連載:気まぐれゲーム雑記 第145回:「レイマンレジェンズ」開発チームや「レイマン」産みの親が発売延期についてUBIに抗議をしている、と言う話題
気まぐれゲーム雑記
第145回:レイマンレジェンズ」の開発チームが発売延期についてUBIに抗議をしている、と言う話題
これはある種の失敗例になりそうです。
ユーザーを怒らせると色々揉める
企業とユーザーは信頼関係で結ばれているのが理想です。
まぁ、所詮理想は理想であって、現実とは程離れているケースが大半である、というのが現実でもあるわけでして。早々「ぼくのかんがえたさいこうのげーむがいしゃ」なんてものは存在しないというのは身に染みてわかっているものです。それでも理想は追い求めたいので、理想なのでしょうけど……。
さて、奇しくも本日は「チョコで想い人の心をどうにかしてやろうと目論む日」ことばれんたいんでーです。そんな日とは無縁の世界なゲーム業界では、海外で「レイマンレジェンズ」のもめ事がどんどん拡大を見せ始めました。
というわけで、そんなレイマンレジェンズの今までの流れと何が起きたのかを整理しておこうかと思う次第です。
レイマンの今までの流れと抗議に至るまで
まず最初に、レイマンはUBIのマスコットキャラです。任天堂でいうマリオの位置付けでしょうか。海外ではすこぶる人気があり、シリーズも結構出ています。ですが、日本では少々ウケがたいグラフィックだったこともあり、人気はでませんでした。その人気が出なかった事が、今回の件が日本で余り取り上げられない一因にもなっているようには思います。
そんなレイマンの最新作「レイマンレジェンズ」が、Wii U独占タイトルとして発表されました。当初はロンチタイトルとして発売を予定されていましたが、2013年の1~3月に延期されたのが1回目の延期です。そして、2月に発売される事となったわけですが、UBIが決算時に「レイマンレジェンズ」のマルチ化を発表、そしてWii U版レイマンレジェンズが完成しているにもかかわらず、マルチ化に伴って発売時期を9月へと延期しました。
もちろん、そこにあるのは合理的な経営判断です。Wii U版が出てしまえば、他のプラットフォームは不利になりますし、同時に評価もある程度知られるところになります。動画なども色々出回る事は必死です。となれば、より良いセールスを出すためにはマルチで同時発売した方が大きな利益となるでしょう。……数字上だけですが。
今回のマルチ化について、UBIはある程度ユーザーからの反発があるのは想定していたはずです。いくら合理的判断とはいえ、ビジネスである以上はありとあらゆる可能性は想定しておかなければなりません。その可能性の中には、PS3や360ユーザーが喜んでくれるだろう、というのも考えていたかもしれません。
ですが、今回の件は炎上の火力がUBIの想定を上回ったと言う事でしょう。結果として、UBIソフトに対する不買運動が起きたり、なんとレイマンの産みの親である「Michel Ancel」氏や開発チームさえも、UBIの今回の発表に反発し抗議をする事態へと発展しました。その時の画像は海外メディアのEurogamerに掲載されています。
経営的判断だけで事を動かしたツケ
産みの親や開発チーム、開発スタジオさえも抗議をするという事が意味するのは、2つあると考えられます。
1つ目は、UBIの経営陣は根回しに失敗したこと。ゲーム開発の最大の功労者は、開発チームです。そして、開発チームは何よりも発売されることを願っているでしょう。すでに一度、Wii Uのロンチタイトルだったはずが2月に延期されましたが、ここまでは開発の都合と捉える事が可能です。ですが、次のマルチ化に伴う延期は開発者達一同、誰も納得するところではなかったという結果になりました。
もう一つは、Michel Ancel氏や開発チームが表に出てくることで、レイマンというブランドの印象悪化を抑えているということ。
ポイントは、産みの親であるMichel Ancel氏も抗議に参加しているというところです。ユーザーからすれば、今回のUBIへの抗議は「開発チームや産みの親すら知らなかった事or納得出来なかった事」としてニュースになります。ファンにとって産みの親の影響力は計り知れないものでしょう。そういった意味では、レイマンが悪いわけではないという印象を与えることになります。
今回のビジネス的な経営判断は、信用と金勘定いうのがキーワードになります。マルチ化について言えば、Wii U独占であるがゆえにWii Uの現状が芳しくない、言い方を変えれば「Wii Uユーザーが少ない今だからこそ判断できた事」なのでしょう。逆に、PS3や360ユーザーから見てみると、マルチ化は歓迎されるところでもあります。ですが、信用を落とす方が話題になりやすいのは世の常でもあります。それに完成しているWii U版の発売延期をする必要があったかどうかは何ともですが。まぁ、マルチ化する際に「延期しなければならない事情があった」と考えるのが妥当でしょうか。
UBIとしては、今後この件について対応があるのかどうかが注目されます。企業とクリエイターの関係は非常に重要です。ここで、レイマン産みの親であるMichel Ancel氏と事を構えてもしょうがないですし、更なる印象悪化も懸念されるところです。せっかく本日はバレンタインなのですからチョコで仲直りでも……とはいかないでしょうけど、企業は著名なクリエイターが表立って批判するような事態にならないように経営していくことが重要だと思い知らされる一件ですね。国内の企業様にも、ユーザーを大切にしていただきたいものです。
しょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会
:レイマンのマルチ化に端を発した騒動が、どんどん拡大してってるよーってお話で、こうね。国内企業もこんな風にならないよう、ユーザーを大切にしていこうぜ? という事が言いたいわけですよ。
:金勘定だけでやっていると、信用を失うっていう典型的例だよな。まぁ、炎上の火力が凄すぎて、業火になっていたってところか。
:正直、こういった事例が経営にどういった影響を及ぼすのか、っていうのは知りたいものですな。ユーザーからの信頼を取り戻すのは大変だよねぇ……。
:これがあるからビジネスは難しいんだろうなぁ……。UBIは日本でも頑張っている企業なだけに、上手いところ話をまとめてもらいたいところではあるが……。ビジネス的決定を、ユーザーの声で覆すことができるのかどうかにも注目したいな。
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