マルチ・海外ではマスエフェクト3のエンディング問題が大騒動になっているようです
日本での初週売り上げ(メディアクリエイトさん調べ)は1万いかなかったけど、海外ゲームだしそんなものかなぁといった感じの「マスエフェクト3」ですが、エンディングの内容や重要なストーリーを初日にDLC配信するなど、波乱含みの展開で大問題へと発展してしまいました。
事の経緯を順を追っていきます
まず最初に、ストーリーにおける非常に重要な内容を含めたモノが、初日に有料DLCで配信されたあたりがきっかけでしょう。その後は、ディスクにDLCデータが入っていたことや、エンディングの内容に納得出来ない、といったあたりの出来事が問題を大きくしていきます。
また、ディスクにDLCが入っていた事に関して、EAさんおよび関係者さんはどういった経緯でそうなったのかを釈明します。以下、抜粋。
先日、出荷されたディスク内に、DLCである“From Ashes”のデータが発見されたとお伝えした『Mass Effect 3』ですが、新たにユーザ―が騒動について検証する動画を公開するなど問題視される中で、Electronic Arts側からも声明が発表されました。
EAが海外サイトKotakuに伝えた声明によると、“From Ashes”のDLCは、Eden Primeのミッション、新たなダイアログ選択肢、Javikとの会話、新たなシネマティック映像、Protheanの武器、全パーティーメンバーの新たな見た目等の新コンテンツを含む600MB以上の内容で、それらは全て製品版完成後の承認段階で制作されたとのことです。
中核のゲームプレイにJabikとの関わりをシームレスに取り込めるよう、DLCのいくつかのフレームワーク要素やキャラクターモデルは最初からディスクに入れておく必要があり、前作『Mass Effect 2』のDLCでも同じような手法が取られていたとも説明されています。
[情報元・Game*Sparkさん]
ですが、これと同時にマスエフェクトシリーズの前任者であるChristina Norman氏がGDCで次のような内容も発言しています。
また、初日有料配信となった今回のDLCについて、シリーズの前任デザイナーの Christina Norman氏がGDCの壇上でコメントをしており「ゲームが発売されて1年後、既にほとんどのユーザーが買取に出しているような時にDLCをリリースす るのは無意味です。」と初日DLC配信について肯定的な意見を示しています。更にユーザ―からの、DLCでゲームが不完全なものになるとの意見に対し「ゲーム開発者は悪ではありません。私達にチャンスを下さい。私達は単純に素晴らしいゲームを提供したいだけです。だからプレイヤーがプロデューサーのようにDLCの配信構想を考えるのはやめて下さい。」と、厳しいコメントをしています。
これは論点をずらしているかのような発言ですね。これ以降、DLCに関しては批判され続けることになります。……もっとも、すでに批判されていたのでこうなっているわけですが……。
舞台はエンディング問題へ
ここからエンディング問題へと話は移ります。今までのシリーズで選択してきたことはなんだったのか。エンディングは極端すぎる。などといった意見が相次ぎ、ついには有志のファンが署名運動を行うといった事に発展します。
ここまでは、それなりに問題がありそうなゲームへの署名運動に過ぎませんが、ここから先が大変変わったものでした。今回の署名運動は、単なるお祭り騒ぎではない事を示すために、病気の子供達へ募金を募るソーシャルサービスページをオープンします。そして、その募金額が募金開始からすぐに日本円にして224万円ほどを集めるという結果が出ました。
このことを受けてかどうかはわかりませんが、ついにBioWareで本作を担当したCasey Hudson氏がインタビューに登場し、本件に関しての言及をしました。
Hudson氏は今回のエンディングが多少の論争が起こることを視野に入れた計画だったと明言。氏はMass Effect 3が人々に忘れ去られる作品であってほしくなかったと語り、そこにキャラクター達の生死を含む進退や、次に起こるであろうこと、そして両極を描いたエン ディングについてファンが議論を交わすこともMass Effectという“物語”の刺激的な一部だと語り、今後も人々に語り継がれる物語であるために必要な決定だったとの見解を示しました。
しかし、前述したファンの運動など、あまりに紛糾した今回のローンチはBioWareにとっても予想を超える展開だったのは間違いない様子で、エンディングやストーリーに関する決定がBioWareにとって重要だったことを前置きし、今後常にファンからのフィードバックに耳を傾け、それを解釈し、正 しいことを試みて実行するだろうと語っています。
そして、既に大きなマルチプレイヤーとシングルプレイヤーに関する新コンテンツの準備が存在していることを明言した氏は、これらのデザインにファンからのフィードバックが大いに反映されるだろうと説明し、実際にタリとギャレスのロマンスがファンからのフィードバックによって実現したものであることを 強調しています。
[情報元・doope!さん]
そして、ついにはマスエフェクト3のエンディングを変更するかしないかを検討する、かのような発言が出てきます。
海外ではエンディング変更を求める署名運動が起きるなど、ファンから不満の声が多く上がっている『Mass Effect 3』ですが、Biowareが今作の結末についての変更を検討している事を明らかにしました。
BioWareのCEO、Ray Muzyka氏がこの件について公式サイトにて釈明しており、今回のエンディング騒動については予想していなかったと説明しています。また、ユーザーからのクリア後の感想を引き続き募集し、集まったフィードバックを元にオリジナルのストーリーとのバランスを維持する努力をすると表明しており、4月には何らかの詳細が発表を行うことも明らかとしています。
[情報元・Game*Sparkさん]
この選択がどういった事になっていくかはまだわかりませんが、もしこれが本当なら日本でも発売されたタイトルである以上、影響がないとは言い切れません。
今回の騒動の影響?
