レビュー「サバクのネズミ団!」:黄金郷を目指し砂漠の荒野を移動要塞「サバクフネ」で突き進む、ネズミ達の奮闘リアルタイムシミュレーション

サバクのネズミ団!

充実した「船旅」です

読んでも読まなくてもよい前置き

わたくし、こう見えて「シミュレーション」はかなり好きなジャンルでして。何故だか日本では流行らなかったジャンル“RTS”も、かなり好きでした。AoEの初代から3までをひたすらやり続けた日々は、わたくしにとってかけがえのないゲーム体験の一つでもございます。

それはさておき、おおざっぱではありますが、シミュレーションの醍醐味というのは主に「資源(リソース)の管理」です。そう、管理するのが楽しいのです。どうやって資源を生み出し、どうやってその資源を活用するのか、ひたすらに考えるのです。それこそが、まさしく試行錯誤の賜物とも言える「シミュレーション」だと思うのでございます。

もちろん、シミュレーションとして楽しめない物があるのも否定できません。それは、シミュレーションを名乗りながらもシミュレートさせてくれないゲームでしょう。いちプレイヤーとして、考えたいのです。色々と。ただ言われるがままにやるのではなく、自分で考えたいのです。例えそれが、開発陣が考えた通りの思惑だったとしても、です。……え、三國志13はどうだったって? まぁ、その、なんだ。パッチで修正されたとはいえど、結局現代社会を社畜が如く働かされる様は考える隙すら与えてもらえないと思うのですけれども、パワーアップしてから今一度熟考してみようと心に秘める所存であります。

で、シミュレーションをやってて最高に報われる瞬間というのは、「自分で考えて捻り出した結果が最高の答えだった瞬間」だったわけでして。それを得るが為に、色んなシミュレーションをやると言っても良いでしょう。それは、RTSだろうと変わりません。なので、今日も何か良いシミュレーションはないものかと探した結果、サバクのネズミに期待をしてみた、というのが購入に至った経緯になるわけでございます。

あ、ここまでが前置きです。

資源管理とネズミたちの奮闘にアタフタしまくろう

さて、本日レビューするのは「サバクのネズミ団!」です。彗星の如く現れたアークシステムワークスのDLタイトルですが、これがまた“荒削り”ながらに良くできていました。というわけで、砂漠を黄金の海原と見立てたかのような本作を、早速ご紹介です。

プレイヤーは、あっさりとした経緯で移動要塞「サバクフネ」を手に入れ、はるか東にあると言われる黄金郷を目指して移動していく事になります。その基本は移動要塞「サバクフネ」で各拠点を移動しながら資源をあつめ、それを加工して「サバクフネ」内に様々な役割を果たす“部屋”を用意したり、各拠点で受けられるクエストの納品アイテムを作ったりするのが主な要素となります。が、それでいて、それらを「リアルタイム」に実行するので思った以上に慌ただしい。しかも、各拠点では「お金」と引き替えに更なる東への航路や部屋建設の素材情報を得る事ができるようになっており、「お金」と「アイテム」の兼ね合いが非常に上手く機能しています。

サバクのネズミ団!

やれることはいっぱいあります

ポイントは、「サバクフネ」は移動するのに“燃料”を消費するという事です。燃料については、稀にあるクエスト報酬でもらうか、基本的に後半になるまで拠点で補給するしかないわけですが、そのためには金を稼がないといけない。金を稼ぐにはクエストを受ける必要があるし、クエストに納品するアイテムが必要。納品するアイテムを入手するには、砂漠を移動しなければならない。ちなみに、燃料がなくなると「サバクのヌシ」に襲われて「サバクフネ」が破壊されてしまいます。

