連載:気まぐれゲーム雑記 第668回:スクエニ「ハイスコアガール」の著作権問題で出版部門の社員や押切氏ら16人が書類送検された件

気まぐれゲーム雑記
第668回:スクエニ「ハイスコアガール」の著作権問題で出版部門の社員や押切氏ら16人が書類送検された件

リスクはとても大きかった

職務怠慢が起こした一件と言わざるを得ない状況

AZです。GDPがマイナス成長だったと話題のようですが、家計のやりくりに必死な身としてはそんなもんだろうくらいにしか思えなかったりもしました。

それはそれとて、SNKプレイモアがスクエニの漫画「ハイスコアガール」に対して著作権侵害で刑事告訴に踏み切った一件で、新しい動きが出てきました。

 他社のゲームキャラクターを漫画作品の中で無断で使ったとして、大阪府警は17日、著作権法違反容疑で、ゲームソフト「ドラゴンクエスト」などの製作で知られる漫画作品の発行元「スクウェア・エニックス」(東京都新宿区)と、同社の編集・出版部門の役員や担当者15人、漫画の男性作者(35)の計16人を書類送検した。

 書類送検容疑は、平成24年2月~25年12月、同社が発行する漫画誌「月刊ビッグガンガン」で連載中の漫画「ハイスコアガール」で、ゲームソフト販売・開発会社「SNKプレイモア」(大阪府吹田市)が著作権を持つ対戦型格闘ゲーム「ザ・キング・オブ・ファイターズ(KOF)」や「サムライスピリッツ」などのキャラクターを、計166カ所にわたり、許諾なしに勝手に使用したとしている。

 16人全員が「許諾を取っているかどうか知らなかった」などと容疑を否認。さらに作者は「スクエニ社が許諾を取ってくれていると思った」と話しているという。

[引用元:産経

書類送検されたのは、東京・新宿区の大手ゲームソフト会社「スクウェア・エニックス」と、56歳の取締役や漫画の作者などあわせて16人です。

警察によりますと、スクウェア・エニックスは、発行している人気漫画「ハイスコアガール」などの中で、大阪のゲームソフト会社が著作権を持つキャラクターを無断で使用した著作権法違反の疑いがもたれています。

無断使用は160か所以上に及ぶということで、警察は、告訴を受けて、ことし8月に本社や関係先を捜索するなど捜査を進めていました。

調べに対し、役員らは容疑を否認し、「著作権の侵害にあたるかは分からず、裁判で判断してもらうしかない」などと話しているということです。

[引用元:NHK

押切氏以外に書類送検されたのは、同社取締役や出版、編集担当の社員ら。府警は同社と押切氏ら6人について、起訴を求める厳重処分の意見を付けた。16人はいずれも容疑を否認している。

[引用元:東京新聞

こりゃまた、色々と酷いですね。

何が酷いのかはそこそこにあるわけですが、まずはすでにスクエニはSNKプレイモアに対して著作権侵害をしていない事を確認するための民事訴訟を起こしています。起こしているのですが、NHKでは「裁判で判断してもらうしかない」とする一方、産経は「許諾をとっているかどうか知らなかった」と関係者が証言している事を伝えています。産経側の発言が本当ならば、そもそも著作権侵害をしていない事への確認云々とかそういう事が吹っ飛びかねないような気がしてしまうのが酷いと言わざるを得ません。

また、本件でどう見ても一番酷い目にあっているのは漫画家である“押切蓮介”先生にも見えます。漫画のラフがスクエニで通ったから漫画の連載をしていただけなのに、本来ならば問題なく漫画を書けるような環境を作るべき出版側が漫画家をまるで守る気がない。職務怠慢どころの騒ぎではありません。ちなみにちょっと脇に逸れますが、かつてモザイクが入っちゃうようなアダルト漫画のモザイクが薄すぎるということで、出版社の社長と漫画家が“両方共に逮捕”されるという一件もありました。判決内容はともかくとして、出版社と漫画家が一蓮托生になってしまうケースというのは残念ながら存在するのが現状とも言えます。