今回の一連の騒動について、バイオショックシリーズの開発者であるKen Levine氏が言及しました。
Ken Levine氏はエンディングの変更を求める署名運動が実を結び、BioWareが彼らの望むエンディングを新たに用意したとしても、BioWareがそもそもそれを作らなかったという事実には変わりなく、結局のところファン達は失望させられる結果に終わるだろうとの見解を提示。誰も望んだ物を得られない 結果に終わる今回の騒動を少し悲しく感じると語っています。
Ken Levine氏が説明しているのは、エンディングの良し悪しではなく、ファンの要求に従って用意される“物語”の変更によって姿を変えた“Mass Effect 3”は果たして“Mass Effect 3”なのか?という、表現における根本的な問題に迫る言及だと言えます。
また、この問題は同時に近年しばしば議論に挙げられる“ビデオゲームはアートか?”という命題にも深く抵触する問題であり、パネルに同席した BioWare MythicのPaul Barnett氏は“物語がどう結実するかは常にクリエイターが最終的に語るべきもの”だと発言し、J・K・ローリングの人気小説ハリー・ポッターシリー ズを例に挙げ、「私は彼女が別の終わりを新たに作ることを強いられるべきだとは考えない」と語りました。
[情報元・doope!さん]
これは、ゲーム開発者とファン、双方が色々と考えさせられる問題であることを示唆しています。ファンあってのゲームですが、クリエイターはファンによって左右されるべきか否か。また、その度合いはどうするべきか。これについては様々な意見があって、もちろん今回のエンディングについて、まるで問題がない。このエンディングもありだ、といった意見もあります。素晴らしい名クリエイターと呼ばれる人達は、その加減が絶妙に上手い人だった、のかもしれませんね。
現在、例の募金は78,000ドル(日本円にして650万円程度)を超えました。(こちらから確認できます)マスエフェクト3がこういったしっかりとした金額で批判を受けてしまうと言う、前代未聞の問題に発展をしてしまいましたが、これは開発会社さんとファンの方々がどうつきあっていくのか。その難しさや、他にもDLC問題など、様々な問題が複雑に絡み合う問題だと言えます。
日本では、余り起らないであろうこういった問題(日本ではアイドルマスターで署名運動が起きた事がありますが、流石に規模が違いますね)が、どういう決着を見せる事になるのか。今後のDLC問題や、ストーリーの在り方にも影響が出そうな問題ですので、しっかりと見届けたいですね。
なお、本記事を書くにあたってdoope!さん、Game*Sparkさんの記事を参照させて頂きました。この場を借りて感謝します。ありがとう御座いました。
しょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会
:海外で話題沸騰中? のマスエフェクト3エンディング問題についての話です。
:海外は凄いな。
:以前、日本でもアイドルマスターの一部のキャラがリストラされた事で、復帰の署名運動が起きたけど、結局功を成さなかったね。今回は募金まで募ったと言うのが上手かったのかな。
:それにしても、ファンのこういった力でエンディングが変更されそうというのは……。
:クリエイターの一作品とみるか、ファンあっての作品とみるかってことかな。例えば、発売されたばかりのパルテナは、クリエイターとして名高い桜井氏を信頼して買う人もいれば、CMを見て面白そうと思って買う人もいる。でも、同じ感想になったり、違ったりするわけで。クリエイターさんは、何を思って作るのか。ファンは、何を基準に買うのか。みんながみんな、一緒じゃないってことが難しいんだろうね。
:はてさて、どういった決着が出ることやら。
:どうでもいいけど、DLC問題は海外でもあるから、日本で納得しがたいDLCばっかり出して嫌な気分にさせるメーカーさん達はもうちょっと考えた方が良いと思うよ?
:納得出来るものならいいんだがなぁ。こっちも難しいところだ。