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燃料代を稼ぐのです

つまり、ゲームの流れを簡単にまとめると次のような感じになります。

「サバクのネズミ団!」におけるお金が欲しがる理由

目的:黄金郷を目指す

  1. 移動要塞「サバクフネ」を動かすには燃料が必要
  2. それに食料も足りない
  3. 燃料及び食料にはお金がかかる
  4. お金を入手するにはクエストだ
  5. クエストの納品アイテムが欲しい
  6. 砂漠を移動中にガラクタ等々を入手
  7. 加工する為の部屋も用意(例えば、鉄板ならワークベンチ)
  8. クエストをこなしつつ、ウワサバナシも聞いて行ける場所や部屋情報も増やしていく
  9. 移動したら燃料なくなったし、色々お金使ったのでまた貯めたい(以下、4に戻る)

プレイヤーはこの行動原理に従って動くことになりますが、実際にアイテムを作ったり「サバクフネ」を動かすのは船員たるネズミたちです。このネズミたちに凄く細かい指示を出す、というのはできません。とはいえど、ネズミたちは部屋ごとに指示されたアイテムなどを率先して作るように動きます。ここで重要なのが「部屋」です。

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部屋はたくさんあるのです

移動要塞「サバクフネ」では、様々なアイテムが作れる部屋を建設する事が可能です。例えば、初期に作れて終盤まで使うことになる「ワークベンチ」や食事に必要な「キッチン」、ネズミを増やすのに必要な「ねどこ」、色んなモノを溶かしたり焼いたりしてくれる「炉」などなど。そのような各部屋を用意し、例えばワークベンチを作りネジを作れと指示を出すと、ネズミ達はネジを作り始めるのです。そうやって、クエストに必要なアイテムや新しい部屋の素材、貯蓄用アイテムなど様々なモノを作り出していきます。更に、各ネズミ達は部屋ごとに紐付け(バインド)する事ができ、部屋に紐付けされたネズミは基本的にその部屋の仕事のみをするようになります。

また、ネズミたちがこなす仕事については、各部屋で働き続けると「マスタリー」を習得します。ワークベンチなら「工作マスタリー」だし、炉なら「燃焼マスタリー」といった具合になり、マスタリーを持っているネズミは対象のマスタリーを持っていないネズミよりも早くこなす事ができるので、上手く活用していく必要があります。他にも、ネズミたちには「HP」「カロリー」「スタミナ」という3つのステータスを持ち合わせています。HPは「ホスピタル」、「カロリー」は食事、「スタミナ」はベットで寝る事で回復が可能となっており、それらの部屋や資源を上手く管理してネズミたちを働かせる事になります。

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天才ハカーです

他には、序盤を少し過ぎたあたりから砂漠を移動中に敵と遭遇することになります。そのために、機関銃を携えた部屋「マシンガン」などを用意して、迎撃する体制を整えておく必要がでてきます。そういった戦闘要素があるのも、このゲームの魅力の一つでしょう。なお、後半になればなるほど、巨大で強い敵が出てくるというので、進行度に見合った火力を備えておく必要があります。ちなみに、動画に出てきた敵“デビルネコ”は、動画のような序盤のサバクフネで遭遇する事はないと思いますが、実は結構強いので注意しておきましょう。

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序盤に出会う雑魚だけど、マシンガン一個ないとダメです

で、考えないといけないのは、各部屋を「サバクフネ」内のどこに配置するか、です。最初は非常に手狭なサバクフネですが、最終的には初期に比べるとかなり大きくなると思って良いでしょう。当然、大きな部屋も作れるようになるわけですが、ネズミたちは食事をしたり、ベットで寝たり、時には襲撃してくる敵を迎撃しないといけません。よって、各部屋同士の導線というのは、よく考えないといけません。しっかり導線を考えておかないと、敵の襲撃でマシンガン部屋になかなかたどり着けず、一部の部屋が破壊されてしまうといった事も起きてしまいます。中盤以降、ネズミたちの速度を上げる部屋などがあるのでそういったモノを活用するのもアリですが、いずれにせよ部屋の配置はきちんと考えてやる必要があるでしょう。そういったやりくりの果てに、目指す黄金郷が見えてくる事になります。

