気まぐれゲーム雑記
第234回：任天堂がE3でプレスカンファレンスをしないことを生暖かく見守れないメディア、と言う話題

印象だけで語るのは少々難しいのではなかろうか？

独自のイベントで宣伝する道を選んだ任天堂

任天堂がE3のプレスカンファレンスを行わないで独自イベントで宣伝していく事はすでに周知の事実です。
そうした選択には、ソニーやマイクロソフトが新ハードを出す事やWii Uの現状など考慮すべき事が多々あるわけですが、産経新聞が「世界の檜舞台から降りる「任天堂」…“ガラパゴス”へ一直線、新たな成長か、袋小路か岐路へ」というなかなかにガラパゴスな記事を掲載しました。詳しくはこちら。
まとめると次の様な感じ。

• 任天堂が1995年以降欠かさず行ってきたE3のプレスカンファレンスを取りやめた
• 独自のスタイルで差別化を図る任天堂の方針は、ガラパゴス化の危険もはらむ
• 任天堂の選択は、ライバルのソニーやマイクロソフトに戦わずして背中を見せたといっても過言ではない
• 6月11日に流通事業者を対象にした商談会と一部のアメリカゲームメディアを招きソフトの体験会を小規模に開催する予定だが、内向きなイメージは避けられない
• ニンテンドー3DSやWii Uは、ソニーやマイクロソフトとは異なる特徴のゲーム機なので、ソフト開発にかかる負担は少なくない
• 任天堂のゲーム機はその特異性ゆえにソフト開発会社から避けられるケースもあり、先日もアメリカ大手ソフト会社が任天堂Wii U向けソフトの開発は行わないと発言した
• 発言はその後撤回されたが、ガラパゴス化の兆候は見え始めている

ざっとこんなところでしょうか。
なかなかにツッコミどころ満載な気がしないこともありませんが、今日はそんな生暖かく見守る事ができないメディアについて、あれやこれやと書いて見ようかと思う次第です。

情報は誰に向けて発信すべきモノ？

想像はしていましたがやはり任天堂を批難するかのようなタイプの記事が出て来ました。E3のプレスカンファレンスを行わないという事は、こういう情報がでてきてしまう可能性もはらんでいたのは想定の範囲内……のようには思えます。

産経新聞が言う事も、一部理解出来ないこともありません。確かに他ハードに比べたら独自であるのは間違いないです。とはいえ、書かれている事がガラパゴス化につながるかと言えば印象論にしか過ぎず、そもそもニンテンドーダイレクトでユーザーに直接情報を配信するという事を国内でも明言しているのに、そこに触れないのは何ともお粗末な内容です。流石に突っ込まざるを得ないでしょう。

また、EAについてもちょっと触れていますが、どのメーカーもハードを牽引出来るほどのソフトが出せないなら、新ハードでの勝負を保留するのは当然の判断です。しかし、EAの場合は何故あのような発言が出たのか、何とも判断に困ります……。

任天堂の場合、他社とは違ってニンテンドーダイレクトで商品を直接ユーザーに伝えるという術を得ました。実はこれ、本来ならマスメディアの仕事です。ですが、マスメディアを通じる事で情報が歪曲してユーザーに伝わってしまうのを嫌った任天堂は、ニンテンドーダイレクトで直接情報を出すようにしました。インターネットがない時代ならマスメディアに頼らねばなりませんでしたが、今はそういう時代でもありません。企業の社長がユーザーに直接商品の価値を訴えるというのは、テレビでもやっている通販と変わらないわけです。つまり、それだけ強みがあるという事も言えます。……当然、プレゼンの上手さや伝えたい趣旨を理解しないと、某ゲーム天国みたいなオチになりますが……。

E3のプレスカンファレンスは、マスメディアに向けて情報を出します。そこからマスメディアが不特定多数となる消費者に向けて情報を発信する事になりますが、その情報を読み取るのは我ら消費者です。ともなれば、「誰に向けて情報を出したいのか」という事を考えれば、Wii Uや3DSをマスメディアに売りたいわけではなく消費者に訴えたいというのは、当然の結果でもありましょう。それに、PS4やXbox Oneなど状況が状況ですしね。
ほかのメーカーにも言えますが、今後もこういった微妙な案配の記事というのは多々出てくることになるでしょう。その時、そういった情報に躍らされずより多くの情報を集めて正しく認識するように心がけたいですね。