連載:気まぐれゲーム雑記 第726回:グレフがPS4で配信が予定されている「東方」同人ゲームに対してライセンス許諾をした件は、ゲーム業界の現状を映したリアルな話題でもある
気まぐれゲーム雑記
第726回:グレフがPS4で配信が予定されている「東方」同人ゲームに対してライセンス許諾をした件は、ゲーム業界の現状を映したリアルな話題でもある
2つの話がごっちゃにならないよう注意しましょう
同人ならではの問題と、オリジナリティの欠如
AZです。先日書いたとある記事でジワッと手痛いイージーミスがあり、わざわざメールフォームからご指摘して下さった方がおりまして、心底ありがたく思ったのと同時に余りの小っ恥ずかしさに全力で言い訳を考えてしまいました。ちなみに、言い訳は「リニューアル作業と更新作業を同時におこなっているがためにチェックが甘くなっていた」というモノです。……つまり、私が悪いという事は何ら変わりませんでした、ゴメンナサイ。電光石火の如く、修正させて頂きました。ご連絡、本当にありがとう御座いました!
と、私信はさておきまして、「旋光の輪舞」などで知られている中小メーカーグレフが、同人ゲームをPS4で出そうとしているメディアスケープに対して「旋光の輪舞」のライセンス契約を締結した事を明かしています。が、普通なら「イイハナシダナー」の類で終わるわけですが、なかなかディープなところまで切り込んでいるので、内容をまとめつつご紹介です。
- 経緯として、メディアスケープはPS4やVitaで同人ゲームをリリースするプロジェクト「Play,Doujin!」を立ち上げた
- そのうち、「東方Project」の同人ゲームの一つ「幻想の輪舞」のカスタムテーマがグレフの「旋光の輪舞」の商標権と著作権を侵害していた
- グレフがメディアスケープに侵害している旨を通告、メディアスケープは同カスタムテーマ配信停止をしグレフとの協議を打診、グレフは受諾
- 協議の結果、同人ソフトとして発売されているPC版「幻想の輪舞」を廃盤にする事を条件に、PSプラットフォームで「幻想の輪舞」が配信出来るようライセンス許諾契約を締結
- グレフは、数年前同人ソフトとしてPCで同タイトルが発売されているのを把握していたが、同人ソフトの対応は「法人として商売しているのでなく、個人でファン活動としてやっているものであれば黙認」というスタンスだったので、同人ゲームとしてやっている以上は問題にしなかった
- しかし、法人として参入する以上は看過できなかったので連絡をした
- 侵害されたのにライセンスを出した理由は、メディアスケープ側が迅速に対応してグレフの権利を認めた為と、「Play,Doujin!」という企画コンセプトを応援する為
- なぜ応援するのかというと、昨今の家庭用ソフト市場への危機感と、将来的な開発者の不足に対する危機感が根底にある
- 市場への危機感については、グレフも2012年以降自社ブランドでソフトを出せていないという現状で、周りの中小メーカーも家庭用ゲームの開発を事実上断念している
- 10年前は、「アーケードゲームに憧れて」グレフへの入社を希望する学生は数名いたが、ここ数年でいなくなった
- そのことを家庭用ゲームに置き換えると、恐らくあと5~6年でそのような状況に陥る
- よって、「Play,Doujin!」という今回の企画は、アマチュアやセミプロが表舞台にでてくる「プロへの登竜門」として考えているし、そうあって欲しい
- だが、現実問題として「同人」の問題は権利関係にグレーなものを抱えているので、「プロへの登竜門」として権利をクリアする先例になろうと考えライセンスを出した
[情報元:グレフ通信]
大体こんな感じでしょうか。
この話題は、大きなテーマとして2つ存在していると思っております。まずは、同人ゲームを家庭用機で出す際の問題。
そもそもに、二次的にキャラクターの使用を許容しているのは東方プロジェクトのみであり、その他のゲームシステム等々は大体は何かのアレに似ているというのが現状です。いやまぁ、同人だし個人のファン活動なら許容して然るべきなところかもしれませんが、同人ゲームを据え置き機にもってきたらそりゃ問題になりやすいでしょう。とことんオリジナルの同人ゲームなら、逆にインディゲームと呼ばれる昨今でしょうし。まぁ、同人もインディもさしたる違いはないとも思いますが。
ついでに、インディゲームが重要視されているのは、大手メーカーが出せないような類の内容を盛り込んで出してくるから価値があるわけであって、何かに似た類似品が出てくるとなると、それはそれでまた違う様な気はします。クローンを売るな! とは思いませんし、むしろクローンがオリジナルを超えるならそれはそれで喜ばしい話にもなりましょうが、根底が二次的作品というところにある以上、なかなか難しいところにも感じられたりはするわけです。
あとは、パブリッシャーが権利的な部分での諸問題を認識していなかった、というのはいささかアレな話でもあります。今回は、グレフが正しく把握していたので面倒が起きなかったわけですが、そもそも「個人orサークルがファン活動として作った同人ゲームを商業に持ち込む」ということは、何かの二次作品なら当然権利の問題が発生するのは当たり前でしょう。そういったところは、慎重にやっていって欲しいモノではあります。
アーケードや家庭用ソフト市場への危機感が強いのはやはり中小メーカーである
もう一つの問題として、すでに家庭用機やアーケード中心のゲーム市場は、中小メーカーにとって危機的状況であるという事です。いやまぁ、大体わかってはいましたが、危機的状況である事を公言したのは珍しくも思えます。
他にも、たとえば「斑鳩」などで有名なトレジャーは、家庭用機ではなくSteamを中心としたPCでオリジナルを出して、そこで結果が出たら家庭用機に持ち込むような案も考えているような事を公言していました。そのためにSteam Greenlightに登録するなど新しい試みをしているわけですし、Q-GamesもPCから家庭用機へと持ち込む流れをしっかりと作っています。現状では、会社としてよほどの体力がない限りは、中小メーカーにとって家庭用ゲーム機市場やアーケード市場は厳しい場である事が伺い知れる事にはなりました。
悲観的な意見ではありますが、それが現実である以上どのように打破するかが一番の課題にはなります。なんだかんだと家庭用機メインだった日本にとって、その市場が徐々に小さくなっていってしまうのは寂しいと言わざるを得ません。しかし、そういった中でもインディゲームのような存在が少しずつながら着実に話題になっている現状もあります。中小メーカーにとって厳しい市場ではありますが、あらゆる手を講じて色んな「娯楽」を提供し続けていって欲しいモノですね。
しょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会
:グレフが同人ゲームに対してライセンスを締結したって話なんだけど、色んな問題が含まれてる話題なのだなぁと思ったわけで。
:やっぱり中小メーカーさんは厳しいんだなぁ……。
:つまり、フリューのようなオリジナルが出せるところはそれだけでスゴイという事も言える訳で。でも、やっぱり家庭用機に縛られず、スマホやPCなど色んなところで展開していく時代になったとも言うべきところじゃなかろうかと。……どこをどうターゲットにするのかが一番難しいのだろうけどネー。
:それでも、上手い事やりくりしていって欲しいもんだわ。マジで。
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