気まぐれゲーム雑記
第228回：ヴァニラウェアの博打的開発が実にクリエイター気質、と言う話題

すげぇ男前すぎるわけで……。

表に出ないクリエイターのインタビューはすこぶる面白い

インターネットにより、ゲームメディアが増えた昨今においては、ゲームクリエイターが表舞台に立つ機会が増えました。
また、ツイッターでも気軽に繋がれるようになり、それでいて諸問題が起きたりするケースがなきにしもあらずですが、ユーザー間との距離も随分と縮まったものです。

そんな中、表舞台にあまり出て来ないクリエイター「神谷盛治」氏のインタビュー記事が掲載されました。神谷盛治氏は、プリンセスクラウンやオーディンスフィアなどで知られている「ヴァニラウェア」の代表です。詳しくはこちら。
まとめるには余りにも長いインタビューですので、気になった部分をピックアップします。あ、ちなみにお時間がある方は一読してみる価値はあるかと思います。

• プリンセスクラウンのあと、オーディンスフィアまで10年ほどゲームが作れなかった
• アトラスには、プリンセスクラウンもオーディンスフィアもドラゴンズクラウンも助けてもらった
• 余りにも資金繰りがうまくいかず、パンの耳を食べて凌ぐ時期もあった
• オーディンスフィアの後、仕事がなくなりそうだったので仕事を取りに行って「グリムグリモア」や「朧村正」などの仕事を取った
• 「グリムグリモア」の開発後、会社の資金が尽きそうになり、「朧村正」でもまた資金が尽きそうになったせいか、いつもヴァニラウェアはプロジェクトの終わり目＝会社の死に目となっていて、今はそれも変わらない
• 企業としては駄目だが、利益を追求するわけではなくゲームを好きに作る事が目的の会社
• 一作にすべてネタを出し切ってしまうので、続編は基本的に考えていない
• 会社の信用とは利益を出す事であり、ヴァニラウェアは今のところオリジナルタイトルで利益を出せる企業になっている
• コンシューマでオリジナル作品を出し続けたい
• 外注はサウンドだけで、仕事をもらう時もすべてヴァニラウェアが企画から開発まで行うものじゃないと仕事を受けない
• 10年間作れなかった時期があるので、またそうならないように一つの作品に命を賭けて作る

こんなところでしょうか。
というわけで、今日はそんなヴァニラウェアの博打すぎる運営を生暖かく見守るスタイルでアレコレ書いてみようかと思う次第です。

利益を取るか、クリエイターとして生きるか

ヴァニラウェアの経営スタイルは、実に博打打ちです。もうヴァニラウェア自体にファンが付いているので、今のまま突き進んでも問題はないラインに達しているとも言えますが、本当にゲーム開発が好きな人間じゃないとついていけないタイプの企業でしょう。

企業の信用は利益である、というのは基本ですがとても重要なことです。他社から資金援助を受けて開発する場合は、余計にその色が濃くなるでしょう。ですが、エンターテインメント業界で利益のみを追求して良いのか？　というのはどの業界の人も命題として考えている事です。そういった中では、ヴァニラウェアは本当にクリエイター気質なのでしょう。

我らユーザーとしては本来ならそうあって欲しいわけですが、ゲームを作っている人も大抵は企業に所属し、利益を生むために働いています。その人達にも生活があるわけですので、さじ加減はとても重要なものとなります。大企業になりすぎて利益のみを追求してしまう企業が増えている中、こういった作る事のみに特化した企業価値は非常に大切です。……とはいっても、インタビュー記事を読んだ限りでは余りにも博打すぎて、ハラハラしてしまいますが……。

このような企業がまだあるというのは、ゲーマーにとっては非常に嬉しい話でしょう。……その反面、とても心配でもありますが……。今後もより一層活躍をして、良い案配に資金繰りもうまくいくような体制を整えてほしいものですね！