話を戻しまして。特に強烈なのは、押切蓮介先生の「スクエニ社が許諾を取ってくれていると思った」という一言です。通常、権利絡みの漫画を書いた場合わざわざ漫画家が出版側に「権利は大丈夫ですか?」などと聞いたりはしないでしょう。もちろん、そういった権利が絡む事を想定しなかった押切蓮介先生の甘さも指摘されて然るべきではありますが、やはり基本的には「編集部がOKを出したのだから大丈夫」と思ってしまうような気にはなりますし、スクエニは上場企業である事を考慮すれば余計に安心をしてしまう可能性は高いです。さらに、社員一同で「許諾を取っているかどうか知らなかった」のならば、どれだけ会社として甘い考えで作っていたのかが見えて来るわけです。ともなれば「起訴を求める厳重処分」となるのも、仕方なしと言う他ありません。

余談ですけど、出版社は時として漫画家と仲違いしたり問題を起こすケースがあります。「ブラックジャックによろしく」なんかは有名どころではないでしょうか。出版社と漫画家間のいざこざというわけではありませんが、スクエニの場合かつてエニックス時代にガンガンからマックガーデンへ主力漫画家がほとんど引き抜かれるという、いわゆる“お家騒動”を起こしています。ついでに、一迅社もその騒動時に誕生した会社ですが、そういったような頃から知っている身としましては、やはり本件は非常に印象が悪いものに映ってしまいます。

言える事は、お家騒動どころか「漫画家さえ守れない編集部である」という一言に尽きます。これは、スクエニのローカライズがアレすぎるとか、カウントダウンするタイトルが軒並みスマートデバイス向けだったとか、Steamでのおま国タイトル群とか、1ドル270円くらいの計算にはなりそうな“おま値”とか、日本語DLCとか、売りたいのか売りたくないのかまったく伝わらないやり方が気にくわない等々、スクエニ社への個人的な不満を爆発させる以前の問題でビジネスとして社の体質が問われているといっても過言ではないでしょう。……ちょっと不満が爆発したような気もしますけど、会社のやり方が気にくわないのとゲームの面白さ・楽しさは別物なのでそれはそれでおいておきまして。

今後は起訴されるのか否か、起訴されたら裁判へと突き進むことになりますが、注意して欲しいのは書類送検されたと言うことが有罪確定になるわけではないという事です。とはいっても、既存の出てきている情報だけではスクエニ側の旗色は悪そうな雰囲気がしてしまうのもやむなしではあります。はてさて、スクエニ側の意見がどんなものなのかが見てみたいところではありますが、色んな意味で誠意を持って対応して欲しい限りですね。

しょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会

しょぼーんさん:「ハイスコアガール」の一件が進展したよーってなお話です。

しゃきーんさん:ふむ。書類送検ね。

しょぼーんさん:逮捕されたわけじゃないけど、漫画家含めて16人中6人を「起訴を求める厳重処分」という対応は、いささかスクエニ側の旗色がよろしくない印象と言わざるを得ないかな。流石に内部事情は知らないけど余り良い声は聞こえてこないし、早期解決で沈静化させた方が良い案件な気がしないこともないっす。……ま、色んな意味で大手らしい大手だというオチが無難かな!

しゃきーんさん:……これでもうアニメ化の可能性も潰えたような気がしないこともないなぁ……。

連載:気まぐれゲーム雑記 第668回:スクエニ「ハイスコアガール」の著作権問題で出版部門の社員や押切氏ら16人が書類送検された件に関するしょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会

しょぼーんさん

しゃきーんさん

しょぼーんさん

しゃきーんさん

コメント (2)

名無しのゲーマーさん

押切さん可哀想
なけるぜ…

AZ@管理人

ほんと、何というか編集側がダメな典型的一例になってしまっているのが現状なのでしょうね。
押切先生には今後もめげずに、良い編集部が拾い上げてくれる事を願いたいモノです。(´・ω・`)

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