連載:気まぐれゲーム雑記 第410回:サイバーフロントの一件を、ただのゲーム好きが本気出して整理してみた
気まぐれゲーム雑記
第410回:サイバーフロントの一件を、ただのゲーム好きが本気出して整理してみた
考えるのはタダです。
まずは会社関連から見てみる
年末進行が怖いと饅頭を食うように年末に向けて作業を行っているAZです。年末進行は、夏休みの宿題に似ていると思うのです。
ところで、すでに多くの人が知っている事ではありますが、サイバーフロントが解散することになりました。サイバーフロントからの発表は次の通り。
当社は、ゲームソフトウェアやアプリケーションソフトウエアの企画、開発、製作および販売等を行う株式会社サイバーフロント(以下、サイバーフロントという。)の株式を平成22年4月に51%取得し、同事業の伸長に向け支援を行ってまいりました。
しかしながら、サイバーフロントの経営状況は必ずしも良化せず、経営改革をスピーディーに行うため、平成25年3月に同社を当社の完全子会社とし、経営陣の刷新を行うなど事業の立て直しを進めてまいりましたが、前経営者が構築した経営体制の立て直しは困難であると判断した結果、解散決議にいたりました。
[引用元:サイバーフロント公式サイトさん]
これだけだと「よくわからないけど解散する事になった」という事しかわかりませんので、しっかりと企業同士の関係を把握します。
サイバーフロントは、上場企業“加賀電子株式会社”の完全子会社です。ですので、加賀電子株式会社が親元会社としてサイバーフロントは経営状況がよろしくなく前経営者の経営体制だと立て直しは困難だから解散する、と判断したということになります。
で、この加賀電子株式会社は何者ぞ? となるわけですが、あのファミコンでプレミア化し、バーチャルコンソールで登場した時にはほのかに話題となった“サマーカーニバル'92 烈火”を発売したナグザット(現・加賀テック)を関連会社に持つ企業となります。ちなみに、現時点で加賀電子株式会社は子会社の加賀クリエイトにゲーム事業を移しており、加賀クリエイトは「うみねこが鳴く頃に~」などをコンシューマ移植したアルケミストと関連があります。加賀クリエイトの公式サイトで確認できますので、気になる方はご覧下さい。
更に、“サマーカーニバル'92 烈火”を開発したのはKID。KIDが自己破産した際に、それらKIDブランドを回収したのがサイバーフロント。つまり、繋がるべくして繋がっている関係となるわけです。おまけとして、KIDの主要スタッフは5pb.へと移っています。
次に、事業を見てみる
さて、企業同士の関係が整理できたところで、お次はサイバーフロントの事業を見てみる事にします。
昨今やっていたことは、KID関連のコンシューマ移植と、PCゲームからのコンシューマ移植、あとはパラドックスやら何やらPCゲームの日本語ローカライズです。特にローカライズは、価格が高いながらも日本語ローカライズしてくれるメーカーと思われているか、Steamでおま国やおま値をしでかすメーカーと思われているかで、個人個人のとらえ方は様々となっています。ちなみに、私の立ち位置は「ローカライズプライスが高すぎやしませんか?」です。あ、でもクルセイダーキングス2とか辞書引くのがどう考えても面倒なのは、サイバーフロントから買ってました。
真面目な話として、ゲームは買った時の価格でそれだけの価値をゲームに求めます。すべては結果論に過ぎませんが、ローカライズプライスを加味して高すぎたら買われなくなるだけなので、そこらへんでビジネスとして何かしらの支障があったというのは今回の一件で何となく垣間見えます。当然、他のコンシューマ事業についても懸念すべき材料があったというのは言える事でしょう。
目下問題になっていることは、発売予定だったタイトル群がどうなるか、です。現時点で予定されているのは、「東京新世録 オペレーションアビス」「PC版 セインツロウ IV」「ヨーロッパ ユニバーサリス IV」「WRC 4 FIA ワールドラリーチャンピオンシップ」など、そこそこなラインナップがあります。また、「スカルガールズ」などアップデートを予定されているタイトルもありますし、上記のタイトル群に興味がある人は今後の続報をしっかりと見守った方が良いでしょう。
頑張って妄想してみた
ここからは私の妄想ですが、一番濃厚なのは加賀クリエイトが引き受ける形でしょうか。仮にも上場企業ですので、ネガティブになる話題を作るのは株主達に何ら良い事を与えません。また、加賀クリエイトというゲームの別会社を持っている以上は、そちらで今後のやりとりをするという路線が現実的でしょう。流石に、担当タイトルをいきなりポイ捨てするという路線には走らないと考えています。
別の可能性としては、5pb.が運営するMaginoDriveあたりがKID関連の版権をどうこうする可能性も否定しがたいものがあります。Memories Offシリーズは、5pb.がサイバーフロントから独占的に利用出来る権利を習得しています。また、MaginoDriveは日本のダウンロードPCゲーム市場で名を上げようとあれやこれやと画策しているので、PCゲームを多く保有しているサイバーフロントから色々と何かしらがある……という妄想は可能です。……今一度書きますが、所詮はいち個人の妄想です。
日本のPCゲーム市場で、色んな意味で活躍をしたサイバーフロントが解散ともなれば何とも感慨深いモノはありますが、PCゲーム市場はSteamのようなダウンロードへ時代が移り、どれだけ安くお手軽に良質なゲームが出来るかというのが常識になりつつあります。そういう意味では、ベセスダのスカイリムや、Take2のCiv5、インディーズタイトルなどは実に上手い商売をしているとも言えるでしょう。今後のローカライズビジネスがどういう方向へ向かうのかはわかりませんが、開発元に販売元、そしてプレイヤーがWin-Winの関係になれるような売り方を構築していって欲しいものですね。
しょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会
:サイバーフロントの一件を色々整理してたらすんげぇ長くなっちゃってごめんなさいってなお話でした。
:まとめるんだから、長くなるのはしょうがない話題かもな。
:解散になった理由は業績がよろしくなかったからって事だろうけど、1日経てば色々と反応もあるんじゃないかな。一生懸命調べて書いた妄想が、ある程度当たれば幸いだけど。……当たらなかったらどうしよう?
:まぁ、予想屋でもないしただのゲーム好きの知ってる事を書いただけなんだから、外れてたらその時は素直にゴメンナサイというオチにするしかねーだろ。
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セールが頻繁にありお手軽にゲームを購入できる Steam があるのに、今だにパッケージ販売で糞高いローカライズプライスも上乗せする商法は時代遅れで、解散は当然の結果だったように思えます。解散と倒産の違いがよくわかりませんが…。
ゴア表現が強いゲームを日本国内で規制なしで販売する姿勢だけは良かったので、いざなくなると少々寂しい気もします。
おま国おま値をせずに、日本から海外版の購入をブロックしなければ文句なしなのですが、そんな懐の広いメーカーが今後出てきてほしいものです。