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導線をそれなりに考えたけど、上手くいったかどうかよくわからない

気になった部分

本作は、リアルタイムなシミュレーションとして面白い要素が詰まっているのは非常に賞賛できます。ですが、その一方で、あくまでも個人的にですが気にかけずにはいられない要素が一つあるのも否定できません。

プレイしていると、目的地である黄金郷にいくまでサバクフネはどんどん巨大化していきます。むしろ、巨大化していかないと部屋が足りません。しかして、巨大化するたびに材料が結構失われる事になります。また、部屋の作り直しも同様です。部屋の設置はゲームのキモの一つでもあるのに、部屋のアップデートには結構時間を使って作るアイテムもあるだけに、その貴重な資源が失われるとなると、立て直しさえためらわれてしまうのです。

つまり、部屋は結構計画的に立てていく必要があるのですけれども、部屋の大きさがわからなかったりすると大変な思いをします。このへんは賛否両論ありそうですが、部屋の重要性はこのゲームの重要な点の一つですし、もう少し柔軟なやりくりができる仕様の方が色んな部屋を作ってみるという事もできたとは思えます。いや、「それだけ硬派なゲームなのだ!」と言われれば、それはそれでアリかもしれない、というくらいには悩むところでもありますけど……。

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最後? のサバクフネに乗り換え直後

総評:慌ただしいながらに、部屋の最適配置とネズミやアイテム管理がかなり楽しめるRTS

本作を一言で表すと、各拠点を移動しアイテムを集めながら、燃料やお金、ネズミ、加工アイテム、そしてサバクフネ内の各部屋の配置をリアルタイムで管理していく、というシミュレーションになります。各アイテム等々をひっくるめ、資源と言っても良いでしょう。シミュレーションによくあるタイプの、資源管理を楽しむゲームです。ただそれを、リアルタイムでおこなうというのが、本作のキモでもあります。

当然ではありますが、リアルタイムでやる以上、操作もほどほどに慌ただしいです。ですが、その忙しさが非常に心地良い。着実に進んでいる事を実感できますし、部屋の配置からアイテム製造まで色々と考えながら進めていく様は、実に「シミュレート」させてくれる良作である事を痛感します。しかも、プレイしているとその忙しさについ時間を忘れてしまう時さえあるのです。

そういったタイプなだけに、特に「管理する事が好きだ」という人にはうってつけです。サバクフネが大きくなるたびに「ある程度ごっそり資源がなくなる」というのは、管理する上で涙なしには語れない部分とも言えますし、もしかしたらモチベーションに影響するかもしれませんが、それでもかなりやり応えのあるゲームである事も間違いはないでしょう。そこらへんは、個人のさじ加減が問われそうなところです。

「リアルタイムシミュレーション」「部屋の導線の最適化」「資源管理」といったキーワードに反応できる人ならば、この良作を存分に楽しむことができるとも思えます。是非に、移動要塞「サバクフネ」のネズミたちを管理しながら砂漠を移動し、黄金郷を目指して欲しい限りですね。

この記事を書いた人

AZ

AZ :

「独り善がりなゲームログ with 電漫堂」の管理人。かつて編プロに勤めていたけど、気づいたらWEB屋になってた。ハンドルネームは「アズ」と読むはずだけど、かつてとあるゲームで外人さんからボイスチャットで「Hey! AZ(エイジ)!」と呼ばれて以来、どう読むべきなのかをかれこれ10年以上悩んでる。

コメント (2)

名無しのゲーマーさん

これ見た目で面白そうと思ってたゲームだ!でもどんなゲームかよく分からなかったから気になるリストに入れたままだった。記事みて面白そうなんで買おうかな。

AZ

AZ

何かを管理するタイプのシミュレーションやRTS好きな方なら凄くオススメできる一作だと思うので、是非移動要塞を自分色に染めあげて見て下さい! (`・ω・´)

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