。まったくもって日本では流行る気配がありません。否、日本のゲーム分野において流行る気配がない、というべきでしょうか。ちなみに、日本でクラウドファンディングサービスをやっているサイトはこちらなどあるにはあります。
取り上げた頃には、Kickstarterがすでに飛躍していましたが、相変らず日本からはプロジェクトができない状況で、日本語と英語の壁というのは恐ろしく高いと言うのを知っている身としては、仕方なきことと割り切るほかないなぁとも思うわけです。ということで日本のクラウドファンディングに期待はしているのですが、まぁ色々と難しいかもしれません……。
そんなクラウドファンディングですが、4Gamerさんから最近の欧米のクラウドファンディング事情を紹介している記事が掲載されました。詳しくはこちら。
まとめると次のような感じ。
- Kickstarterは、個人の夢や起業家などを支援する目的で、その企画に賛同した人が支援する形で資金提供を行うサービス
- 資金は5ドル前後の少額が基本で、製品化された物が安く買えるとか、お店の開店パーティに招待してもらうといった特典が用意されているが、支援であるため配当金が返って来る事はない
- クレジットカードがあれば日本からも資金提供が可能だが、製品によっては海外配送できないなどもある
- 2012年のKickstarterはゲームの一年と総括でき、「The Cave」「Wasteland 2」「Project Eternity」「Star Citizen」「Shadowrun Returns」「Planetary Annihilation」「OUYA」「Oculus Rift」などの企画が通った
- しかしKickstarterは、資金集めに失敗する例も多いし、資金集めに成功してもその後が怪しいプロジェクトもある
- 「Code Hero」は17万ドルを集めたが、その後α版すら配布されずに出資者達が共同訴訟の準備を始めている
- 詐欺まがいの企画、安易すぎると思われる企画は現在も少なくない
- Kickstarterでも投資は自己責任で行うように進めているが、そうした状況に対して出資提供者側も実績のある開発者に投資する傾向が目立ってきた
- 著名クリエイターのプロジェクトには、目標価格が成功確実なくらい低めに設定されているものもあって、話題作りやマーケティングが目的になっているものもあるように思っている
- 本来無名のゲーム開発者の救い主だったクラウドファンディングにおいて、結果的に無名のゲーム開発者達のプロジェクトにスポットが当たらなくなってきている
といった具合に、クラウドファンディングの本来のポジションの雲行きが怪しくなってきている、という内容です。
そんなわけで、中々日本では動き出しにくいクラウドファンディングってどうなのよ? という話題を書いて見ようかと思う次第です。
お金を出す難しさ
このクラウドファンディングという考え方自体、日本では中々難しい物があります。大体は企業に所属して製品を出すのが一般的ですし、何より誰しもが思うのは、無名の人の企画にお金を提供する、という行為は慎重になっても仕方がない事でしょう。当然ながら、企画が頓挫した際のリスクは自己責任でやらないといけません。
それに日本だと、漫画のクラウドファンディングで成功したケースは以前ご紹介しましたが、ゲームの場合はそもそもPCゲームが一般的ではないので、海外と比較すれば不利な条件があるわけです。
インディーズというものに需要があるのは確かです。それは、漫画であれゲームであれ音楽であれ、です。例えば、アマゾンの自費出版が流行を見せつつあるようですが、これは良くも悪くも出版社がユーザーのニーズに応えられず、作家自身が動くというケースに当てはまります。今後もプロアマ問わず、実力があれば自費出版に打って出ようと考える人は増えていくでしょう。当然、話が途中で打ち切られても自己責任になるわけですが……。
とりわけゲームでは、クラウドファンディングをしようとした場合、せいぜい出来てスマホやらタブレットやらで作るゲーム程度でしょうか。あとは可能性としてPSモバイルからVitaに流れる手法くらいかなぁと。それ以上を求めるとなると、クラウドファンディングで成功させるには厳しい金額を目標にしなければいけなくなる、というのは想像に容易いですし、それ相応の説得力のある人がプロジェクトを指揮しなければ集まらない事間違いなしでしょう。
一般的に、ユーザーは企業から提供されたものを楽しいか否かで判断します。クラウドファンディングはそこに一石を投じる形となっていますが、本当にプロジェクトが成功するかどうかを判断するのはユーザーに委ねられるわけで、そこが何よりも難しいところだと言えます。要は「自己責任をどれだけ負う覚悟があるかどうか」です。まぁ、そんな自己責任だの堅苦しくなくとも、ただ単純に「成功するかしないかわからない物にお金をかけることは出来ない」と考えるのが普通でしょう。
インディーズの資金調達として、また無名クリエイターが成り上がる方法の一つとして注目を浴びているクラウドファンディングですが、まだまだ多くの課題が見えてきそうです。……いつの日か日本でも流行る時期が来るといいのですけど……さて?
しょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会
:海外だとクラウドファンディングで色々と問題点が見えてきているっつーから、そもそも日本じゃ流行ってないから流行るような方向にもってこうぜ? って話題です。
:インディーズにとっては大切な資金調達の場かもしれんが、やっぱり一般の人からお金を集める難しさが滲み出るよな。
:これは、コミケとかオリジナル作品の同人レベルでやれば案外すぐに資金は集まりそうだけどね。そういう意味じゃ、漫画とかの方がフットワークは軽そうと思えちゃいました。……実際、出版業界で働くと結構なデスマーチ連発してくれるけどねぇ……。
:十分覚悟が足りなかったってことだろ? それもまた自己責任だろうよ。
:……ごもっともです……。
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